東京の夜の風景 銀座
公開日: 2013年12月21日 | 最終更新日 2015年5月27日
寺院や神社、木造の長屋から、タワーにビルにスタジアム。和と洋、古きと新しき、伝統と最先端が入り混じる大都会・東京。混沌と喧騒、乱雑と氾濫、騒音と光と色の洪水。人の思いと願いと夢と、欲望と幻想を内包して、今日も躍動する町の「夜の風景」をお届けします。「東京の夜の風景 銀座編」
光の町 夜の夢
人口およそ1323万人。渋谷、青山、六本木、新宿、上野、池袋。新橋、五反田、錦糸町。立川、荻窪、吉祥寺。町田、八王子。両手で数えても足りないほどの数多くの繁華街が広がり、およそ思いつく限りの多種多様な店が軒を並べる。そんな数ある東京の町の中でも、歴史と伝統を誇るのが銀座だ。江戸時代に設立された貨幣の鋳造所からその名がついたというこの町は、江戸時代には職人の町として栄えたが、明治維新後の大火で町の大半が焼失。大規模な区画整理と都市計画を経て、商業地として繁栄するようになったという歴史を持つ。関東大震災や戦争で打撃を受けながらもそのたびごとに復興し、「デパートや飲食店の集う東京の中心地」、「文豪や文化人の集う夜の街」、「世界の宝石や時計も並ぶ高級な繁華街」へ。そして今や、最上級・最先端の商品とサービスが集まる場所でありながら、一歩足を踏み入れれば歴史と伝統がそこかしこに垣間見える所として、国内のみならず世界中から観光客が訪れる町だ。
1928年(昭和3年)開業の老舗酒場。里見弴、泉鏡花、菊池寛、永井荷風、直木三十五、川端康成から、太宰治、織田作之助、坂口安吾、木村伊兵衛、サトウ・サンペイ、小松左京、星新一といった文豪や写真家などが多く集ったという。開業当時は「カフエー」という、女給のサービスでお酒を飲ませる洋風の酒場スタイルだった。太宰がスツールの上に足を乗せて飲んでいる有名な写真はここで撮影されたもの。