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立山黒部アルペンルート

立山黒部アルペンルート 雪の大谷

桜前線が日々北上し、野の花々が風に揺れる4月中旬。鳥がさえずり、爽やかな陽気が人々の心を和ませる季節になっても、標高2450メートル、立山連峰の中腹・立山室堂平には、見渡す限りの白銀の世界が広がっている。抜けるように美しい青空。雪を抱く山々。カラフルなウィンドブレイカーに身を包み、歓声をあげて、目をきらきらさせる観光客。数十リットルのザックを背負い、ピッケルを手に、黙々と歩んでいく登山客。そこは、幾度かの乗換えを経てたどり着く非日常の異空間。日常の凝りはふっとび、爽快感と開放感が体中を包み込む。驚きと興奮が体の中をめぐっていく。眼前に迫る3000メートル級の山々。そそり立つ雪の壁。期間限定の絶景を堪能しに、立山黒部アルペンルート・雪の大谷ウォークへ行ってみよう。

見上げるほどの雪の壁

日本は世界的に見ても屈指の豪雪地帯を有する国だ。北米ロッキー山脈、カスケード山脈、五大湖周辺、南米アンデス山脈、ロシア・カムチャツカ半島、ユーラシア中西部、スカンジナビア半島西側など、積雪量の多い地域はほかにもあるが、日本の豪雪地帯のような、人口の多い都市部も含めた地域に大量の雪が降る場所もあまりないという。

ご存知のように、日本の豪雪地帯として知られるのは北海道~本州の日本海側の地域。中でも、音威子府、酸ヶ湯、肘折、只見、湯沢、野沢などと共に特に雪の多い地域として、海外でも知られているのが立山室堂平だ。積雪の深さは平均で7メートルにも達するこの立山室堂平周辺でも、室堂駅から徒歩すぐの「雪の大谷」と名づけられた場所は吹き溜まりのためにとりわけ雪が多く、立山黒部アルペンルートが開通する4月には、場所によっては高さ20メートルに迫る雪壁が出現、訪れるものを圧倒するのだ。

雪の大谷と立山連峰、立山黒部アルペンルートの魅力をフルスクリーンで見る

立山黒部アルペンルート

立山黒部アルペンルート

立山黒部アルペンルート(たてやまくろべアルペンルート)は、1971年(昭和46年)6月1日に全通した富山県中新川郡立山町の立山駅(富山地方鉄道)と、長野県大町市の扇沢駅とを結ぶルートだ。環境保護のため、マイカーの進入は規制され、ケーブルカーやバス、ロープウェイなどを乗り継いで、標高2450メートルの立山室堂平へ到る。国内外から年間100万人を越える人々が訪れる一大観光山岳ルートで、立山連峰の絶景、みくりが池、野鳥や野草、日本を代表するダムの1つ・黒部ダムなどを望むことが出来る。

ルート

乗り換え時間を含めない立山~扇沢間の所要時間は2時間ほど。ただ、繁忙期の土日などは大変混雑し、各待ち時間が1~2時間かかることもある。見学・散策時間も含めて余裕のあるスケジュールを組みたい。室堂平にある日本最高所のリゾートホテル「ホテル立山」やみくりが池のほとりにある「みくりが池温泉」に宿泊し、都会では見ることの出来ない満天の星空を楽しんだり、日帰り観光客のまだ来ない早朝に散策を楽しむのも手だ。(立山~扇沢間はマイカーの通行が出来ないので注意。)

立山黒部アルペンルート

料金

立山黒部アルペンルートの基点となる電鉄富山駅~信濃大町駅間の片道通し乗車券は、おとな11,920円、こども5,980円。目的地までの乗車券を区間別に購入することも可能で、往復割引もある。

雪の大谷ウォーク

4月中旬から6月の初めまで、場所によっては20メートル近い高さに積みあがった雪の壁を間近に体験できるのが、雪の大谷ウォーク。通常はバスが走る道路の、およそ500メートルの区間にわたり片側車線が歩行者専用となり、遊歩道として自由に歩けるようになっている。思い思いに歩いたり立ち止まったりしながら、見上げる高さの雪の量に驚嘆したり、写真を撮ったりすることが出来る。

立山黒部アルペンルート
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除雪

こんなに大量に積もった雪の中からどのようにして道路を見つけて、除雪をするのだろう。雪の大谷を歩きながら、またはバスに乗りながら、両側に迫る雪の壁を見て多くの人が疑問に思うだろう。道路の幅に綺麗に除雪がなされ、両側に高く積み重ねられている。かつては、細かく測量をし、少しずつ除雪をしたとか。現在はGPSを利用して、道路と除雪車の正確な位置を把握し、除雪を行っている。除雪に使われるのは30t級のブルドーザー。表面から少しずつ除雪し、数メートルから十数メートル下の道路に達するまで、除雪を行う。多くの時間と手間をかけ、最終的に両側に雪の壁がそびえる状態が出来上がるのだ。

大迫力の除雪の様子は下の動画1、動画2で見ることが出来る。

立山黒部アルペンルート
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称名滝

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立山黒部アルペンルート
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立山黒部アルペンルートの魅力

立山黒部アルペンルートの魅力はなんといっても、通常ならば、本格的な装備を整えた登山者が何時間もかけてようやく眼にすることの出来る3000メートル級の山の世界を手軽に堪能できること。雷鳥をはじめとする野生生物、タテヤマリンドウ、クルマユリ、タテヤマキンバイ、タテヤマオウギ等の高山植物と、高山ならではの豊かな大自然に触れることが出来る。空気が美味しいのはもちろん、眼に入るものが都会とは比べ物にならぬほど、自然に満ち溢れているのだ。

また、山ならではのアクティビティも魅力。残雪期には山スキー、テレマークスキー、クロスカントリー、スノーボード、スノーシュー(スノートレッキング)、夏から秋にかけての散策、トレッキング、登山。山の燃えるような紅葉、そして11月のパウダースノーのバックカントリーと、それぞれの季節に様々な楽しみ方が可能だ。もちろん、空気が綺麗で大気の薄い高山ならではの満天の星空も魅力。都会ならば100個程度といわれる星が、天候さえよければ、2000個~3000個も見えるかも。星空観察には、夏が終わり、空気が澄む10月中旬以降が特におすすめだ。

立山黒部アルペンルート 宿泊

室堂のホテル立山を始め、みくりが池畔、天狗平、弥陀ヶ原などにホテルがある。ルートや時間、予算によって、いずれかのホテルに宿泊するという選択肢を設けると、旅のスケジュールの自由度がぐっとアップする。また、星空を眺めることが出来たり、人の少ない時間帯に行動を開始できるなど、宿泊ならではの利点も。

ホテル立山

ホテル立山

標高約2450m、リゾートホテルとしては日本最高所にあるホテル。雪の残る春~初夏、緑あふれる夏、紅葉の美しい秋と、雄大で豊かな立山の大自然を堪能できる。ハイキングや散策のほか、本格的な立山、剱岳等の登山の拠点に。

  • 場所: 930-1414 富山県中新川郡立山町芦峅寺室堂
  • 営業: 4月中旬から11月下旬
  • 時間: チェックイン 15:00~ チェックアウト 10:00
  • 料金: 1泊2食付 2名一室19,950円~
  • クレジットカード : JCB、DC、AMEX、DINERS、UC、NICOS、UFJ、SASON、VISA、JTB、MASTER、セディナ、アプラス、ジャル、ディスカバリー、デビッド、銀聯
  • 客室数: 85室
  • 客室備品: 浴衣、バスタオル、ハンドタオル、フェイスタオル、歯ブラシ、フェイスソープ (※バス・トイレ付の部屋のみ、シャンプー・リンス、髭剃り)、スリッパ
  • 無料貸出: 長靴、ストック、スノーシュー、ソリ、懐中電灯、ドライヤー、目覚まし時計、電気ストーブ、加湿器、空気清浄機、ズボンプレッサー、扇風機、アイロン、オセロ、花札、トランプ、将棋、囲碁、ジェンガ、UNO、写生用品(スケッチブック、色鉛筆)
  • 問い合わせ: 電話番号 076-463-3345 FAX番号 076-463-3348
  • Website: ホテル立山(外部リンク)

室堂周辺の宿泊施設

天狗平・弥陀ヶ原周辺の宿泊施設

立山黒部アルペンルート 服装 持ち物

標高2000メートルを越える立山黒部アルペンルートの気温は、平地と比較すると約15度ほど低い。4月中旬のルート開通後、下界では鯉のぼりがはためき、ややもすると汗ばむような陽気になっても、山の上では、気温が0度近く、ときには氷点下になることも珍しくないので、暖かい服装は必須。ケーブルカーやバスで手軽に行かれるからとはいえ、くれぐれも高山であることを忘れないようにしたい。と同時に、山の天気の特徴として、よく晴れた日中には日差がきつく汗をかくほどに暑くなる場合もあるので、服装は「重ね着」が基本だ。さっきまで晴れていても山の天気は急変することもあり、太陽が姿を隠し、強い風が吹けば、体感温度は一気に下がる。ウィンドブレイカー、出来れば内部の湿気は外に逃がし、外部の水分を通さない「ゴアテックス」のものがあると重宝する。また空気が薄く、紫外線がきついので、サングラスと日焼け止めは忘れずに。

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基本装備

観光や散策~軽いトレッキングをする場合。本格的な登山の場合は季節に応じてアイゼンやピッケルなど専門的な装備も必要。

  • 雨具:風が強いと傘は役に立たないので、すっぽりとかぶれる雨具がよい。コンパクトにたたむことが出来て、フードが付いているものがベスト
  • :なるべくなら、靴底が厚めでしっかりとしたもの。防水のものだと安心。(ゴアテックスかそれに匹敵するもの。)靴底のつるつるした革靴やヒールは歩きにくい上、滑って捻挫をすることもあるので危険。
  • ザック:雨具や飲み水などを入れる。足元が悪い場所もあるので、両手は自由に。
  • 帽子・サングラス・日焼け止め:標高があるために空気が薄く、紫外線が強いので。特に雪のある時期の晴れた日は雪目になることもあるので、散策をするならサングラスはあったほうがよい。帽子は風で飛ばされないように紐付きのものを。
  • 飲み物:ミネラルウォーター、お茶、ジュースなど。高山病を防ぐためにも、水分はこまめに。
  • 防風・防寒着:ウィンドブレーカー・小さくたためるダウンジャケット等。4月の「雪の大谷」見学時期や、10月から11月にかけては、平地の真冬の格好でも決して大げさではないほど寒いときもある。真夏でも凍えるほどに寒くなることもあるので、防寒着は必須。寒すぎて、風景を楽しむ余裕もなかったという話もよく聞くので、特に寒がりの人は1枚、2枚多めに持っていくほうがよいだろう。荷物が少しばかり増えるよりも、寒すぎてがたがた震えるほうがつらい。

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立山黒部アルペンルート 気候

室堂の4月中旬から下旬の平均気温は1度~3度。真夏でも15度~17度くらい。天候によっては、一日の中でも気温の上下も激しく、また、朝晴れていても、昼過ぎには荒れたりすることもある。せっかく来たから、といって決して無理はしないこと。

立山の天気

大町の天気

立山黒部アルペンルートへのアクセス

立山黒部アルペンルートへは、富山側からと長野側からのアクセスが可能。出発地や次の目的地、利用する交通機関、旅程、予算などによって、富山側から室堂までの往復、長野側から室堂までの往復、または富山から長野へ、もしくは長野から富山へ抜けるルートを選択しよう。マイカーでいく場合は、回送サービス(立山~扇沢間を通り抜ける際、自家用車を回送してくれるサービス)の利用も選択肢の一つだ。

立山黒部アルペンルート 富山側へ車で

立山ICまたは富山ICから一般道(約35分~40分)で立山駅へ。駐車場に車を止め、立山駅から立山ケーブルカーで美女平駅へ。立山高原バスに乗り換え室堂。

カーナビの入力は[立山駅]076-481-1145 所在地:富山県中新川郡立山町千寿ヶ原

東京から車で立山黒部アルペンルート 富山側へのアクセス モデルルート

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大阪から車で立山黒部アルペンルート 富山側へのアクセス モデルルート

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名古屋から車で立山黒部アルペンルート 富山側へのアクセス モデルルート

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立山黒部アルペンルート 富山側へ鉄道で

鉄道を利用して立山黒部アルペンルートの富山側へアクセスする場合は、魚津駅または富山駅から富山地方鉄道に乗り換え、立山駅へ。

東京から鉄道で立山黒部アルペンルート 富山側へのアクセス モデルルート

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大阪・名古屋方面から鉄道で立山黒部アルペンルート 富山側へのアクセス モデルルート

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博多から鉄道で立山黒部アルペンルート 富山側へのアクセス モデルルート

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仙台から鉄道で立山黒部アルペンルート 富山側へのアクセス モデルルート

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立山黒部アルペンルート 長野側へ車で

立山黒部アルペンルート長野側の入り口扇沢駅へは、安曇野ICから一般道で約1時間。

カーナビの入力は[扇沢駅]0261-22-2526所在地:長野県大町市

東京から車で立山黒部アルペンルート 長野側へのアクセス モデルルート

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立山黒部アルペンルート 長野側へ鉄道で

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立山黒部アルペンルート 注意点

平地から2000メートル以上の高地に一気に行くために、体質や体調によっては高山病にかかる場合もある。特に心臓疾患、高血圧等の持病がある人、妊娠中、乳幼児を連れて行く際などは、かかりつけの医師などに相談の上、体調を整え、万全を期して出かけたい。高山病の症状としては、頭痛、吐気、眠気など。不調を感じたら、無理をせずに、近くのスタッフ等に相談すること。高山病予防対策として、十分に水分を取るのが望ましい。

山の気象条件は厳しく、植物の生育にも時間がかかる。たとえば、高山でよく見かける常緑針葉樹で、雷鳥のすみかでもある「ハイマツ」は、耐寒性が高い一方で成長が遅く、直径10センチ程度になるのに数十年を要することもある。綺麗な花を咲かせるチングルマも群落を作るのに数十年要するという。これらの植物は、一度踏むと復元するのに最低でも10年はかかるのだ。くれぐれも、立ち入ってはいけない場所に立ち入らないように、またむやみに踏みつけてしまわないようにしたい。

食事場所やお手洗い、宿泊施設など、数が限られている施設に沢山の人が訪れるハイ・シーズン。早め早めの行動がおすすめだ。特に昼時などはレストランもお手洗いも行列が出来ることも珍しくなく、思ったように動けないこともままある。また、乗り物の切符も区間ごとに購入出来るとはいえ、なるべくなら最初のチケット売り場で目的地までの切符を購入することをおすすめする。そうすることによって、途中の切符売り場で並んだりすることもなく、次の乗り場へとスムースに移動できる。マイカーの回送サービスを利用する場合も、事前予約は必須。

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JAPAN WEB MAGAZINE Tomo Oi

浅草在住。ウニとホヤと山と日本酒をこよなく愛しています。落語好き。

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