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刺身に添えられているダイコンの細切りは「ダイコンのツマ」なのか「ケン」なのか

刺し盛

刺身に欠かせないダイコンの「ツマ」

懐石料理、会席料理、割烹料理などの日本料理の店や、寿司屋、居酒屋などで提供されている(もしくはスーパーマーケットや魚屋さんなどで売られている)「お刺身」や「刺し盛り(刺し身の盛り合わせ)」「お造り(御造り・お造里)」に欠かせない「ダイコンの細切り」「大根の千切り」。

主に、魚の切身や貝などの下に敷かれていたり、脇に一緒に添えられて、刺身(造り)を美しく演出しています。あの「ダイコンの細切り」、一般に「ダイコンのつま」もしくは単に「ツマ」と呼ばれることが多いですよね。白くて細く、見た目にもさっぱりと新鮮味があり、魚介類を美しく上品に見せる効果があります。

普段、飲食店でしかお刺身を食べない方は、当然のように「ツマ」が添えられているのであまり気付くこともないかもしれませんが、スーパーマーケットや鮮魚店などで刺身の「サク」を買ってきて、自分で切り身にして皿に盛りつけたり、切り身になったものを買ってきて皿に盛りつける際、何らかの理由で何も敷かず、何も添えずに直接「切身」を皿に乗せてみたことのある方なら、「ツマ」の存在感の大きさに気づくかもしれません。

マスの刺身

見た目にはただのダイコンの細切り・千切りにしかすぎませんが、切り身の下にあるだけで、(または一緒に添えられてあるだけで)、お皿全体の見た目もきゅっと締まりますし、切り身それ自体も、より綺麗に美しく、そして美味しそうに見えます。

見た目だけではなく、ダイコンに含まれる酵素の効果などにより、消化を助け、刺身を美味しく食べられるという意味合いがあるのもご存じの通り。

見た目にも美しく、身体にもいい。昔の人の知恵が生きている存在、それが「ダイコンのツマ」なのです。

そんな、本来であれば大きな意味を持つ「ダイコンのツマ」ですが、意外と軽んじられていることも多いようです。

今日はそんな「大根のツマ」について見てみましょう。

「ツマ」 正式には?

まずはその名前「ツマ」ですが、実は大根を細切りにしたものは正式には「ダイコンのけん(大根のケン)」と呼ばれます。「ケン」とは、「あしらい」と呼ばれる刺身や焼き物などに添えられるものの一つで、大根やキュウリ、ミョウガなどを細く、鋭い見た目に切ったもの。

その「剣」のような見た目から(または「剣」のように立てて盛り付けるから)「ケン」と呼ばれるようになったと言われますが、ややこしいのが、この「ケン」は、「あしらい」の中の「ツマモノ」「ツマ」と呼ばれる添え物に含まれることも多い、ということ。

そもそも、料理用語に限らず、言葉というものは変化、進化するものでもあり、人によって解釈が異なったり、誤用がいつの間にか定着したり、地域(地方)や店、人などによりその使い方や呼び方にバリエーションがあったりすることで、多様な意味を持つ場合も少なくないわけですが、この「大根のケン」もご多分に漏れず、色々と変化(進化)してきた言葉なのでしょう。

「ツマ」に含まれることから、次第に「大根のツマ」とも呼ばれるようになり、いつしか「ツマ」=「刺身に添えられる千切りの大根」という認識を持つ人が増え、現在のように刺身に添えられている細切りのダイコンを「ダイコンのツマ」「ツマ」と多くの人が呼ぶようになったのではないかと思われます。

そんな訳で「正式」には、「大根のケン」と呼ばれるものの、上記でご説明した通り「大根のツマ」がまったくもって誤用と言い切れるわけでもなく、料理のプロや言葉にこだわる人は「ケン」と呼ぶ人もおり、そうでない一般の人、もしくはプロでも汎用的に(特にお客に向けて)「ツマ」と呼ぶ人も多いということです。(白い色をした「ダイコンのツマ」に対して、ニンジンで作る「ケン」=「ニンジンのツマ」を赤っぽい見た目から「赤ツマ」と呼ぶこともあります。)色々ややこしいですね。

ツマは食べられるの?食べてもいいの?

この「大根のケン」「大根のツマ」ですが、きちんとした店(一流の日本料理店や寿司店)では大根をカツラむきにしてから、細切りにすることによって、お店でちゃんと作っています。そんなお店のダイコンの「ケン」「ツマ」は当然見た目に美しいだけではなく、美味しく食べることもでき、切り身や貝を食べる合間に、箸でおもむろに持ち上げて醤油をつけて口に頬張ると魚介の風味が残る口をさっぱりとリフレッシュしてくれます。

当然、作る際には大根をカツラむきにするにも技術が要りますし、それなりに手間暇もかかるので、専用の機械や道具を使ったり、業者から買ったものを使う店もあるようです。

「ダイコンのツマ」は「飾り物」として食べない人もいるようですが、きちんとしたお店の「ダイコンのツマ」であれば、みずみずしくて美味しいので、是非一度口にしてみることをおすすめします。また、スーパーマーケットの半額セールの刺身盛り合わせについてくるモノなど、少し時間がたっていてみずみずしさが失われたものや血が滲んでいるものなどはちょっと抵抗があるかもしれませんが、そういった「ツマ」でもサッと水洗いして味噌汁などに入れると美味しく食べることができるので試してみてくださいね。「刺身 ツマ 料理」「残り 刺身 ツマ 利用」「刺身のつま リメイク」などで検索すると、ガーリックチーズ焼きやダイコン餅など、思わぬ料理法、美味しそうなレシピも出てきます。

「ツマ」にはどんなものがあるの?

あしらいである「ツマ」は、大根だけではなく、様々なものが用いられます。

薬味としても用いられるシソ(大葉)のほか、人参、きゅうり、菊(小菊)など、さらには、ちょっと気の利いたお店で食べる刺身・造りのお皿に盛りつけられていることも多い「シソの穂(穂ジソ)」や、穂だけではなく花のつぼみもついた「花穂・花穂ジソ」、紫芽(赤シソの若い芽)、青芽(青ジソの若い芽)、花がついたキュウリ(ハナマルキュウリ・ハナマル)、葉つきのキュウリ、ハマボウフウ、タデ(紅タデ・赤芽)、芽たで、ワカメ、イギス、オゴノリ、トサカノリ、水前寺海苔、岩のり、海苔、フノリなどなど。変わったもの(主に高級店などでお目にかかる珍しいもの)としては、バクダイカイ・バクダイ(莫大海=伯樹・ハクジュの乾燥果実)、メカンゾウ (芽萓草)などというものも。

刺し盛

お店やメニューのグレード、皿の大きさなどによっても異なるほか、地域などによっても様々な種類のツマにお目にかかることもあります。何気なく食べている刺身の盛り合わせ。次にお店に行った際には、あらためてどんなツマが添えられてあるか、見てみてくださいね。

Japan Web Magazine 編集部

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