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三渓園

三渓園

重要文化財の建物が点在する日本庭園

明治末から大正時代にかけ製糸・生糸貿易で成功した岐阜県出身の実業家・原三溪(原富太郎)によって造られた庭園が、神奈川県横浜市にある三溪園。横浜駅から南東方向に6~7kmの東京湾に面した場所、かつて「三之谷」と呼ばれた起伏に富んだ谷あいの地に造り上げられた、175,000平方メートルという広大な敷地面積を誇る日本庭園だ。国の重要文化財の指定を受けている建造物10件12棟など、園内には京都、鎌倉、和歌山、岐阜などから移築された17棟の建物が、様々な草木と共にバランスよく配されており、春夏秋冬、それぞれの季節に、「日本の美」を感じることの出来る場所だ。

園内は、原三溪が私庭としていた内苑と、梅林や展望台のある外苑からなり、内苑には、京都東山の西方寺から移築された1708年頃築の御門、三溪が隠居所として夫人と暮らした数寄屋風建築の白雲邸、1649年築の重要文化財・臨春閣ほか、同じく重要文化財である旧天瑞寺寿塔覆堂、聴秋閣、天授院、月華殿、春草廬(しゅんそうろ)などが点在、外苑には旧燈明寺三重塔や、現存する合掌造では最大級の民家・旧矢箆原家住宅、旧東慶寺仏殿、横笛庵などが点在する。

三渓園

神戸や長崎と並ぶ、異国情緒あふれる港町「横浜」、高層ビル群が立ち並び、沢山の人が行き交い、車や電車、バスがひっきりなしに通り過ぎる大都会「横浜」の一角に存在する純日本式庭園。現代的な素材、最先端の工業品からかけ離れた、古き良き時代の匠の技と素材によって造り上げられた和の建物が、自然と調和しながら点在する静かで美しい空間は特別なもの。忘れかけていた「何か」、失いつつあるかもしれない「何か」をふと思い出させてくれるような、そんな場所だ。

三溪園の歴史

三溪園は、1902年(明治35年)頃から造成が始められた。一帯の広大な土地は明治初年、三溪の養祖父・原善三郎が購入したもの。善三郎は明治20年代に、別荘として山上に松風荘を建てている。1899年(明治32年)の善三郎死去の後、暫くして三溪は造園に着手したという。1902年(明治35年)に、住まいとして鶴翔閣を建て、本宅とした。1905年(明治38年)には、庭師を関西方面に派遣、彼らが横浜に帰ってきた後、本格的に造園を開始している。

1906年(明治39年)5月には外苑が一般に無料で公開され、旧燈明寺三重塔の移築(1914年)、臨春閣の移築(1917年)、聴秋閣の移築(1922年)で内苑は完成。しかし、関東大震災で数棟の建物が損壊、消失してしまう。1939年(昭和14年)に三溪逝去。第二次世界大戦の空襲で三溪園も大きな被害を受けるが、1958年(昭和33年)には戦争で被害を受けた建物、庭園等の復旧工事が完了、内苑が一般公開されている。

1960年には旧矢箆原(やのはら)家住宅が移築、1987年には旧燈明寺本堂が移築され、1989年に三溪記念館が開館、2007年(平成19年)には、「近代の自然主義に基づく風景式庭園として傑出した規模・構造・意匠を持ち、保存状態も良好で、学術上、芸術上・鑑賞上の価値は極めて高い」存在として評価され、建長寺庭園、円覚寺庭園、瑞泉寺庭園と横浜の山手公園に続き、神奈川県下では5件目の国の名勝に指定された。

三渓園の魅力をフルスクリーンで見る

晩秋の三溪園

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春の三溪園

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初夏の三溪園

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旧矢箆原家住宅(きゅうやのはらけじゅうたく)

江戸時代後期(18世紀)に建てられた白川郷の合掌造りの民家。1960年に移築されたもの。式台玄関や書院造の座敷など、堅牢豪華で立派な造りで、飛騨の三長者とも呼ばれた裕福な豪農であったことが窺える。現存する合掌造りの建築物としては最大級の民家で、重要文化財に指定されている。9:00~16:30の間、内部の見学も可能。囲炉裏や屋根裏部屋など、往時の生活様式、雰囲気を垣間見ることができる。民具、農機具なども展示されている。

三渓園
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屋内には飛騨地方で使われた民具などが展示されている。

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三溪園天満宮

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旧東慶寺仏殿

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1634年(寛永11年)築の建物で、縁切寺の名で知られる鎌倉の東慶寺の仏堂。1907年に移築されたもの。重要文化財。

旧燈明寺三重塔

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1457年(康正3年)築。京都府相楽郡加茂町(現木津川市)の燈明寺(廃寺)にあった塔で、1914年に移築されたもの。現在、関東地方にある木造の塔では最古の塔。

旧燈明寺本堂

三渓園

三重塔と同じく1457年(康正3年)築。燈明寺廃寺後も1948年まで京都府相楽郡加茂町(現木津川市)にあったが、台風で倒壊、解体されて保存されていた。1987年(昭和62年)に移築。

三溪園へのアクセス

公共交通機関で:三溪園へは横浜市営バスの利用が便利。みなとみらい線元町・中華街駅4番出口を出て右に50メートルほどの場所にある山下町バス停から8・148系統で約15分、「桜道」または「本牧三溪園前」で下車。バス停から徒歩5分ほど。「三溪園へ300メートル」といった看板が出ているので、指示通りの方向に進んでいくと突き当り右手側に三溪園の入り口が見えてくる。チケット売り場は門のすぐ脇にある。JR根岸駅利用の場合は、バス1番乗場から58・99・101系統で、約10分で本牧バス停。下車後徒歩10分。桜木町駅からは、バス2番乗場から8・148系統で約25分、本牧三溪園前下車、徒歩5分。横浜駅からは東口の市バス2番乗場から8・148系統で約35分。

車で:車で訪れる場合は、東京方面からの場合は「本牧埠頭ランプ」で降りて約10分。(「三渓園ランプ」は下り車線からは下りられないので注意)。東名横浜町田方面(保土ヶ谷バイパス「狩場IC」経由)、及び第三京浜自動車道路からは「石川町IC」を経由し「新山下ランプ」で降りて約12分。横須賀・金沢方面からの場合は「並木IC」経由、「三渓園ランプ」で下りて5分ほど。それぞれのランプから湾岸線沿いに走り「本牧元町」信号を右折(三渓園ランプからは左折)し、三つ目の信号を左折、道なりに進むと三溪園につく。三溪園敷地内に駐車場があるので便利。ただ、紅葉時期や梅、桜の時期の土日は大変混雑する。駐車場待ちの車列ができるので、あらかじめ考慮したい。

Memo

園内では毎年、盆栽展(1月)、観梅会(2月初旬~3月初旬)、観桜の夕べ(3月下旬~4月初旬)、蛍の夕べ(6月1日~9日)、観月会(9月19日~9月23日)、紅葉の古建築公開など、季節毎に催物が開催される。

また、園内にある国指定重要文化財・横浜市有形文化財等の建築物(一部を除く)は、お茶会、句会などの文化的催事、撮影などの目的での利用が可能。鶴翔閣では、文化的催事以外の利用、会食、懇親会等のほか、迎賓、コンベンションプログラムの会議、結婚式等のパーティ会場としての利用も可能だ。料金は鶴翔閣茶の間棟の茶会等での利用で15,000円~、横笛庵8,000円~、庭園9,100円~など。詳細は三渓園 貸出施設の案内へ。

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Japan Web Magazine 編集部

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