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かもめの玉子

かもめの玉子

三陸銘菓「かもめの玉子」

包みを開けるとほんわりと柔らかな香りを纏いながら姿を現す純白色をした卵形の物体。いや、卵形というよりもその姿は卵そのものだ。その名もずばり「かもめの玉子」。岩手県三陸地方の銘菓である。

かもめの玉子は、岩手県大船渡市の小さな菓子店で生まれた。戦後の事だ。開発を始めたのが昭和27年。特色のある菓子、地元を代表する菓子を、と開発を始めた。ある日、先代の主が、大船渡の土産菓子としてふさわしいものはなんだろうといつものように考えをめぐらせていた時のこと。ふと、青い海原の上を颯爽(さっそう)と飛ぶカモメの姿が目に飛び込んできた。ひらめいた。これにしよう。こうして、大空を舞うカモメの卵をモチーフにした菓子を作ることになったのだ。

以来、試行錯誤し、創意工夫を重ね、「かもめの玉子」の色、形、そしてオリジナルな味を求めていった。一度は、生産を中止することになりながらも、開発を再開。難しい温度管理などの問題をクリアするために、日々、挑戦し、失敗し、発想の転換を重ねた。従来のカステラにはあまり用いないマーガリンを使用することでまろやかさを出すなど、様々な工夫が加えられた結果、ようやく出来上がったのが「かもめの玉子」というわけだ。

「かもめの玉子」をあらためて手にとって見ると、小ぶりながらも中々の重量感。コーティングをした後に固まったものだろうか、白くちょこんと飛び出た尻尾の様な突起が可愛らしい。おもむろに二つに割ってみる。勿論本物の様に殻がぽんと割れるわけではない。ナイフを使って二つにする。しっとりとした感触だ。そうして二つに割ると目に飛ぶ込むのは、これまた本物の玉子の様な、もう少し正確に言うと本物の固ゆで玉子のような形状。大き目の黄身、それを包むカステラ、その外側の白い表面。

口の中に入れると、ほろりと崩れながら、層になった様々な味と香りがうまく交じり合いながら、口の中に広がっていく。白い表面は、ホワイトチョコレートのようだ。それも甘すぎず、いいバランス。内側のカステラが、黄身であるさらに内側の餡の味をその見た目同様、しっとりと包み込み、まろやかな甘みを出している。餡には北海道十勝産の白いんげん豆「大手亡」を用いているという。上品な味わいだ。品のあるほどよい甘さを出すために白ザラメ、そして岩手県北で栽培されているキタカミ小麦を使用。鶏卵も新鮮なものを使っているそうだ。半分がなくなったら、もう半分。二つに割った玉子は、あっという間に姿を消してしまった。「満足感」という名のささやかな幸福を残して。

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かもめの玉子には、一口サイズの「ミニかもめの玉子」もある。おめでたい席にぴったりな紅白かもめの玉子やゴージャスな黄金かもめの玉子も。また、一日も早い復興への願いを込め、みんなが笑顔になれるお菓子をとの思いで、しっとりとしたカステラ生地でホワイトチョコ餡を包み、甘酸っぱいラズベリージャムを閉じ込めた「復興福朗」という菓子を開発、好評販売中だ。

「復興福朗」(写真提供・・・さいとう製菓株式会社)

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三陸の銘菓「かもめの玉子」。岩手県内の直営店や、東京のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」などで購入が可能。ホームページからも買うことが出来る。

Japan Web Magazine 編集部

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