東京雪景色
公開日: 2009年2月21日 | 最終更新日 2024年10月28日
静寂の白
東京に降る雪は、雪国に降るそれとは少し趣きを異にする。
雪が日常的ではないからこそ、交通機関に混乱は起き、慣れぬ雪に滑ってけが人が出ることもある。
しかし、その一方で、雪は喧騒と騒乱の大都会をふわり白いベールで包み込み、例えそれは僅かな間だとしても、いつにない静けさを街にもたらしてくれるのも事実だ。
特に夕刻あたりより降り始める雪は、人々をして、いつもより早くに(そしてまっすぐに)家路へと急がしめ、23時を回る頃には、街には人も車も随分と少なくなる。
普段、眠ることのない街、人工物に占められ、光と音で溢れ返る都市空間も、この時ばかりは真っ白な雪に覆われて、しばし休息をするかのようにひっそりとその身を横たえ、静かに目を閉じるのだ。
大都会の象徴の様な路地裏に置かれたゴミ箱の群れでさえ、刹那の美しさを纏うのだ。
そんな静寂の白に包まれた夜の東京の雪景色、昼間の東京の雪景色とあわせてお届けしよう。
雪雲にネオンが反射するのか、夜だというのに不思議な明るさを見せる空に五重塔のシルエットが映える。
東京の最深積雪記録及び雪と事件
東京の観測史上(観測開始は1876年)、最深の積雪は1883年02月08日に記録された46センチメートル。第2位は1945年02月22日の38センチメートル。最近の積雪と比較すると、結構な積雪量だ。
今なら、交通網の大混乱は必至だろう。
今の東京はあまり雪のイメージはないが、東京で起きた歴史的な大事件のいくつかは雪と結びついている。
「桜田門外の変」や「2.26事件」、そして「赤穂浪士の討ち入り」がそうだ。
300年以上前の「赤穂浪士討ち入り」はさておき、「桜田門外の変」と「2.26事件」という、その結果如何もしくは事件の有無如何では、もしかすると現在の日本の有り様さえ変わっていたかも知れない大事件が、東京の雪と結びついているというのは興味深い。