松代 武家屋敷の町並み
上信越道長野ICから車で約7分、長野市にある松代(まつしろ)は、真田幸村の兄で松代藩の初代藩主・真田信之が上田城から松代へ移封して以来250年間に渡り、真田家によって治められた地。川中島合戦の際、上杉と戦った武田側の拠点として築城されたという松代城(海津城)を中心に、落ち着いた佇まいの町並みが随所に残り、今も歴史や文化を感じられる場所として、多くの観光客が足を運ぶ。
松代城跡や松代藩の藩校・文武学校周辺の歴史的街並みに、城下町の風情が残されているとして「美しい日本の歴史風土100選」にも選ばれており、江戸時代後期の思想家で、兵学者、朱子学者でもあった佐久間象山(吉田松陰の師としても知られる)を祀った象山神社や、旧樋口家住宅、旧白井家表門といった松代藩の藩士が居住した家々、太平洋戦争の際に設営された松代大本営跡など、町には様々な歴史的史跡や名所が点在している。また、効能の高いことで知られる松代温泉や、長いも、杏、松代焼きといった人気の特産物もあり、文化的な楽しみと享楽的な楽しみの両方を満足させることができる。
そんな松代の町の一画に今も残る武家屋敷の町並み。山寺常山邸前の風景。山寺常山は、佐久間象山、鎌原桐山と共に「松代三山」と呼ばれた人物で、松代藩の寺社奉行、郡奉行を務めた。
江戸時代末頃から明治初期にかけて建てられたといわれる、松代城下では最大の間口22メートルを誇る表門は長屋門形式で、後ろに聳える象山を借景に、特に紅葉の季節には趣或る景観を見せる。近代和風建築の秀作ともいわれる書院は、大正時代末期から昭和初期にかけて建てられたもの。内部や庭は見学できるようになっている。