襟裳岬の朝
公開日: 2015年5月22日 | 最終更新日 2015年5月24日
「自然の破壊は人間の破滅に繋がる」と百年前に警鐘を鳴らした南方熊楠。
彼の言葉もむなしく、人類は、便利さと快適、自らの欲望のために自然を破壊し続けている。南方熊楠が今の日本、そして世界の状況を見たらなんと言うだろう。
テクノロジーの恩恵を最大限享受して日々生活している身としては、一切偉そうなことも言えないのだが、それでもこんな風景を見ていると、自然の美しさに改めて思いが至る。
「どれほど筆を尽くしても、自然の色の美しさには敵わない」といった画家の気持ちがよくわかる。
繊細な色合い。微妙なグラディエーション。
柔らかな天空の風が吹き抜ける。
争い、衝突がただただ愚かであることに、「怒り」に「怒り」で、「憎しみ」に「憎しみ」で対抗しても、負の連鎖しか生まれないことに、「欲望」はさらなる「欲望」を生み、「貪欲」にしかならないことに、いつになったら気づくのだろう。いつになったら学ぶのだろう。
色が、空が、海が、光が、そんな風に呟いているようにも聞こえる。
「自分の為だけではなく、ほんの少しだけでも、人の笑顔や想いや輝きの為に生きていかれれば、もう少し世の中は平和で楽しいのに。」と。
どこかで「ちゅんちゅんっ」と鳥が鳴く。
午前4時。襟裳岬に朝が来る。