日本の道 Part 2
公開日: 2008年10月23日 | 最終更新日 2014年12月14日
その先に
目指すものが在るのかどうか
それが今はわからなくとも
行かねばならぬ時もある
どんなに行かねばならぬとも
どうにも行けない時もある
休んだり
惑ったり
迷ったり
戻ったり
僕の前に道はなく
僕の後に道は出来ると詩人は言った
どこに向って道は出来るのか
道の向こうに何があるのか
行きつ戻りつ
戻りつ行きつ
人は一体何を目指し
そしてどこへ行くのだろう
てくてくと
すたこらと
たまにはのんびり
時にはしょんぼり
ある時はがしがしと
そしてまたゆっくりと
走りながら
休みながら
笑いながら
泣きながら
いつかそこまでたどり着くと
人は信じて行くのだろう
この道はどこに続く
未知なる道へ
JWMが選ぶ日本の道 Part 2
未知なる道へ
日本各地の道
竹田城のある兵庫県朝来市は地形的に朝霧の出やすい場所として知られる。初めて訪れた者はその美しさに目を見張るが、毎日の様に見ている地元の中学生は慣れっこになっているのだろう、「おはようございます!」元気よく挨拶をしながら、自転車で通り過ぎていった。
地震の多い日本。かつて関東大震災という未曾有の大地震に見舞われた事のある東京には400メートルを越す建物は建てられないと、言われていたのは遙か昔の事か。今や、634メートルもの構造物を立てられるほどに建築工法も建築材も進化している。昔ながらの街並みが残る東京の下町と、最新最高の現代技術の象徴が同時に違和感なく存在してしまうのもまた東京の懐の深さなのだろうか。
東シナ海に浮かぶ五島列島の一つ福江島は「切支丹ゆかりの地」として歴史にその名を刻み、今も島の各所に信者の人々が手ずから作った教会が残るが、その一方、かつて城があり、武家屋敷の町並みの面影が今も残る場所でもある。上部が丸くなった独特の形状の石垣が数百メートルにわたり連なっている。
登山道も道とするなら日本で一番高い所にある道。日本最高所、富士山の剣が峰(3776m)への登り道だ。こんな高いところにも虫がいて鳥がいることに驚く。
愛媛県の宇和島にある外泊集落は石垣が連なる里として、「美しい日本の歴史的風土100選」などにも選ばれている美しい集落。入り江に面した急斜面の土地に石垣が積み上げられ、家々が立ち並ぶ様は壮観だ。積み上げられた石垣は台風や冬の風から家を守るための知恵という。どのようにして建築資材を運び上げたのだろうと不思議に思うほどにせまくて急な道を人々は日々行き来する。
鳥取県倉吉市は鳥取市と境港市のほぼ中間に位置する人口約50000人ほどの町。白壁の土蔵が立ち並び、古い町並みが今も残る。上の外泊集落と同じく「美しい日本の歴史的風土100選」にも選出されている。
松代藩真田家十万石の居城として名高い松代城下に広がる松代の町は、今も昔ながらの木造建築物が随所に並ぶ、情緒ある佇まいを見せる町。古きと良きがそこかしこに残る。吉田松陰や橋本左内、そして勝海舟などに大きな影響を与えた知識人、佐久間象山ゆかりの地でもある。
静岡県静岡市由比近辺は海沿いの狭いエリアに、日本の物流の動脈とも言える東海道線、東名高速道路と国道一号線が通る箇所。特にトンネル付近は国道と東名高速が交差し、遠くに(晴れていれば)富士山が見える絶景エリアだ。
夜半過ぎに降り始めた雪は朝になっても降り続け、次第に激しくなって視界を閉ざしていく。世界は空の鈍い灰色と木々の黒、そして真っ白な道の三色に支配される。そんな中、路肩を示す赤い矢印が目に鮮やかだ。雪がふと晴れた瞬間に。
三月中旬、朝5時半。次第に空は明るくなっていく。気温は氷点下。車の外に出ると芯まで冷えるようだ。ふと振り返るとそこには青くどっしりと聳える富士が居た。
春の吉野は桜で賑わう。そして人で賑わう。見渡す限りさくらさくらさくら。そして人、人、人。しかし、早朝の吉野はまだひっそりとしている。賑々しくなるこれからに備え、ほっと一息ついているかのように、町が小さく息をする。
岡山県の山間部にひっそりと佇む吹屋集落はかつて日本有数の産出量を誇った吹屋銅山によって繁栄した町。ベンガラ格子と石州瓦の重厚な商家の町並みが続く魅力的な町だ。国の重要伝統的建造物群保存地区にも認定されている。
近隣の千駄木、根津と共に東京の下町として人気のエリア、谷中。それぞれの頭文字をとって「谷根千(やねせん)」の愛称で親しまれている。激安のコロッケ屋や店頭で立ち飲みの出来る酒屋、個性的な土産物屋などが並び、特に休日は多くの人々で賑わう。
長引く梅雨のつかの間の晴れ間、濡れた道と用水路が手に手をとるようにして並びながらジグザグと向こうへ続いている場所に行きあった。青々と茂る田んぼの色が目に鮮やかで美しい。
冬眠明けのお腹を空かしているヒグマの親子にばったり出会わないことを願いながら、大きな音を出し、大きな声で歌いながら山道を行く。林道入り口から約4キロ。平坦な道はどこまでも続く。目的地はまだまだ先だ。
ビルの高さをも凌ぐ見上げるほどの立ネプタ。光と熱に満ち溢れるこの活気ある祭りの始まりを待つように、茜色に染まった空は静かにその色を深い青色へと変えていく。斜め左側に見える岩木山も静かにその姿を漆黒の闇の中に隠していく。さあ、夜の始まり。祭りの始まりだ。
青春18きっぷを手に飛び乗った列車を早朝、ふと思い立って途中下車する。早朝といっても冬の朝4時半。あたりはまだまだ真っ暗だ。しかし、思ったほど寒くもなく、むしろさらさらと舞う粉雪が気持ちよい。静かな町を静かに歩く。心が少し、透明になる。
坂の町、そして階段の町「尾道」。郵便屋さんも宅配便の人も荷物を手に駆けていく。集荷も配達も見るからに一苦労だ。住んでいる人々も通勤に通学に、買い物に、日々上り下りは楽ではないだろう。景色の美しさとは裏腹に、大変さもそこにはある。ふと、引越しの荷物はどうするのだろうという疑問が頭をよぎる。
北の国の夏の夕暮れはひたすら透明、純潔な美しさで長く続くが、南の国の夏の夕暮れは、黎明期の地球の夕焼けはかくやと思うほどに瞬時真っ赤に燃え上がり情熱的に空を覆った後、次の瞬間にはもう終わってしまう。そうして、後には青い囁きと淡い静寂が残る。