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法師温泉 長寿館

法師温泉

谷間に佇む安らぎの宿

山深い峠の谷間に、その温泉は静かに佇む。

時を超え、空間を超え、世界が止まってもそこだけは変わらず時を刻み続けるかのように、平和な空間の中に穏やかな面持ちで静かにある。

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法師温泉

長寿館は法師温泉の一軒宿。国道17号線を新潟方向に、三国峠の手前を左に折れた細い山道を入って暫らく行くと現れる。青々と茂る木々の中、どっしりとした安定感と存在感、そして奥ゆかしさと懐かしさに包まれた宿だ。

安心感のある佇まい。日も暮れて、心細く山道を迷いながら歩きつづけ、遠くに明かりのついた民家が見えた時のような安堵感とでもいおうか、心からほっとする佇まい。年代の違う建物が敷地内に何棟か並んでおり、古いものでは明治の初期に建築された建物が国登録有形文化財に指定されているという。実に趣がある。

清らかな川が流れ、両岸に建つ建物を結ぶ渡り廊下がその上に完璧な高さと形状で掛かっている。木々が水面にその影を映し、川の中の幾つかの石に当たった水は左右に割れ、そしてまた一つになる。そのすぐ手前の段差でささやかな滝になった流れは、ひとしきりその周辺を白く跳ね踊り、又下流へと流れゆく。そして水泡はきえてゆく。

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橋を渡り、少し歩くと左側に入り口が見えてくる。江戸時代の旅籠を思い起こさせる玄関口の雰囲気。暖かな声と正面にすえられた重厚感のある木の机に出迎えられる。入って左側には囲炉裏がきってあり、先着の客がくつろぎながら世間話をしている。手ぬぐいを持った男性が右に行くのが見え、浴衣姿の女性二人が楽しそうな声をあげながら、脇をすり抜ける。忙しそうに行き来する宿の人々。まるで何かの絵を見ているかのようである。ある一つの幸せの形がそこにはある。

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法師温泉

その名で知れるように、弘法大師によって発見されたと伝えられる法師温泉、「法師の湯」は三国峠そばの沢にその源を発する法師川上流に位置する。鬱蒼と生い茂る緑の中に湧く無色透明のカルシウム、ナトリウム硫酸塩泉である。直木三十五や川端康成をはじめとする数々の文人・墨客に愛された温泉で、法師の湯を詠んだ多くの歌や俳句、文章が残されている。

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長寿館概要

客室の数は全部で三十七室。定員は百三十人。本館(明治初期)、別館(昭和十五年)、薫山荘(昭和五十三年)、法隆殿(平成元年)がある。

大浴場は法師乃湯、長寿乃湯(女性用)、玉城乃湯(野天風呂付)。法師乃湯と客室の本館及び別館が国登録有形文化財に指定されている。

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風呂

名のある棟梁によるものであろうか。頑丈な梁が架せられた堅牢な作りの建物。暖かい木のぬくもりが残る大浴場法師乃湯は明治の面影を今に伝える混浴の風呂である。男女別の更衣室のほかに、脱衣用の棚が浴槽のすぐ脇に設けられており、今でも「通」はそこを利用するという。「水着やバスタオルなどを巻いて入ることはご遠慮下さい」との注意書き。風習を守り続けてゆく心意気。時代の流れに配慮して、女性専用の時間帯も設けられている。

全国でも二十数ヶ所しかないという、湯船の底の石の間から適温のお湯が直接湧出してくるという法師乃湯。底からぽこぽことあがってくる柔らかなお湯を全身に感じながら、各湯船に渡された丸太を枕にのんびり浸かっていると身も心も蕩けていく。

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食事

所々に工夫を凝らし、かといって決して奇をてらうことのない、素材の持ち味をいかした品々が出てくる。お米は魚沼産のコシヒカリを使用。独活(うど)、木の芽焼き、シカのたたき、姫マス、ふきなど、季節を感じられる品が嬉しい。

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部屋

法師温泉

本館

法師温泉

別館

法師温泉

薫山荘

法師温泉

法隆殿

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法師温泉

現代社会が忘れてしまった、余裕や穏やかさやぬくもりや静けさや安心が広がる空間と時間。日常にふと倦んだら、ふらりと出かけてみて欲しい。

窓辺に座り、せせらぎを耳にしながら、木々を眺めているだけで、心が少し、元気になるはずだから。そしてのんびりと風呂に浸かりながら、湯船の底からぽこぽこと沸いてくる泡を見つめれば、湯気と共に倦怠もどこかに消えてゆく筈だから。

法師温泉

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法師温泉 「長壽館」

Japan Web Magazine 編集部

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