冬の片品渓谷
公開日: 2015年2月25日 | 最終更新日 2024年1月28日
長野県上田市から栃木県日光市まで、約320キロメートルに渡って続く「日本ロマンチック街道」は、150以上の観光コースが点在するともいわれるドイツの「ロマンチック街道」に倣って名付けられた道。
観光コースの数や知名度では本家本元には及びませんが、上信越高原国立公園、軽井沢、日光国立公園と、関東甲信越でも有数の観光地を通るルートになっています。そんな「日本ロマンチック街道」が通る群馬県沼田市利根町にあるのが「片品渓谷」。別名「吹割渓谷」とも呼ばれる自然美あふれる渓谷です。
利根川水系の一級河川・片品川の流れによって、溶結凝灰岩が侵食されてできた渓谷で、獅子岩や屏風岩などと名付けられた岩壁、河床にできた甌穴など、自然の造形美と荒々しさ、力強さを感じぜずにはいられない素晴らしい景観が目の前に広がっています。新緑や紅葉の頃は特に美しいことで知られ、多くの人々がその風景を堪能しに訪れるのです。
そんな渓谷も、雪に閉ざされた冬の午後には、ひっそりと静かな時間が流れていました。
「水墨画」のようにモノトーンの静かで冷たい世界。同時にこの上なく美しくて清らかな世界でした。冷たいながらも、なぜかどこかに春の息吹を感じたのは、雪をかぶった木の枝先に萌芽を見つけたからでしょうか。