冬の片品渓谷
公開日: 2015年2月25日 | 最終更新日 2022年10月19日
長野県上田市から栃木県日光市まで、約320キロメートルに渡って続く「日本ロマンチック街道」は、150以上の観光コースが点在するともいわれるドイツの「ロマンチック街道」に倣って名付けられた道。
観光コースの数では本家本元には及ばないが、上信越高原国立公園、軽井沢、日光国立公園と、関東甲信越でも有数の観光地を通るルートだ。そんな「日本ロマンチック街道」が通る群馬県沼田市利根町にあるのが「片品渓谷」。別名「吹割渓谷」とも呼ばれる自然美あふれる渓谷だ。
利根川水系の一級河川・片品川の流れによって、溶結凝灰岩が侵食されてできた渓谷で、獅子岩や屏風岩などと名付けられた岩壁、河床にできた甌穴など、自然の造形美と荒々しさ、力強さを感じぜずにはいられない景観が目の前に広がっている。新緑や紅葉の頃は特に美しいことで知られ、多くの人々がその風景を堪能しに訪れる。
そんな渓谷も、雪に閉ざされた冬の午後には、ひっそりと静かな時間が流れていた。
水墨画の絵のようにモノトーンの冷たい世界。それでも、なぜかどこかに春の息吹を感じるのは、雪をかぶった木の枝先に萌芽を見つけたからだろうか。