建長寺
公開日: 2007年11月29日 | 最終更新日 2023年5月24日
臨済宗建長寺派の大本山
北鎌倉駅から徒歩15分ほどの場所に位置する「建長寺」は、今から800年近く前の1253年(建長5年)に、鎌倉幕府五代執権・北条時頼によって創建された禅宗の寺院です。
平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての僧「栄西」(京都の建仁寺を開山)が宋から持ち帰った「禅宗(臨済宗)」は、鎌倉の武士達に信仰され、幕府の厚い庇護を受けて各地に広まっていきました。
北条時頼も禅宗を信仰する熱心な仏教徒であったといい、国の興隆と北条家の菩提の為に中国より名僧として知られた「蘭渓道隆」を招聘しています。そうして建立されたのがこの建長寺。
純粋な禅の修行場(純粋禅の道場)として見ると聖福寺(北九州)などに次ぐ古刹(※)の寺院で、日本で最初に「禅寺」と称したお寺とされています。往時(鎌倉時代末期頃)には1000人を超す修行僧が居たと伝えられます。
(※:それまでにも「建仁寺」(1202年創建)など禅宗に関連する寺院はすでに建立されていましたが、例えば「建仁寺」は当初、天台(栄西はもともと天台宗)・真言・禅宗の3宗並立のお寺(兼修禅)であった等、異なる宗派も兼ねたお寺が多かったといいます。)
建長寺は臨済宗建長寺派の大本山であり、正式には「巨福山建長興国禅寺(こふくさんけんちょうこうこくぜんじ)」という名を持ちます。南宋(中国)の五山制度(寺の格付け制度)を取り入れ、鎌倉にある臨済宗の寺社を格付けした「鎌倉五山(建長寺、円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄妙寺)」の第一位の寺院です。ご本尊として地蔵菩薩を祀っています。
建長寺山門(三門)。高さ約30メートル。1775年(安永4年)に再建された重層門で、楼上には五百羅漢像が奉られています。国の重要文化財。見上げると「建長興国禅寺」の扁額が掲げられています。
1293年の鎌倉大地震や、その後の1315年や1416年に発生した火災などで、創建当初の建物が失われた中で、建長寺創建当時から今も残る数少ない遺品として「国宝」に指定されている梵鐘。
三門と同じく国の重要文化財に指定されている仏殿。1647年(正保4年)に移築されたもの。そのほか、建長寺では法堂、唐門、昭堂などが国の重要文化財に指定されています。
柱や梁の木の表面が歴史の長さを感じさせます。随所にある彫刻も素晴らしいので、建物全体と共に、細部もじっくりと見るのがおすすめです。
取材当日は穏やかな天候に恵まれた日で、爽やかな風が時折吹き抜ける最高に気持ち良い時間でした。
「建長寺庭園」として国の史跡および名勝に指定されている庭園。方丈(住職の部屋がある建物・接客や仏事などに用いられる建物)の裏手側にある美しい庭園で、開山の蘭渓道隆、および夢窓疎石の手により作庭されたものと伝えられます。
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建長寺 DATA
- 場所: 神奈川県鎌倉市山ノ内8
- 交通(公共交通機関で): JR横須賀線北鎌倉駅より鎌倉駅方面に向かって徒歩約15分。または鎌倉駅から徒歩約30分。もしくは鎌倉駅東口2番バス乗り場から「建長寺・大船駅方面」行きのバスで「建長寺」下車徒歩すぐ
- 交通(車で): 横浜横須賀道路朝比奈ICから15分
- 拝観料: 大人 500円 小人 200円
- 拝観時間: 8:30~16:30
- 駐車場: 有料20台(600円/時間)
- 問い合わせ: 0467-22-0981
建長寺