日本の春
公開日: 2006年3月25日 | 最終更新日 2019年9月30日
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桜舞う春 花の降る宵
日本各地の春の風景
「春」と聞いてイメージするものは何だろうか。桜、桃、菜の花、椿、菫、沈丁花、ふきのとう、芹、土筆、ワラビ、筍、花見、卒業、入学、進級、高校野球、鰆、キャベツ、和菓子、花粉症、etc。一口に「春」といっても人によって様々なイメージがあるに違いない。
暦の上での「春」は「三月・四月・五月」。三月に入ると、厳しかった寒さも徐々に緩み、あちらこちらで花が咲き始める。雪解け水に生き物たちは目覚め、生命は沸き立つ。
とはいえ、ご存知のように細長い日本、春の訪れ方は場所によって様々だ。北海道や日本海側がまだ雪に覆われている3月初旬、太平洋側の半島部では花が咲き、九州付近ではそろそろ初夏を迎えようかという4月下旬~5月上旬になって、ようやく北海道に遅い春が訪れる。狭い日本といえども、ある所では雪が積もり、ある所では鳥が歌い、花びらが舞っている。この地域的な多様性が日本の春をさらに魅力的なものにしているのだろう。日本の春の様子を初めて知った外国人は、今までに見たことのない桜色の天気予報「桜の開花予想」や、ピンク色になるビールの缶や花見の喧騒に驚き、そして桜の美しさに感動するという。
四季の中でも秋と並び多くの人々に好まれる季節「春」。日本の様々な春の風景をお届けしよう。JWMセレクション・・・「日本の春の風景」
「鎌倉」・・・枝を張るだけの力が無いので垂れてしまう「か弱い」木だと言われる枝垂桜(しだれざくら)。その「か弱さ」は春、たおやかで優しい美しさとなって人々の目を愉しませる。しなやかさイコール弱さ、ではないのだ。神奈川県鎌倉市。三月下旬。
「能取岬と流氷」・・・三月初旬、本州では菜の花も咲き始める頃、アザラシの群生地でもある北海道の能取岬沿岸はまだ流氷に覆われていた。プランクトン豊富なこの海域には魚が沢山すみ、その魚達を求めてアザラシやオジロワシなどがやってくる。南の風で流氷が沖合いに消える頃、流氷の代わりに春が訪れる。寒々しい流氷もやがて来る春の気配を予感させるのだ。ここでは春は海からやってくる。北海道網走市。
「能登半島」・・・能登空港が出来るまで、このあたりは国内で東京から最も時間がかかる場所のひとつだった。そのお陰かどうか、豊かで美しい自然環境の中、人々の笑顔は温かい。山がちな地に段々畑が広がる。石川県。三月初旬。
「白川郷」・・・冬の間、数メートルともいわれる深い雪に閉ざされる日本屈指の豪雪地帯白川郷も、三月になると気温の高い日が続き、雪が解け始める。少しずつ、春がやってくる。岐阜県大野郡白川村。三月中旬。
「東大寺」・・・三月下旬の奈良東大寺は満開の桜に彩られていた。人々の幸せと国の安泰を祈願するために建立された東大寺盧舎那仏像(大仏)の鎮座する大仏殿の中にも桜色の風が吹き込む。奈良県奈良市。
「菜の花」・・・房総半島では二月に満開になる菜の花も、ここ福島では四月に入ってやっと満開になる。鮮やかな黄色の菜の花とその向こうに立つ一本桜のコントラストで周囲は春色に輝く。福島県白河市。四月初旬。
「浄心寺」・・・門を入ると、そこには夢のような桜色のトンネルが広がっていた。その美しさは、淡い色の雲となって、青空へとゆっくりのぼっていく。もしもどこかに極楽があるのならば、こんな景色がどこまでも続いているのかもしれない。東京都文京区。四月上旬。
「銀杏の葉」・・・人のまばらな昼下がりの八幡様。向こうでは数人の職人達が、やぐらを組んで何かの準備に追われている。ふと境内の銀杏に目をやると、小さくて可愛らしい葉が光を浴びて輝いていた。千葉県市川市。四月中旬。
「旧中山道脇の筍」・・・石畳の続く旧中山道馬籠宿付近。心地よい四月の風を感じながら、歩いているとにょっきり筍が目に付いた。生命力の塊のような存在感が頼もしい。岐阜県中津川市。四月下旬。
「宇治平等院鳳凰堂と藤の花」・・・末法思想のはびこった平安時代後期、極楽往生を願い、この世に極楽浄土を具現化するものとして建立されたという宇治平等院鳳凰堂。「末法の世」からさらに千年近く経った現在、世界的な経済混乱がおき、今までの資本主義経済システムが末期的状況に陥っている様相を呈している中、藤の花はただ静かに美しく咲いていた。京都府宇治市。四月下旬。
日本各地の春の風景
佐賀県唐津市呼子町 田島神社