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蒼龍寺と枝垂桜

蒼龍寺

春、桜色

見上げるとそれはまるで青い空から舞い降りてくる桜色の驟雨のように、軽やかにはらはらと、後から後からやってくる。ふわりとした春色の薄絹がそこにある。それは淡く揺らめいて、静かに艶やかに散っていく。光の兆しが全身に流れ込む。粒子のけわい、肌に触れる。桜の雫。光、降る。

蒼龍寺

自然の色はなんと素敵なのだろう、と多くの人が思うであろう季節「春」。花の季節。特に、桜の美しさは世界に名高い。日本人のみならず、それを知る世界中の人々を魅了して止まない、日本ならではの桜色の季節だ。

春といえども、朝晩はまだまだ寒い3月、4月。それでも日増しに温かくなる空気、ぽかぽかと暖かい日中、青空の下、桜の木陰に立ち、はらりはらりと舞い落ちる花びらを見ながら、西行の歌を思い出すむきも多いだろう。あまりにも有名なあの歌だ。

「願わくば 花のもとにて 春しなん その如月の 望月のころ」

平安末期に武士の家系に生まれ育った西行は、自身も「北面の武士」(上皇を警護し御供した武士)として鳥羽院に仕えていたが、23歳の時に出家する。突然出家した動機については諸説あるが、失恋とも、親友の死で世の儚さを感じたからとも言われている。その後、西行は諸国を旅し、草庵を結び、数多くの歌を詠んだ。旅の途中、奥州藤原氏や源頼朝に面会したことが「吾妻鏡」によって伝えられている。東大寺補修の為の勧進が目的であったという。その西行が入寂したのが、1190年(文治6年)、73歳の時。旧暦の2月16日、河内弘川寺(現・大阪府河南町)の庵で、息を引き取った。

ご存知のように、如月は二月だが旧暦なので、西行がなくなった日は、現在の暦にすると3月23日になる。寂寥感と無常観を胸に携えながら、各地を旅した西行は、桜の花の下で死にたいと願い、そして歌の通りに、桜の花びらがはらはらと舞い落ちる望月(満月)の夜に息を引き取ったという。手元の資料では、西行がなくなった年の桜の開花が早かったか遅かったかまではわからないが、3月の下旬といえば、通常通りならばまさに満開の桜が風に散り行く頃だろう。

蒼龍寺

日本人の無常観は桜の花と共にある。寒い冬がようやく終わり、水ぬるみ春来たる。光はきらめき、風そよぎ、木々芽吹く。

桜の花は不思議だ。何もない枝から、突然花が咲く。葉を茂らせる前に、木は桜色に包まれる。考えてみれば、桃や梅、木蓮なんかもそうなのだが、特に桜の咲き方は印象深い。空気の暖かさと透明感あふれる光のきらめきと抜けるような青い空と淡い桜の花の色のコントラストは何度見ても美しい。時に衝撃的ですらある。抗う間もなく吸い込まれていく。

そして、ひと時咲き誇った花は風と共にいなくなってしまう。はらはらと舞い落ちてそして消えてしまう。そこに儚さを見た先人達の感覚は今の私達にも浸み込んでいるのだろう。満開の桜の下で、色めく美しさを感じると共に、そこに無常を感じぜずにはいられない。花より団子といわんばかりに、花見を口実に酒につまみにお菓子にと宴に興ずるのも、一瞬の生の光を今こそ輝かせようとする本能のなせる業なのかもしれない。きっと、「光も美しさも一瞬の事」なのだ。

蒼龍寺

フルスクリーンで見る蒼龍寺の枝垂れ桜

蒼龍寺

蒼龍寺はJR水郡線南酒出駅の北東700m程の場所にあるお寺。正式名称は大湖山高泰院蒼龍寺。曹洞宗の寺だ。1663年(寛文3年)の開基帳には、1330年の開山当初は臨済宗の寺であったが、1522年(大永2年)に曹洞宗に転じた旨が記されている。近隣の人々に親しまれる枝垂桜のほかに、樹齢500年といわれる立派なカヤの木が立っている。

蒼龍寺蒼龍寺
蒼龍寺

小雪のように桜の花は舞ってゆく。風はしばし桜色になる。

蒼龍寺
蒼龍寺蒼龍寺蒼龍寺
蒼龍寺

    
 

蒼龍寺
蒼龍寺
蒼龍寺
蒼龍寺

南酒出

酒が湧き出でたという伝説から名づけられた場所「酒出」。「酒匂川」、「酒水(しゃすい)の滝」など全国に「酒」の字のつく地名や場所はいくつもあるが、「酒が湧き出た」その真偽のほどは別としても、酒飲みの心ときめく伝説ではある。そう、酒飲みにとっては「酒がなくてなんの人生ぞ」。花見も味気ないものになってしまう。

水戸から電車で20分、車なら30分の場所にある南酒出はほんわりとおだやかで美しい町。

長閑な春の日に、静かで美しい土地をあてもなく歩くこともまた楽しからずや、である。

南酒出
南酒出南酒出
南酒出
南酒出南酒出南酒出
南酒出
南酒出南酒出

蒼龍寺近隣の観光スポット・見所

那珂市歴史民俗資料館

菅谷鹿島神社の提灯祭(大助祭)で使用されていた山車のほか、那珂市内より出土した歴史的遺物や中世額田城跡の復元模型、近世曲がり屋の1/25のミニチュアなどが展示されている。

鹿島神社(菅谷鹿島神社)

「菅谷のちょうちん祭」で知られる神社。大同年間(西暦806~810年)に今の那珂市菅谷字両宮に創建され、安政3年に現在地へ遷座、社殿が建立された。

茨城県の桜の名所・開花情報

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蒼龍寺

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