階段国道

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車の通わぬ国道

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上の写真、一体どこの風景だかおわかりだろうか?どこかのよく整備された山?大邸宅のお庭?実はこれは歴とした日本の国道の写真なのである。

旅好きや日本の地理に詳しい人々の間では有名なこの階段国道は青森県弘前市から東津軽郡外ヶ浜町に至る国道339号線上に在る。地形やその他の理由で全通していない「分断国道」とよばれる国道は日本に何箇所も存在し、車や自動二輪の走行が事実上不能な区間はあちらこちらにあるのだが、国道として書類上では「全通」とありながら、その一部が階段になっていて車両走行が不能な国道は全国でもここだけだ。

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冬季はその雪の深さゆえに一部閉鎖されるという国道339号線。弘前から五所川原を抜け、十三湖を横目に見、さらに北上。海岸沿いに走り続け、雄乃湯温泉を過ぎ、七つ滝を通過したあたりから内陸部に入る。傾斜のきついワインディングロード。背後に日本海を望む。さらに走り続けること数十分、ようやくたどり着くのが青森県の突端であり本州の北端でもある竜飛岬だ。そして件の階段国道はここにあるのである。

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国道なのに、階段である理由はいくつか説があるがそのどれも確証はないという。一般的に言われているのは、国道指定をする時に、担当者が見ていた地図が詳細なものではなく、車両通行が不可であることに気がつかなかった、というもの。以前は急な坂道であったようだが、その頃にしても車両は通行できなかったようで、いずれにしても、現在では日本で唯一の「階段国道」として観光客を集める存在になっている。

階段国道

傾斜はかなり急で、段数も360段余りと中々の階段であるゆえに一般的な観光客は階段上部にて記念写真を撮って去ってゆく。階段上部から中ほどまでは緑に覆われて景観は特によくは無いのだが、途中から視界が開け、竜飛の港と日本海が見えてくる。緑のトンネルを抜けるとそこは広大な海なのだ。階段途中にも「国道339」の文字がかかれた青い標識がしっかりと設置されている。タイヤを再利用して作られたプランターも置いてある。

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曇り空の竜飛岬。季節はずれだったのだろうか、エアポケットだったのだろうか、一時間ほどのんびりしていたのだが、観光客にも町の人にも出会うことが無かった。ただ一人、港の老翁を除いて。

その顔に深い皺の刻まれた翁は一人海を眺めていた。静かに佇んで、そうしていつまでも海を眺めていた。

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Japan Web Magazine 編集部

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