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延暦寺

延暦寺

天台宗総本山比叡山延暦寺

王城鎮護の山

京都と滋賀の国境、琵琶湖を見下ろすようにして聳えている比叡山は古来より、山岳信仰の対象として、人々の崇敬を受けてきた場所だ。比叡山は古くは「日枝山(ひえのやま)」と呼ばれ、「大山咋神」(おおやまくいのかみ)(大きな山の所有者の神)を祀っていた。さらに668年(近江京遷都の翌年)、京鎮護のために三輪山大神神社の大物主神(おおものぬしのかみ)を勧請し、ともに祀ったと古事記に記されている。

比叡山は、大比叡(848.3メートル)と四明岳(しめいがたけ、838メートル)の二峰からなる山で、叡山、北嶺、都富士などとも呼ばれ、近隣の修行者のみならず、各地から人が訪れ、山に篭り修行をした。また京の都の鬼門である北東に位置することから、鬼門を押さえ京を守る王城鎮護の山とされ、守られてきた。

その比叡山の山中、500ヘクタールという広大な面積(ほぼ比叡山全域)を占める域内に点在するおよそ150の堂宇の総称が天台宗の総本山たる延暦寺だ。空海の開いた真言宗の総本山高野山金剛峯寺と並び、平安時代より1200年に渡って多くの人々の崇敬を受けてきた、信仰的にも歴史的にも重要な場所であり、日本を代表する聖地の一つである。

延暦寺の魅力をフルスクリーンで見る

比叡山から琵琶湖を望む。

根本中堂

延暦寺の総本堂。寛永19年(1642年)に徳川家光によって再建されたもの。比叡山延暦寺には東塔・西塔・横川(よかわ)にそれぞれ仏堂があり、これらを「中堂」と呼ぶ。東塔の根本中堂はその最大の仏堂。ご本尊は薬師如来。最澄の時代から続く「不滅の法灯」が堂内部に灯り続けている。(根本中堂内は撮影禁止。(許可を得て回廊内のみ撮影しています。)

   

阿弥陀堂

昭和12年(1937)建立。壇信徒の先祖回向の道場。お堂の前には水琴窟がある。

戒壇院

天台宗の僧侶が受戒するお堂。延宝6年(1678年)の再建。

大講堂

ご本尊として大日如来、左右には比叡山で修行した道元、日蓮、栄西、円珍、法然、親鸞、良忍、真盛、一遍の木像が安置されている。昭和39年(1964)に比叡山山麓の坂本の讃仏堂を移築。

法華総持院東塔

最澄は護国の為に日本全国に六棟の宝塔を建てた。この法華総持院東塔はそれらの中心的な意味を持つという。昭和55年に阿弥陀堂の横に再興。

人類の歴史はエラーを取り除き、またより少なくしようとしてきた歴史でもある。何か事が起きれば、そこから学び、その轍を再び踏む事の無いように、改良し、工夫し、予防し、暮らしてきた。それは日々の安心のためでもあり、より豊かに快適に暮らすためでもある。しかし、一方で、その為に蓄えてきたはずの知識と智慧と経験が、まるで諸刃の剣のように逆の作用をし、ちょっとした情報や環境の操作、変化で、本来生物として備えている筈の動物的、本能的な機能が全く役に立たなくなってしまう状態に陥ってしまう。

自然的な観点に立てば、それは当たり前の事かもしれないが、用意周到に何があっても対応できるようにと積み重ねてきた結果、己の想定外の事が起きた時に意外にも簡単にうろたえてしまうのだ。生き物としての価値観、概念を時に否定するような行為をし、自然の上にたってまるで支配しているかのような錯覚に陥っていながら、ほんの囁きで、あっという間に生命体としての弱さを露呈する。動物的な「生物」としての感覚と、知的生命体としての「ヒト」の知と智の蓄積が、良い方向に作用せず互いを高めあわずに、寧ろ齟齬を起こし、その結果生物的な揺らぎとなって表出する。斯くして、人は「自然知」という能力を失い、情報や環境に左右されてしまうようになるのだ。

「芯」は一体どこにあるのか。体の「芯」。心の「芯」。精神の「芯」。生物としての「芯」。情報や環境に左右されない揺るぎ無い「芯」。「芯」は言い換えれば「真」であり「信」でもある。それはとりもなおさず「心」でもあるだろうか。では、それは一体どこにあるのだろうか。外か内か。心か精神か。

比叡山中を歩きながらぼんやりそんな事を考えていると、ふと、頭の中が清澄になるような不思議な透明感に包まれた。

それは、その瞬間に肉体が存在していた「その地」が精神に作用した結果なのか。睡眠不足の日が続いていたから、脳が半分寝ていただけなのか。いずれにしても、普段、ビルに囲まれて暮らしている時には体験したことのない、スッキリと曖昧が融合したような不思議な感覚だった。無論、それはけっして不快な感じではない。むしろ、なんとなく爽やかなような、晴れやかなような、心地の良い感覚だった。そう、それは、一時間前までは小雪をぱらつかせながらどんよりと漂っていた雲がいつの間にかいなくなり、鮮やかな青色を見せる空に似ていた。

歩き回って火照った体をクールダウンするように、ひんやりと心地よい澄み切った風が抜けていく。

比叡山延暦寺。

伊勢神宮、出雲大社、熊野三山、高野山などと並ぶ日本有数の聖地。是非、一度は訪れてみたい場所の一つだ。

国宝と重要文化財

国宝として、根本中堂(附:須弥壇及び宮殿3具)、金銅経箱、宝相華蒔絵経箱、七条刺納袈裟、他が、国の重要文化財として根本中堂回廊、大講堂(旧東照宮本地堂)、転法輪堂(釈迦堂)、大乗戒壇院堂、瑠璃堂、相輪橖、常行堂及び法華堂(附:廊下)他、絵画、彫刻等、多数が指定されている。

世界遺産

1994年(平成6年)には、京都の上賀茂神社、下鴨神社、教王護国寺(東寺)、清水寺、醍醐寺などと共に「古都京都の文化財」として世界遺産に登録された。

延暦寺の拝観 所要時間

比叡山延暦寺の寺域は広大(約500ヘクタール)で堂塔の数も約150あるので、ゆっくり時間をかけると一日でもまわりきれない。十分な時間を予定するか、部分的に拝観するのがおすすめだ。比叡山延暦寺は大きく分けると東の「東塔(とうどう)」、西の「西塔(さいとう)」、そして北の「横川(よかわ)と三つのエリアに分かれており、その中でも中心となるのが根本中堂のある「東塔」だ。根本中堂のほか大講堂や阿弥陀堂など重要な諸堂が点在する。時間に余裕がない場合はこの東塔を訪れるとよいだろう。所要時間はおよそ1時間半~2時間ほどだ。(国宝殿を見学する場合はさらに30分~1時間)

「西塔」には、転法輪堂(釈迦堂)、浄土院、法華堂が、「横川」には横川中堂、元三大師堂、恵心堂等がそれぞれ点在する。「西塔」へは、「東塔」からシャトルバスで約5分、徒歩で20分ほど。道は途中、未舗装路や坂道、階段がある。また、「横川」からはシャトルバスで10分ほどだ。

また、「横川」へは、「東塔」からシャトルバスで約15分、東海道自然歩道を徒歩で1時間40分以上。「西塔」からはシャトルバスで、約10分ほど。

延暦寺へのアクセス

JRで

JR京都駅からJR湖西線比叡山坂本駅、下車。江若バス坂本ケーブル行きでケーブル坂本駅。坂本ケーブルで延暦寺駅下車後徒歩8分。

京阪電車で

京阪三条から京津線に乗り「浜大津」へ。石坂線に乗り換え、坂本駅。坂本駅で江若バス坂本ケーブル行に乗りケーブル坂本駅。坂本ケーブルに乗車、延暦寺駅下車後徒歩8分。

車で

大阪・名古屋方面から:名神高速道路 京都東I.C~西大津バイパス(R161)~近江神宮I.C出口~山中越え~田の谷峠ゲートより比叡山ドライブウェイ

京都市内から:五条バイパス~西大津バイパス(R161)~近江神宮I.C出口~山中越え~田の谷峠ゲートより比叡山ドライブウェイ

琵琶湖大橋方面から:琵琶湖大橋~R161琵琶湖大橋交差点大津方面へ~R161仰木口交差点 比叡山方面へ~仰木ゲートより奥比叡ドライブウェイ

比叡山延暦寺 詳細データ

延暦寺

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Japan Web Magazine 編集部

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