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福岡の郷土料理 福岡の食べ物

博多ラーメン

Contents

福岡の郷土料理 福岡のご当地グルメの尽きせぬ魅力

「食べ物の美味しい都道府県は?」と聞くと多くの人がその名を挙げる福岡県。

「とんこつラーメン」を筆頭に、明太子、焼きラーメン、水炊き、博多うどん等々、福岡をよく知る人はもちろんのこと、福岡のことをあまり知らない人でも「福岡の食べ物」「福岡の郷土料理」で思い浮かぶ料理がいくつもあるのではないでしょうか。

実際、色々なメディアなどで実施される「日本の都道府県食の魅力ランキング」「食事が美味しい都道府県ランキング」などでも、福岡は北海道や新潟、青森、大阪などと常に上位を争う存在であり、TOP3の常連です。

テレビやYoutube、インスタ、雑誌などでも「福岡の美味しいもの」「福岡グルメ」を取り上げた映像、動画、写真、記事などはよく見かけますし、一般の人から有名人まで、福岡の食べ物を絶賛している話もよく見聞きしますよね。

福岡の食べ物はなぜ愛されるのか

では、一体なぜこれほどまでに福岡の食べ物、郷土料理、ご当地グルメは多くの人に愛され、親しまれているのでしょうか。新鮮な魚介類であれば周囲を海に囲まれた日本、それも交通の便も良くなり神経締め等を含めた水揚げ後の加工技術や冷蔵技術なども昔と比べて格段にあがった今の時代は、どこにおいても大抵獲れたてで鮮度の良いものが手に入りますし、料理店(飲食店)の数や種類だって、東京や大阪などのほうが圧倒的に多いはず。

確かに割合を考慮すると「〜ランキング」などのアンケートに答えているのは、人口の多い東京や大阪に居住している人が多くを占め、必然的にそれらの人が遊びや出張などで出かけることの多いであろう(なおかつ魚介類などが美味しい)札幌や博多の名前が挙げられるケースが多いのかもしれないことはある程度推測できますが、それを差し引いても、福岡(もしくは博多)の食べ物、料理、グルメの人気はずば抜けている気がします。

その理由をいくつか見てみながら、福岡に行ったらぜひ食べたい「福岡の食べ物」「福岡の郷土料理」「福岡の美味しいグルメ」「福岡のご当地グルメ」「福岡のB級グルメ」を、博多ラーメンや水炊きなどの大定番から、昔から地域の人々に親しまれている郷土料理、この数十年で一気に人気となったB級グルメなどまで、福岡の美味しい食べ物、福岡グルメをご紹介しましょう。

福岡の魚介類はなぜ美味しいのか

多くの人が言及する「福岡の魚介類の美味しさ」。フグ(フク)やクエなど高級魚やサバなどは特に有名ですが、これには確かな理由があるのです。

まず、リマン海流と対馬海流が混じり合う福岡近海は、親潮と黒潮がぶつかる三陸・金華山沖や、オホーツク海、紀伊半島沖などと並ぶ日本沿岸でも屈指の良漁場として知られます。また、街が沿岸に比較的近いところに位置していることもあって、輸送にかかる時間も圧倒的に短く、新鮮なうちにお店へ、そして客・消費者の元へ届けられるのです。

博多のスーパーの鮮魚コーナーに並ぶ魚博多のスーパーの鮮魚コーナーに並ぶ魚

玄界灘のほか、壱岐・対馬、さらに五島列島沖など、福岡からほど近い沖合で漁獲された魚介類は新鮮なうちに水揚げされ、博多をはじめとする福岡県内のお店にその日のうちに並ぶというわけです。身がしまり、脂が乗って美味しい魚たちが新鮮なうちにお店に運ばれ、捌かれ調理されて提供される、これで美味しくないわけがないですよね。

また、次の項目で詳しく説明しますが空港が市街地に近いため、空輸で運ばれてきた、福岡近海以外の様々な魚介類も新鮮なうちに運ばれます。こうした好条件がいくつも重なることで、福岡では美味しい魚介類に出会える確率が高いということになるのです。ちなみに福岡県の福岡市は人口10万人当たりの魚料理店の数が全国第一位(22.1軒)となっています。

福岡の歴史と立地

九州地方の北端に位置し、海に面した福岡は九州の玄関口として、人にとっても物流にとっても長らく重要な場所となってきました。歴史的に、国内のみならず対外的にも、「交通の要衝」として栄えてきたのです。

現在においても、九州の主要都市の筆頭として、日本各地からさらには海外からも観光客やビジネス客が数多く訪れる場所でもあります。食べ物や料理の点で見ても、千年以上も前から対馬などを経由して大陸から様々な料理や料理法なども入りやすい地でありました。

海の玄関である「港」はもちろん、空の玄関「空港」の利便性も特筆ものです。

福岡の空の玄関口である「福岡空港」を初めて利用する人は、多かれ少なかれ驚くのがその立地の良さ、利便性の良さです。空港が市街地の近くにあり、空港と市街地(博多駅)を結ぶ空港線にのれば所要時間はわずかに6分。車でも3キロメートルほどなので、混んでなければ10分ほどで着いてしまうのです。

ちなみに福岡市の人口は2020年の5月に160万人を突破。決して人口の少ない小さな都市というわけではないのに、この利便性の良さ。それが何を意味するかというと、大きな需要があり供給量も多いのにもかかわらず、物流のコストや所要時間が少なくてすむということ。いい物がいい状態で沢山入ってくるのですね。近隣で漁獲・収穫される、新鮮な魚介や肉、野菜類などに加え、各地から様々な食材が出入りする福岡は、おのずと食のレベルも高くなる、というわけです。

では福岡の郷土料理、福岡のご当地グルメの色々を詳しく見てみましょう。

ラーメン(博多ラーメン・長浜ラーメン・久留米ラーメン)

豚骨ラーメン

日本のラーメン文化の中でもその香りや味わいで大きな存在感を示している福岡のとんこつラーメン。海外にまで数多くの支店を出している「一風堂」や「一蘭」などのチェーン店から個人店まで、「博多ラーメン」「長浜ラーメン」などと銘打ってとんこつラーメンを提供しているお店は、今や福岡県内のみならず日本各地にあり、好んで食べる人も多いことでしょう。

濃厚でパンチのある香りは人により好き嫌いが分かれるものでありながらも、こってりとした味わいのスープと特徴的なストレートの細麺、高菜や紅生姜、白ごま、ネギ、キクラゲなどが混じり合って作り出される「旨味」は、その魅力に取り憑かれた人にとっては堪らないものです。

そんな福岡のラーメンは、諸説ありますが1930年代に、当時横浜で提供され人気だった「支那そば」を参考に、長崎ちゃんぽんに用いられる「とんこつベースのスープ」と島原のそうめんをルーツにするともいわれる「細麺」を用いたラーメンが生み出され提供されるようになったのがその発祥といわれます。そのほかにも「中華料理を学んだ料理人がとんこつスープを用いたラーメンを考案した」「中国で食べた麺料理を参考に、とんこつスープを用いたラーメンを考案した」、「トンコツを間違えて炊きすぎ、白濁させてしまったがそのスープが美味しかったので用いるようになった」など幾つかの発祥や進化の説がありますが、いずれにしても福岡の地で幾人もの人々の創意工夫と努力で生み出され、改良され、進化してきたものであるのに違いありません。

博多ラーメン、長浜ラーメン、久留米ラーメン

ちなみに全国的には「博多ラーメン」と呼ばれることが多いですが、この名称が用いられるようになったのは、1970年代以降のこととか。

地元福岡では長らく単に「ラーメン」と呼ばれてきたといいます。中でも、福岡市の中央区長浜エリアの「元祖長浜屋」「一心亭」「博多ラーメンしばらく」などで提供されているものは特に「長浜ラーメン」とも呼ばれますが、これらは元々、博多区の築港本町にあった魚市場周辺で、主に市場関係者を相手に提供されていたラーメンで、セリ(競り)や搬入・搬出など時間に追われ忙しい市場関係者のために、短い時間で提供できる極細麺が用いられたほか、替え玉、テーブルに置かれた返しやタレ、さらにはすりゴマ、キクラゲなど、現在の長浜ラーメンを特徴づける(他の福岡のとんこつラーメンにも採用され、広く福岡の「とんこつラーメン」の特徴ともなっている)スタイルや具材の元になっているとも言われます。

また、福岡県の久留米市を中心に提供されているラーメンは「久留米ラーメン」とも呼ばれますが、こちらは白濁した濃厚な「とんこつラーメン」の元祖・発祥ともいわれています。国道沿いにある24時間営業の店舗や、「~食堂」の名がつく店などで提供される「久留米ラーメン」は、その味わいと比較的リーズナブルな値段で、長距離ドライバーをはじめ、地元や近隣の人々に親しまれているとともに、全国のコアなラーメン好きにも愛されています。

久留米ラーメン 丸星中華そばセンター
久留米ラーメンの中でも「国道系」と呼ばれる、年中無休・24時間営業の丸星中華そばセンターのラーメン

博多ラーメン、トンコツラーメンの主な店 おすすめのお店

元祖長浜屋
長浜屋台 一心亭
博多ラーメンしばらく
八ちゃんラーメン
博多 一幸舎
博多一双
Shin-Shin
らーめん二男坊
博多だるま
名代ラーメン亭
名島亭
一蘭
一風堂

もつ鍋

もつ鍋

福岡を訪れるなら、一度は食べたいグルメの一つがこの「もつ鍋」。店にもよりますが、鶏ガラベースのスープに、丁寧に処理された新鮮な小腸やハツ、センマイなど、牛や豚のモツ(ホルモン)を入れて頂きます。お決まりの具材はニラ。豆腐、キャベツ、もやしなども用いられます。最後にチャンポン麺やうどん、ごはんなどを入れて、旨味の溶け込んだスープも余すことなく味わって締めるのがお約束。

今では様々なスタイルで提供され、福岡の名物料理の一つになっているているこの「もつ鍋」ですが、元々はアルミの鍋にモツを入れ、て醤油で調味して食べていたのが発祥とか。現在では醤油味の他、味噌味、塩味のものなどもあり、スープに牛テールを使っている店、さらにはしゃぶしゃぶ風のものや、食べる際に酢醬油をつけて食べる所など、「もつ鍋」のバリエーションも豊富。隠れ家のような高級店や老舗から、庶民的な店まであって、観光客やビジネス客はもちろん、地元の人々にもこよなく愛される福岡グルメの一つです。

うどん(博多うどん)

博多うどん

「うどん」が有名な都道府県として多くの人に認知されているのが香川県ですが、実は福岡も「うどん大国」ならぬ「うどん大県」なのです。そもそも「うどん」が初めて日本に伝えられたのは福岡(諸説あり)ともいわれており、博多には「饂飩蕎麦発祥之地」という石碑の立つ承天寺というお寺もあるのです。県外の人には「ラーメン」のイメージも強い福岡ですが、地元の人には「うどん」も「ラーメン」同様愛されており、福岡では日常的にごく自然に食べられている県民のソウルフードの一つにもなっているのです。

そんな福岡の「うどん」の最大の特徴は、香川の「うどん」と正反対ともいえるほどに「コシ」がないこと。「コシが命」の讃岐うどんファンが初めて福岡の「うどん」を食べたらノケゾルのではないかと思うほどに柔らかな麺は、たっぷりのお湯で20分〜30分、店によっては40分も茹でることで生み出されます。

讃岐うどんや武蔵野うどんなどのコシや歯ごたえのある「うどん」と比べると最早別の麺料理ともいえる食感ですが、地元の人々にとってはこの食感こそが「うどん」といえるもの。一説には、せっかちな博多人のためにあらかじめ茹でておいた「うどん」を注文があったら湯通ししてすぐに提供するという「時短」スタイルで生み出された柔らかさだともいいます。「バリカタ」などで提供される「ラーメン」は麺が細いので、茹で時間が短くてすみますが、麺が太い「うどん」はどうしても茹で時間が長くなってしまうために「あらかじめ茹でておく」というスタイルが取られるようになったのかもしれませんね。

店にもよりますが、出汁には、九州〜北陸にかけての日本海側一帯で伝統的に広く用いられている「アゴ出汁」(焼きアゴ=トビウオの出汁)のほか、鰹節、カタクチイワシやウルメイワシのいりこ(煮干し)、鯖節、アジ節、昆布などが用いられていて、旨味がしっかり濃いながらもすっきりした上品な味わい。

薄口醤油やみりん、砂糖などで調味され、見た目にはつゆの色が薄く澄んでいます。そこに柔らかなうどん、そして定番のトッピングとして「ごぼ天」(ゴボウ天=ごぼうの天ぷら)や「丸天」。さらに鶏肉の入った炊き込みご飯「かしわ飯」またはかしわ飯を握った「かしわおにぎり・かしわにぎり」と一緒に頂くのが地元流。福岡県内では「資さんうどん」「ウエスト」「牧のうどん」の三大チェーンが人気の他、「うどん秀」「うどん 和助大名」「かろのうろん」「黒田屋」「みやけうどん」など、一度は足を運んでみたいお店が数多くあります。

また、北九州の小倉では「北九州名物・小倉名物」として甘辛く煮た肉(牛すじ肉・牛ほほ肉)とすりおろし生姜がトッピングされた「肉うどん(どきどきうどん・どぎどぎうどん)」や、小倉駅ホームなどの名物として知られる鶏の旨味が特徴の「かしわうどん」なども地元の人々を中心に愛されています。

小倉名物の肉うどん小倉名物の肉うどん(どきどきうどん)

明太子・辛子明太子

明太子

コンビニのおにぎりやお茶漬けなどでも定番の具材の一つ「辛子明太子」。「たらこ」とはまた一味違う、辛味と旨味の合わさった美味しさで、ご飯やお酒が進む食べ物の一つです。お好きな方も多いでしょう。

この「辛子明太子」、博多の明太子製造メーカー「ふくや」の創業者が「明卵漬」と呼ばれる釜山の料理を参考に製造法を考案し売り出したところ、博多の惣菜として人気商品となったのがその最初といわれます。製造法を改良し、地元の同業者にも惜しげもなく教えたことにより「明太子」の名前と存在は博多から福岡全域、さらには新幹線の博多駅開通により全国へと広まりました。今では福岡の名産品、特産品、博多の味覚、博多の名産品、博多の特産品、定番土産として知られるとともに、全国的にも人気のあるご飯のお供、酒の肴の一つとなっています。

辛子明太子は、スケトウダラ(スケソウダラ)の卵巣を塩づけしてから塩抜きし、鰹節や昆布だし、酒、醤油、塩、砂糖、唐辛子などの調味液に漬け込んで作られます。福岡県内だけでも100以上あるといわれる製造メーカーや店などにより、製造法や見た目、味わいなどは様々にバリエーションがあり、通常の明太子の他、チューブ入りのものや「カラスミ風」に水分を飛ばして旨味を凝縮させたドライタイプのもの、缶入りのものなども売られています。

皮付きのきれいな房状になっているものを「真子」、皮が切れて中身が見えているものを「切れ子」、さらに皮がなく中の卵の粒がバラバラになっている状態のものを「バラ子」と言いますが、同じ会社の同じグレードのものであれば味わいに大きな差はないものの、やはり皮付きのキレイな状態のものは見た目には特別感がありますね。

昨今では、有名店・老舗店製造のものからノーブランドのものまで様々なタイプの辛子明太子が、百貨店やスーパーマーケットはもちろん、コンビニ、通販などでも簡単に手に入りますが、福岡に行ったらぜひ本場の辛子明太子を購入したいものです。会社や知人などへのお土産としても勿論ですが、自分用のお土産として、御飯のおかず・惣菜用、もしくは晩酌の酒肴用として購入して持ち帰れば、帰宅してからも福岡の味覚を楽しむことができておすすめです。

水炊き

水炊き水炊き

関西をはじめ全国的にも食べられている「水炊き」は、肉や魚、野菜などの食材を水(や出汁)で煮込み、ポン酢などをつけて食べる鍋料理。それに対して福岡で食べられている「水炊き」は、鶏肉を骨付きのままじっくりと煮込んで出汁を取り、塩で味付けて、醤油ダレやポン酢などで食べる料理です。でも、これがシンプルながらとても味わい深くて美味しいのです。しっかりとうま味の抽出されたスープをまず一口。その時点で博多の水炊きのポテンシャルを十二分に感じさせられます。それからお肉をゆず胡椒などと共に、ダイダイやみかんなどの柑橘系の香りと柔らかな酸味が効いたポン酢につけて頂きます。スープのうまみを吸い込んだ野菜も絶品。ミンチのうまさも格別!〆にはご飯を入れて、溶き卵を加えておじやに。鶏肉のうまみを心底味わえる絶品料理なのです。

がめ煮

がめ煮がめ煮

福岡の代表的な郷土料理の一つとして知られるのが「がめ煮」。ごぼう、れんこん、人参、大根、里芋などの根菜類や、タケノコ、コンニャク、干し椎茸、鶏肉などを用いて醤油、みりんなどで調味して作る煮物。筑前煮の名でも知られています。かつては、「どぶガメ」と呼ばれたスッポンを用いて作られていたことから「ガメ煮」の名がついたなどとも言われています。地域により筑前炊きとも呼ばれます。今では福岡の代表的な郷土料理の一つとして知られていますが、いわゆる家庭料理でもあり、その味わいや見た目、用いる具材などは様々にバリエーションがあります。居酒屋などにもあるので、色々な「がめ煮」を食べ比べてみると面白いかもしれません。

おきゅうと

おきゅうと おきゅうと

初めて聞くと、どんな食べ物なのか想像もつかない「おきゅうと」は、海藻から作られる食べ物の一つ。博多では「真草」とも呼ばれる海藻「エゴ海苔」(別名おきゅうと草、えご草)や、博多では「ケボ」と呼ばれる「イギス(沖天)」、テングサを水洗いした後、何度か天日干しにして、叩いてから酢を加えて煮溶かし、裏ごししてから型に入れて常温で固めたものです。短冊型に切ってから刻みネギやおろし生姜、鰹節、ゴマなどとともに醤油、ぽん酢、からし醤油などで頂きます。さっぱりとした味わいと「のど越し」でするりと食べられます。福岡では、伝統的には朝食のおかずの一つとして親しまれてきた郷土料理で、かつては朝食時に「おきゅうと売り」が町中に売りに来ていた、という食べ物です。

かしわめし(かしわ飯)

鶏肉をささがきごぼうやシイタケ、ニンジンなどと共にゴマ油で炒めてから、干しシイタケの戻し汁や出汁と共に煮込み、醤油、みりん、砂糖などの調味料で味付けしたものを、別に炊いたご飯に混ぜ込んだ、混ぜご飯の一種。福岡の郷土料理の一つとして知られます。家庭で食べられるほか、うどん屋さんのサイドメニューとして「うどん」と共に頂くことも多い料理です。

あちゃら漬け

下茹でや塩もみなどで下処理し適宜適当な大きさにカットした、みょうが、きゅうり、大根などの野菜を、唐辛子とともに、米酢、昆布出汁、塩、砂糖などを一煮立ちさせて作る甘酢に入れ、一晩ほど漬け込んだ酢漬けの一種。甘味と酸味が特徴の、夏(特にお盆の時期)の福岡の定番料理の一つとして知られます。

日本語らしからぬ独特の響きを持つその名前は、「漬ける」を意味するポルトガル語の「アチャール」に由来しているとか。地域や家庭、店などにより、ゴボウやれんこん、カブ、人参、茄子、キクラゲ、白瓜、花麩なども用いられます。験担ぎで用いる食材の数は奇数と決まっているのだそうです。食材を一度出汁で煮てから甘酢に漬けて作る方法など地域や家庭により多少のバリエーションがあります。

タラわた(鱈ワタ)

たらの内臓とエラの干物(タラワタ・タラ胃・鱈胃)を米の研ぎ汁などで戻してから、醤油、みりん、砂糖、出汁などで甘辛く煮付けたもの。「盆ダラ」。福岡の博多や太宰府地域で伝統的にお盆の際に食べられてきた郷土料理の一つです。

ごまサバ(ごま鯖・胡麻鯖・胡麻さば)

ごまサバごまサバ

博多名物であり、福岡の居酒屋の定番メニューの一つがこの「ごま鯖(博多のごまサバ)」。サバの種類としてゴマのような模様が特徴の「ゴマサバ」と呼ばれるものもいますが、こちらは料理名。読んで字のごとく「胡麻」と「鯖(サバ)」を合わせたもので、より正確には炒った白胡麻(そのまま、またはすり胡麻、練りごま)と醤油、みりん、砂糖などを合わせたごまダレとネギで新鮮なマサバの切り身を和えたもの。サバの脂の旨味、さばの身の甘みと胡麻の風味、小口切りのネギの香味などがよく入り混じり、わさび醤油で刺し身を食べるのとはまた異なる極上な味わいを作り出します。

元々新鮮なのでサバの生臭みは少ないのですが、ゴマの風味が加わることでさらに食べやすく、そして美味しくなる一品です。わさびやおろし生姜、もみ海苔(または刻み海苔)などがトッピングされることも多く、酒の肴としてだけではなく、ご飯に乗せたり、お茶漬けにして食べたりもします。ごまさばを丼に盛ったご飯の上にたっぷりと乗せた「ごまさば丼」も人気。福岡の美味しい魚介料理の中でも特に味わいたい一品です。

あまぎのかわたけ

朝倉市の黄金川で採れる淡水海苔が「かわたけ」。漢字では川茸と書きます。正式には「スイゼンジノリ」といいますが、地元の人々には「カワタケ」と呼ばれて親しまれているこの海苔は、江戸時代には殿様への献上品にもなっていたという天然の川海苔。温度変化や乾燥、寒さに弱く、カルシウムを多く含む水質の良い湧水で、なおかつ水深の浅い場所という限られた場所でしか生育できないため、その希少性と味の良さから高級珍味として知られます。主な調理法はお吸い物や酢の物など。高級料亭など日本料理店で主に用いられます。

くつぞこの煮付け(クツゾコの煮付け)

「くつぞこ」とは有明海で漁獲される魚のこと。一般には「舌平目(シタビラメ)」と呼ばれる「ウシノシタ」類の魚の仲間で正式名称は「コウライアカシタビラメ」といいますが、その靴の底のような見た目から「クツゾコ」「クッゾコ」「クチゾコ」と呼ばれ親しまれています。

有明海では2月〜4月にかけて漁獲され、周辺地域ではメジャーな食用魚の一つ。柳川地域では「クツゾコ料理」が郷土料理、名物料理となっています。新鮮なものは刺し身でも食べられますが、醤油やみりん、砂糖、生姜、サンショウ(山椒)などで甘辛く煮付けた「煮付け料理」として食べられることも多い魚です。「くちぞこの煮付け(クチゾコの煮付け)」は、同じく有明海に面した佐賀の郷土料理にもなっています。

エツの南蛮漬け

エツはカタクチイワシ科の魚。有明海特産の魚の一つで、海水魚でありながらも、筑後川が有明海に注ぎ込む沿岸部の淡水と海水が入り交じる汽水域で産卵・孵化するという性質を持っています。特に河口から少し上流の場所に位置する久留米市城島町の「エツ」(城島のエツ)が有名。これは有明海に生息していた際には身は薄く骨が硬かったエツが、汽水域へと上るにつれて身が厚く骨が柔らかく変化するために、城島あたりで捕れるエツがとても美味しい状態になっているからなのだとか。

エツは5月〜7月頃に漁獲されますが、特に6月のエツは脂ものって絶品。「エツの南蛮漬け」がよく知られますが、刺し身やあらい、姿ずし、煮付け、塩焼き、唐揚げ、あぶり寿司など、様々な料理で食されます。6月に久留米の城島に訪れた際には「エツ料理」をぜひ・・・、いえ、むしろ「絶品のエツ料理」を求めて、ぜひ6月に城島を訪れたいものです。

のうさば

「のうさば」とはサバのことではなく、ドチザメ科に属するホシザメのこと。サメの中でも味が良いサメとして知られており、湯引きや煮付けなどで食べられますが、福岡県宗像市の鐘崎地区では、開きにしてから天日干しにしたものを熱湯で湯がき、「たわし」「ブラシ」などで表面をこすり洗いして硬い「鮫肌」の表面を取り除いてから水にさらし、ハサミで一口大に刻んだ後に、醤油、日本酒、みりんなどの調味液に漬けたものを「のうさば・ノウサバ」と呼び、伝統的におせち料理、正月料理の一つとして食べてきました。

かつては数の子が手に入りにくかったために、代用としてこの調味液に漬け込んだ「のうさば」を食べていたといい、「鐘崎数の子(鐘崎かずのこ)」もしくは「玄界かずのこ」という別名でも親しまれています。正月の郷土料理であり、家庭で作られてきた家庭料理ですが、現在では店舗や通販などで「宗像の郷土料理・鐘崎のうさば」等の商品名で販売もされています。

モダマ

モダマとは、上で紹介した「ノウサバ」=「ホシザメ」を湯引きにしたもの。酢味噌をつけて頂きます。

筑紫もち

筑紫もち(つくしもち・ちくしもち)は、もち粉に水飴、麦芽糖、グラニュー糖などを混ぜ合わせた生地を練り上げて作る餅に、きな粉や黒蜜をまぶして食べる菓子。「きなこ餅」「餅菓子」の一つで福岡の銘菓、人気の土産物・土産菓子の一つとして知られます。

鶴乃子

鶴乃子

純白のふんわりとやわらかなマシュマロ生地に、手亡豆と卵黄から作られる優しい甘さの黄味あんが包まれたお菓子が、博多の銘菓の一つとして知られる「鶴乃子」。博多祇園山笠が最も白熱する「廻り止」の場所に位置する「石村萬盛堂」で100年以上受け継がれてきた和菓子です。

鶏卵素麺(けいらんそうめん)

鶏卵素麺は、卵の黄身を、氷砂糖から作られる蜜を沸騰させた中に「そうめん状」に細く流し込んで、冷やし固めて作られる菓子。安土桃山時代にポルトガルから伝来した「南蛮菓子」を発祥とするといわれる歴史あるお菓子の一つです。博多で製造販売されるようになったのは延宝年間(1673年ー1681年)の頃とか。

梅ヶ枝餅

梅ヶ枝餅梅ヶ枝餅

元々は7世紀後半に設置された地方行政機関であり、現在では国の特別史跡にも指定されている「太宰府」。福岡の歴史、日本の歴史を語る上では外すことのできない重要な場所であり、菅原道真を祀る太宰府天満宮を中心に年間1000万人以上に上る人が訪れるという、福岡でも有数の観光スポットですが、この太宰府に訪れたらぜひとも味わいたいのが、「梅ヶ枝餅」。政争に巻き込まれて太宰府に流されてきた菅原道真を不憫に思い、近隣に住んでいたおばあさん(浄妙尼といわれます)が梅の枝にさした餅を差し入れしたことがその発祥といわれる餅菓子です。

うるち米ともち米を用いた粉で作られる生地に包まれた甘さ控えめの小豆餡。外側はぱりっと、中はもっちりとしており、焼き目の香ばしさと中の餡のちょうどよい甘さとほのかな塩味のバランスが素晴らしく、太宰府天満宮を訪れる際にはつい買ってしまう、という人も多い絶品餅です。持ち帰り用の土産ものもありますが、できれば焼きたてアツアツの梅ヶ枝餅をその場で食べていただきたいもの。香ばしさと風味が圧倒的で段違いの美味しさです。

福津市にある宮地嶽神社(みやじだけじんじゃ)の「光の道」(参道)には「松ヶ枝餅」も売られています。こちらもぜひ試してみてくださいね。

べたもち(べた餅)

べた餅は、小麦粉に塩と水を加えて練ってからひし形に切り茹でたものに、砂糖と少々の塩を加えたきな粉をまぶした「お団子」タイプのおやつ・軽食。福岡東部の京築など豊前地域で食べられてきた食べ物です。

べた餅のベタとは、豊前の海で獲れる魚「シタビラメ」のこの地域での呼び名に由来します。この地域で食べられている「ベタ」の形状によく似ている餅であることから、「べた餅」の名で呼ばれるようになったのだとか。元々は田植えの際に豊作を願い、作られ食べられた行事食の一つであり、来客時や、農作業の合間の軽食としても食べられてきたといいます。地域によってはきなこの代わりに小豆餡をまぶしたり、さつまいもを用いたものなどもあります。長崎などでもほぼ同様の食べ物が「べったらもち」と呼ばれ親しまれています。

ふなやき(ふな焼き)

「ふなやき」は、福岡県南部の筑後地域でおやつ・軽食として食べられてきた郷土食。小麦粉に水と塩を混ぜた生地を薄く丸く焼き、黒砂糖などを包んだものです。黒砂糖の他、高菜や味噌などを入れることもあり、甘いお菓子、おやつとしてのほか、農作業の合間の軽食などにも食べられてきたといいます。今のように様々な市販のお菓子やおやつが簡単に手に入らなかった時代に作られ食べられるようになったという食べ物で、クレープのように包んでから畳んだものや、クルクルと棒状に丸めたものなどがあります。

えびざっこ

「えびざっこ」とは、福岡県の豊前地域(県の東側)で水揚げされる、アカエビ、トラエビ、サルエビなどの数種類のこぶりな地エビ(小エビ)の総称。単に「ざっこ」とも呼ばれます。この地エビを醤油、酒、みりん、砂糖などで煮付けて頂きます。さらにこの煮汁で茹でた素麺をさっと煮てから一緒に頂くのも定番。唐揚げや天ぷらにも用いられます。

とうへい鍋

トウヘイとは、ウナギによく似た外観を持つ魚で、大きいものでは2メートル前後にもなるというクロアナゴのこと。福岡県の大島地域で漁獲され、伝統的に食べられてきた魚です。唐揚げなどでも食べられますが、定番の食べ方の一つが味噌仕立ての鍋。

旬は脂の乗る秋から冬にかけて。骨から取ったスープにキャベツなども入れ、東北地方のタラ鍋、ざっぱ汁などと同様、身とともに肝なども入れることで、コクのある味わいを楽しみます。

漁獲量がそれほど多くない上に捌き方も難しいためにあまり広く知られていない料理ですが、祭りなど人が多く集まる際に食べられてきたこの郷土料理、大島を訪れた際にはぜひ味わってみたい料理の一つです。

ぬたえ(ぬたい)

短冊切りにした大根、千切りにした人参、酢じめにした魚または茹でて細切りにした鶏肉を、味噌、酢、砂糖、みりん、胡麻、唐辛子などで作る酢味噌で和えたもの。茹でたわけぎや万能ねぎ(博多万能ねぎ)が加えられることも多いです。一般的には「ぬた」「ぬたや」と呼ばれる料理の仲間で、「ぬた和え」が転訛して「ぬたえ」になったともいわれます。伝統的に作られ食べられてきた郷土料理で、特に正月料理、祝いの席などで用いられる定番料理の一つとして知られます。地域により「ぬたえ」「ぬたい」などと呼ばれます。地域によっては、魚や肉などを加えず、かわりに厚揚げなどを用いた精進料理として食べられる場合もあります。

そうめんちり

地鶏を炊いて取ったスープに、鶏もも肉と人参、白菜、ネギ、玉ねぎ、豆腐、こんにゃく(つきこんにゃく)、春菊などの具材を入れ、醤油、砂糖(中ざら糖)、みりんなどで調味して、別に茹でておいた素麺を入れて作る麺料理が福岡の糸島地域の郷土料理「そうめんちり」。

糸島では伝統的にお祭りやお盆、お正月など多くの人が集まる際に作られ、振る舞われてきたごちそうです。糸島の中でも主に海から離れた山に近い地域で食べられてきた料理で、かつては新鮮な魚介類が手に入りにくかったため、人が集まる際には鶏を捌いてご馳走する習慣が続いてきたのだといいます。甘みが強くてコクがある味わいが特徴で、砂糖が貴重であった時代の名残も垣間見ることができる郷土料理です。

博多餃子・鉄鍋餃子・一口餃子

一口餃子
一口餃子

福岡の居酒屋で人気のメニューの一つがこの博多餃子。店にも寄りますが、「一口餃子」の名もある通り、通常の餃子よりもかなり小ぶりのものが多く、一口でパクリと食べることができる餃子です。鉄鍋で焼いたそのままに提供されることも多く、鉄鍋餃子の名も。ハフハフと出来立てアツアツの餃子を頬張りながら、生ビールやサワーを飲めば気分は最高です。

うなぎのせいろ蒸し

福岡の柳川でうなぎ料理といえば、定番の食べ方がこの「せいろ蒸し」。香ばしく焼き上げたウナギをカットし、別に蒸してあったご飯の上に盛り付けて、さらにふっくらと蒸しあげた料理。上にトッピングされた錦糸卵とウナギのコントラストの美しさもさることながら、蒸されることでふんわり感がさらに増したウナギの美味しさは絶品です。

柳川鍋

鰻と共に柳川の名物となっているドジョウを用いて作られる料理がこの柳川鍋。ドジョウを卵とじしたものです。小骨を取るなどして下処理したドジョウと、ごぼう、シイタケなどを鍋に入れ、割り下を加えて、煮てから溶き卵を入れてとじて作ります。ドジョウの旨味に加え、甘みのある割り下とごぼうとシイタケなどの味わいが入り混じり、さらに三つ葉や山椒の香りも相まって、何とも言えぬ美味しさを作り出します。

にわかせんペい(二○加煎餅)

にわかせんペい

タレ目のちょっと(かなり)ユーモラスな目と眉が描かれた独特の「風貌」のせんべいが、「にわかせんペい」です。博多の伝統的な郷土芸能である「博多仁和加(はかたにわか)」で使われる半面をかたどって作られたものだとか。砂糖、小麦粉、鶏卵、ゴマ、油、重曹というシンプルな材料から作り出される福岡県の銘菓です。博多っ子なら一度は自分の鼻の上にこの焼き菓子をかざして遊んだことがあるといわれる名物菓子。お子さんがいる家庭であれば、お土産にするととても喜ばれるかもしれません。

ゆずごしょう

今や全国的に知られるようになった調味料。「ゆずごしょう」の「こしょう」とは、ブラックペッパーの胡椒ではなく、唐辛子のこと。唐辛子のことをかつては「南蛮ごしょう」とも呼んだそうです。青ユズと青唐辛子、塩を用いて作られます。よく知られる緑色のもののほか、赤色をした「ゆずごしょう(赤柚子こしょう)」もあります。福岡では、柚子ごしょうは、うどんや素麺などの麺料理や鍋ものなどに用いられるほか、焼いた肉や刺身、湯豆腐、餃子、パスタなどにもよく合います。福岡では味噌汁や吸い物に入れる人もいるとか。

がめの葉まんじゅう

5月の端午の節句に欠かせないおまんじゅう。東日本では柏の葉を用いた「柏餅」を、西日本ではサルトリイバラの葉を用いた「いばら餅」が定番ですが、福岡の筑前地域では、サルトリイバラの葉脈が亀の甲羅の形状に似ていることから「がめの葉(筑前地域などでは亀のことを「がめ」と呼ぶ)」と呼び、この「がめの葉」を用いた「まんじゅう」なので「いばら餅」を「がめの葉まんじゅう」と呼びます。地域によっては「がめの葉もち」とも。

みとりまんじゅう

みとりまんじゅう(みとり饅頭)は、「みとり豆」と呼ばれる「ささげ(ささげ豆)」の一種の豆(普通の小豆と異なり秋前(お盆の前頃)に収穫できることから別名「夏小豆」とも呼ばれる)を煮て作る餡(みとり餡)を、重曹を加えて作る小麦粉の生地で包み、蒸し上げた郷土菓子。地域によっては「炭酸まんじゅう」「ソーダまんじゅう」などとも呼ばれるタイプのまんじゅうです。「みとり豆」はかつての豊前国(福岡東部及び大分北西部)の上毛町(福岡)や宇佐市(大分)などの特定地域で伝統的に栽培されてきた豆で、お盆の時期になるとこのみとり饅頭が作られ仏前に供えられてきました。同じくこのみとり豆を用いて作られるおこわ(みとりおこわ)やまんじゅう(みとりまんじゅう・いぜもち)が大分の宇佐の郷土料理・郷土菓子となっています。

高菜漬け

アブラナ科の野菜「タカナ」の葉や茎を塩で漬け込んだ漬物が高菜漬け。タカナはカラシナの一種で、ぴりっとした辛みが特徴です。乳酸発酵させた伝統的な漬物(古漬け)のほか、調味液や塩で数日漬けた浅漬もあります。唐辛子が入ったもの(辛子高菜)やゴマが入ったものもポピュラー。明太子入りの商品もあります。ちょっと酸味と辛みのある深い味わいは福岡にゆかりがない方でもトンコツラーメン好きであればよくご存知ではないでしょうか。ラーメンの他、炒飯などの炒め物や、おにぎり、和え物などにも用いられます。もちろん、御飯のおかずや酒の肴としても最高です。

にぐい(だぶ)

人参、ゴボウ、れんこん、里芋などの根菜類や鶏肉、コンニャク、干し椎茸、お麩、かまぼこ、厚揚げ、焼き豆腐、タケノコなどを用いて作られる具沢山の汁料理です。地域によって多少異なりますが、用いる食材を1センチメートル〜1.5センチメートルほどの小さめの角切りや短冊切りにして入れるのが特徴で、昆布や煮干しの出汁を用い、醤油と塩、または白出汁などで調味、最後に水溶き片栗粉やクズ粉(葛粉)でトロミをつけ、生姜を添えます。諸説あるが、最初に「汁料理」として、煮詰まって汁けがなくなってきたら「煮物」として二度食べることから「二度食い」が転訛して「にぐい」となったと言われます。

伝統的には、冠婚葬祭など人が多く集まる席で振る舞われてきた郷土料理であり、めでたい席では食材を四角に、弔事では三角に切る、鶏肉は用いないなど、シチュエーションにより食材の切り方や用いる食材が変わる地域も多いのだそうです。地域により「にぐい」のほか主に筑豊地域などでは「だぶ」「らぶ」「だぶ汁」などとも呼ばれます。

ひし料理

「ヒシ」はヒシ科ヒシ属に分類される水性植物。秋に収穫されるヒシ(菱)の実は、塩ゆでにするとホクホクして栗のような味がします。福岡の大木町では昔から親しまれてきた食材です。

ビタミンやミネラルも豊富なこの「菱」は、かつては子孫繁栄、健康長寿の願いが込められ、栽培も盛んであったといいますが、生産者も減り、時代とともに知る人ぞ知る食材となってしまいました。ひな祭りに用いられる「菱餅」も本来はこの菱の実を粉にしたもので作られた餅であったとか。

菱は繁殖力・生命力が強く一年に二回収穫できることもあり、江戸時代には飢餓食として用いられていた歴史もあるそうです。旬は9月〜11月初旬頃まで。旬の時期になると道の駅「おおき」ほか近隣のスーパーマーケットなどで見かけます。小ぶりのものは「チュウビシ」大きなものは「オニビシ」とも呼ばれます。全国的にあまり流通しない生のひしの実(生菱)は希少です。

塩ゆでの他、炊き込みご飯(菱の実ご飯・菱ご飯)や天ぷら、サラダ(ひしサラダ)などでも食されます。そのほか、蒸しパンに入れたり、磯辺揚げにしたりと、色々な「ひし料理」があります。また、栄養価が高く、漢方薬にも用いられるという「ひしの皮」は、天日干しにしてから煮出してお茶(ひし茶)として飲みます。

あぶってかも

「あぶってかも」は、福岡市の沿岸部で昔から食べられている料理で、スズメダイに塩を振って焼いたもの。(スズメダイそのものの呼び名としても用いられることもあります)博多の名物として知られます。スズメダイに塩を振ってから軽く天日干しにし、炙って食します。語源は諸説ありますが、炙って食べると香ばしくて鴨のような味がするから「あぶってかも」と呼ばれるようになった、またはシンプルに「炙って噛む」から、などといわれます。かつては沿岸部の漁師が塩をしたスズメダイを炙って食べていたそうですが、昭和の初め頃に博多の料亭で提供されるようになり、いつしか博多名物となりました。春から夏にかけて獲れますが、特に美味しい時期は産卵前の初夏の頃。旬の時期には居酒屋などでも提供されます。脂の乗った身の旨味と皮や鱗の香ばしさは、最高の酒の肴です。

焼きラーメン

一部の人には通常のトンコツラーメンを凌ぐグルメと絶賛されるのが、この焼きラーメン。博多の老舗の屋台「小金ちゃん」発祥といわれる料理で、名前の通りラーメンを鉄板などで焼いてトンコツスープやタレで調味して作るご当地麺料理です。夏場に「暑いから汁は飲みたくない」という客の声に応えて生まれたともいわれます。

汁ラーメンとは異なる、汁気が飛んでうまみがぎゅっと凝縮された味わいと少し濃いめの塩気は、お酒を飲んだ後の締めにぴったり。お店によって、どろっとしたもんじゃ焼きのようなものや焼きそばタイプのものなど様々なスタイルがあるので、色々味わってみると楽しいかもしれません。

焼きカレー

門司港焼きカレー 門司港焼きカレー

カレーをご飯とともに耐熱容器に入れチーズや卵などをトッピングし、オーブンなどで焼いた料理。北九州の門司港エリアで提供されているご当地グルメ・B級グルメです。オーブンなどで「焼かれる」ことにより、通常のカレーではあまり感じることのない、焼き目の「香ばしさ」を感じることのできる一品。とろけるチーズの芳醇な風味も合わさり、極上のカレー料理へと変化しています。唯一の難点はとっても熱いこと!!猫舌の人は特に気をつけて!それさえ乗り越えれば、焼きカレーの魅力を存分に堪能することができます。

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博多雑煮

醤油仕立て、味噌仕立て、丸餅、角餅など日本の各地で様々なスタイルで食べられている雑煮。博多の伝統的なお雑煮は、焼きアゴや鰹節、昆布などで取った出汁にブリをメインの具材として用いるのが特徴。かつお菜(勝男菜)という博多の伝統野菜のほか、人参、大根、里芋、干し椎茸、焼き豆腐、かまぼこなどが入る具沢山なお雑煮であるのも特徴的です。餅は丸餅。醤油(薄口醤油)、塩、みりんなどで調味します。お正月らしく、それぞれの具材をキレイに並べて盛り付けた姿は見た目にも美しいものです。

焼き鳥(豚肉)

北海道の室蘭や函館、山形、埼玉の東松山などでは「焼き鳥」というと、鶏肉ではなく豚肉を焼いたものが出てくるのが定番ですが、福岡でも「焼き鳥」といえば豚肉(豚バラ)を焼いたものがポピュラー。とろけるような甘みのある脂身が香ばしく焼けて、これでもかと迫ってきます。「生キャベツ(キャベツの酢だれ)」がお通しとして出てくるのもお約束。うま味たっぷりの脂っこさと、さっぱりキャベツの連続攻撃でノックアウト間違いなし。表面カリカリ中ふわふわの豚の腸「ダルム」や、心臓「ヘルツ」、牛の血管(大動脈)「センポコ」などもぜひ試してみてくださいね。

ごろし

福岡の筑後地域のおやつが「ごろし」。小麦粉と塩、水(ぬるま湯)で作る生地を茹でて、きな粉や砂糖醤油、黒砂糖、小豆あんなどをつけて頂く、シンプルなスイーツです。おやつ、軽食、お茶請けとして伝統的に食べられてきました。

「ごろし」という、あまりおだやかではないそのネーミングは諸説ありますが、あまりに美味しくて食べすぎた娘さんが太ってしまうので「むすめごろし」と親しまれた所から、いつしか「ごろし」と転訛したともいわれます。地域によっては「ごろしだご」とも。名前は少々物騒ながら、名付けられたエピソードは微笑ましい(?)、昔ながらのおやつです。

ぬかみそ炊き・糠味噌煮

糠味噌(ぬかみそ)を用いて作られる料理で、糠味噌でサバやイワシなどの青魚を煮込んだ料理。江戸時代から作られ食べられてきたという伝統的な郷土料理。「ぬか炊き」「おささじ煮」「陣立煮(じんだに)」とも。

せんぶきまげ

せんぶきとは福岡で「わけぎ」のこと。塩ゆでにした「せんぶき」を、根に近い方を軸にしてぐるぐると巻き付け、白味噌、練り辛子、砂糖、酢で作る「辛子酢味噌」を添えた料理、いわゆる「ぬた」の一種です。ワカメや「おばいけ(皮のついたクジラの脂身を湯通ししたもの)」が添えられることも多いです。「せんぶきまげ」の名はその見た目から。「せんぶきの酢味噌和え」とも呼ばれます。

鶏肉のすきやき

鶏肉、レバー(肝)、皮、玉ひも(キンカン)などを用いて作られるすき焼きが福岡の郷土料理の一つ「鶏のすき焼き」。宗像市や古賀市などで、人が多く集まる祭りや田植えなどの際に食べられてきたという料理です。春菊や白菜、ごぼう、長ネギ、カブ、しいたけなど、旬の野菜やきのこなどのほか、豆腐やコンニャク、素麺なども用いられ、醤油や砂糖、日本酒、塩などで調味します。砂糖が多めに入る、濃く甘めの味付けが特徴。地域によっては「鶏すき」とも呼ばれます。

まだまだある!福岡に行ったら食べたい福岡のご当地グルメ

のっけ飯・・・まぐろや、ウニ、いくら、ずわい蟹、とろろなどが贅沢に盛り付けられた丼が「のっけ飯」。海鮮のっけ飯とも。福岡の北九州地域、門司や小倉などをはじめ福岡市内などでも提供されているご当地グルメ・ご当地丼です。

かます寿司・・・鱗やえら、内臓を取り除き、背開きにしてから、塩と酢で〆たカマスに、ゴマを混ぜ込んだ酢飯を詰めて一晩寝かせたもの。筑後地域の伝統的な郷土料理の一つです。

酢モツ・・・新鮮なモツを湯通ししてから、小口切りにしたネギと共にポン酢で頂く料理。コリコリとした食感とモツ鍋のコクとはまた一味違うさっぱりとした味わいが魅力。

酢もち(酢餅)・・・大根おろしに醤油、砂糖、ダイダイ(橙)の果汁を加えて、つきたてのお餅を一口大に切って入れた、主に豊前地域などで食べられてきた郷土料理。地域により「からみ餅」「おろし餅」などとも。

柿の葉寿司・・・鶏肉、ニンジン、シイタケ、ごぼうなどを塩、砂糖などで炒めたものを酢飯の中に混ぜ込み、手のひらほど大きさに握ってから酢で〆た魚や小エビ、桜でんぶ、錦糸卵などをトッピングして、柿の葉で包んだもの。朝倉や嘉穂などで伝統的にお盆や秋祭りの際に作られてきたもの。

いもまんじゅう・・・小麦粉とじゃがいも、または里芋を用いて作られるのが「いもまんじゅう」。地域により「じゃがいもまんじゅう」とも呼ばれます。小麦粉に砂糖と塩、水を加えて作る生地で、皮を剥いたいもを包み、蒸し器などで蒸し上げたもので、奥八女などの山間の地域で昔から日常食として、おやつや軽食で食べられてきた食べ物です。

やまごんにゃくの刺し身・・・コンニャクといえば、一般的には長方形や四角形でのっぺりつるんとしたものをイメージされる方も多いでしょう。短冊状に切ったり千切ったりして田楽や煮物などに用いられますが、大量生産されているものは製造の際に、こんにゃく芋を粉に加工したものを原料に用いられることも多いのですが、昔ながらの手作りのこんにゃくは、生の「こんにゃく芋」をすりおろして作られる無骨な形をしたコンニャクも多いのです。塩もみしてから湯がき、薄切りにして、魚の刺身のようにわさびしょう油で食べたり、酢味噌をつけて食べたりします。

Japan Web Magazine 編集部

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