観世音寺
公開日: 2015年11月11日 | 最終更新日 2024年10月26日
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九州でも指折りの古刹
奈良時代から平安時代末期まで、九州一帯を治める行政機関が置かれた太宰府。本州から九州への玄関口であり、大陸との交易などの重要な窓口でもあった場所です。
その大宰府が置かれていた場所から徒歩で約10分ほどの所にある「観世音寺」(かんぜおんじ)は、天智天皇を開基とする天台宗の寺院。創建以来、1300年近く経っている九州でも指折りの古寺の一つ。
源氏物語にも登場するこのお寺が、80数年の年月をかけて完成したのは746年(天平18年)の事。かつては330メートル四方の境内に、講堂、金堂、五重塔などが点在する大寺院で、境内には、761年(天平宝字5年)に鑑真和上によって戒壇院が設けられ、奈良の東大寺・栃木の下野薬師寺とともに「天下三戒壇」の1つにも数えられるほどでしたが、その後、度重なる台風や火災などにより、主だった建物は失われてしまい、現在は江戸時代になって再建された金堂を始め、黒田藩主により再建された建物などが建っています。
「太宰府」というと、太宰府跡と太宰府天満宮を訪れて、この観世音寺をスキップしてしまう人も少なくない為か、境内は比較的人も少なく静か。むしろ、その静けさこそがこの観世音寺を穴場的存在にしているのです。建物こそ、建て替えられてはいても(といっても3~400年ほどは経っていますが)、1300年近くの長きにわたりこの地にあり続けるその存在感は、静かに、しかし大きな安定感を漂わせています。
境内をゆっくり歩いているだけで、ふとした瞬間に平安時代にタイムスリップしてしまうのでは、という不思議な高揚感と、どっしりとした重厚感が入り混じります。歴史がある場所特有の雰囲気です。
「国宝」である、日本最古といわれる「梵鐘」や、平安時代から鎌倉時代に造られたという重要文化財の像、江戸時代初期建立の金堂や講堂なども勿論見所ではありますが、是非ともゆっくりと境内を散策したり、すーっと大きく息を吸い込んでみてもらいたい、そんな場所なのです。
観世音寺への行き方
交通アクセスは、西鉄太宰府線の西鉄五条駅(徒歩約12分)または太宰府駅(徒歩約15分)、天神大牟田線の都府楼前駅から徒歩で約19分。バスの場合は、まほろば号で「観世音寺前」バス停下車徒歩すぐ。西鉄バス(400系統)で「筑陽学園前」バス停下車後、北方向へ徒歩で約6分ほど。観世音寺の西南隅にある、かつては観世音寺の一部であった戒壇院も忘れずに訪れたい。