ミズの実
公開日: 2012年10月12日 | 最終更新日 2022年10月24日
ミズムカゴ
秋の恵み・山の恵み
ミズという山菜をご存知だろうか。春から初夏(場所によっては6月~7月)にかけて旬を迎える山菜で、渓流沿いや水の滴る崖下など湿気の多い場所を好んで生息する。ミズは、地域により、ミズナ、ヨシナ(ヨシ菜)、カタハなどとも呼ばれるが、植物としては「ウワバミソウ」と言う名前を持ち、北海道から本州、九州にかけて広く分布している。茎をさっと湯掻いて叩いたり(ミズのたたき・ミズタタキ・ミズとろ)、炒めたり(ミズの油炒め・キンピラ)、煮浸し、胡麻和え、酢味噌和え、天ぷら、漬物などでいただく。瑞々しくシャキシャキとした食感の中に粘りもあって、その独特の味わいはクセになる。瑞々しいから「ミズ」と名付けられたという話もうなずけるまさに季節を感じる山菜の一つだ。アク抜きの必要がないのも手軽で好まれる。
「ミズ?毎年食べてるよ!」という方の中には、その季節になるとミズ摘みに行くのを楽しみにしているという方もきっと多いだろう。ワラビやゼンマイ、ウド、タラの芽ほどの知名度はなくとも、全国各地にファンの多い山菜なのだ。
そのミズが夏から秋にかけて実をつける。それがミズの実だ。実といってもいわゆる種のある実ではなく、茎が肥大化して形成される肉芽、「むかご」のことで、「ミズムカゴ」とか「ミズのコブ」と呼ばれて、これまた各地にファンの多い「秋の恵み」「山の恵み」だ。
ちなみに一般的に「むかご」として売られているのは、ヤマノイモやナガイモなど、山芋のむかごのことだ。
ミズの実の食べ方
ミズの実は、さっと湯掻いて醤油を垂らして食べるほか、ミズの実だけ、もしくは刻んだきゅうりやキャベツなど好みの野菜と一緒に、塩や醤油、出汁醤油などを適宜入れて、一夜漬けにして頂く。口に入れると、「ねっとり」と「シャキッ」とが混ざった絶妙な食感で、豆のような甘味とフレッシュで上品な香りが鼻に抜け、なんとも言えぬ美味しさ、やみつきになる味なのだ。