夕暮れの鎌倉大仏
公開日: 2015年12月1日 | 最終更新日 2024年4月6日
かつては奈良の大仏のように外側に大仏殿があり、雨風から守られていたという鎌倉大仏。創建時に外側を覆っていた大仏殿は、14世紀後半から15世紀初頭頃に台風もしくは地震で倒壊し、以後再建されなかったといわれている。
奈良の大仏に比べ、鎌倉の大仏はその知名度の割に謎の多い大仏で、例えば、創建年についても1243年に開眼供養されたとも、1252年から造り始められたともいわれており、大仏建立に至った経緯や誰が中心となって建立したかなども含め、正確なところは未だにわかっていないのだ。
その一方、修復が繰り返し行われ建立当時の姿そのままとは言い難い奈良の大仏に比べ、鎌倉の大仏は長年風雨にさらされながらも、ほぼ建立当時の姿を保っているのも特徴で、さらに空洞の像内に立ち入ることができる、というのも珍しい。
謎が多いにも関わらず、建立当初の姿を保ち、それでいて内部に入ることもできるという不思議な大仏様。
不思議ながらも、壮大な東大寺の境内にあるこれまた荘厳な大仏殿の中に鎮座する「奈良の大仏」が高尚で少し近寄りがたいのに対して、「鎌倉の大仏」はどことなく親しみがわいてしまうのは気のせいだろうか。
夕暮れ空の中に佇む姿を拝むことができるのも、外に座っている「鎌倉大仏」ならでは。