日本の朝の風景
公開日: 2007年7月12日 | 最終更新日 2015年5月8日
「日は又昇りゆき」
爽やかな目覚め、吐く息の白い凍えるような早朝、酒の無い国に行きたい二日酔い、気だるい朝帰り、ラジオ体操の音楽、ジョギング、早番、水撒き、蒸し暑くて目覚める夏の朝・・・人には色々な朝のイメージと、様々な朝にまつわるエピソード、朝の記憶があるだろう。明けない夜は無い。人には等しく朝が来る。朝を感じるキーワード。日本の夜明け。JWMセレクション・・・「日本の朝の風景」
八月 長野
ハイシーズンの週末の蝶ヶ岳の頂上は、色とりどりのテントが美しいテント村の様相を呈する。比較的簡便なルートと晴れていれば、ほぼ360度の素晴らしい景観が望めるからだ。朝、東の雲海を抜けて朝日が登ってきた。さあ、今日も新たな登りが待っている。
八月 青森
ねぶた祭りを見た後、雨の八甲田を抜けてひた走り、夜明けの陸中にたどり着いた。朝日は望むべくも無いと、諦めていたその時、徐々に水平線の色が変わり、東の空は明るくなっていく。見る間に雲は燃え、空は火の様な、輝く茜色に染まっていった。
八月 福島
子供の頃から、鉄塔のシルエットが好きだった。一切の無駄の無いシンプルで無骨なデザイン。飾り気も何も無い、巨大な建造物は大自然の中にあると、理由の無い嫌悪感が湧くと同時に、或る景色のではなぜか無性に美しさを感じてしまう。特に朝日の中の鉄塔を見ると、胸が高まってしまうのだ。
九月 宮城
全てはきっと連続して繋がっている。右に左に折れながらも、たどり着くべきところにたどり着くのだと人はいう。この道はどこに続くのだろう。
十一月 静岡
文字通り、弓の形をした美しい浜に佇んでいると、輝く太陽が水平線から顔を出した。波はきらきらと煌めいて、光の粒を反射する。浜を散歩する人々。鳥が悠々と大空を舞う。
六月長崎
海岸の荒地に車を止め、シートを倒して横になる。もう既に24時間は起きているだろうか。身体は眠い筈なのに、目を閉じても眠れない。諦めて外に出てみると、外は霧に包まれ、東の空はほのかに明るみ始めている。堤防にすわり、足をぷらぷらして眺めていると、柔らかな色をした太陽が遠慮がちに昇ってきた。
八月岐阜・長野
穂高の峰々がモルゲンロートで赤く染まっている。一時間以上前に出発したクライマーたちは岩場の三分の一ほどに達したようだ。人はなぜ山に登るのか。時に命を危険にさらしてまでも。
八月 青森
空を分厚く覆っていた雲が晴れ東の空がオレンジ色に染まっていく。その明るさが増すごとに、次第に木のシルエットが浮かび上がってきた。午前4時。一日の始まりだ。
七月 福島
北へ向かってひた走る。目的も何も持たず、ただ気の向くままに走っていく。何かから逃げるわけでもなく、何かを追いかけるわけでもない。そこに道があるから、ただそれだけだ。登山家の、あの衝動のような思いはこんなものなのだろうか。明日はわからない。でも今日は始まっていく。
一月 愛知
気温1度。いつにも増して清澄な空気の中、新しい年、新しい一日が始まる。薄藍色の美しい香りが空一面を埋めていく。雲はゆっくりとたなびいて、幻想の彼方へと流れゆく。今こそ透明の中へ。輝きを引き連れて。
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美しい日本の夜明け・朝の風景
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