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新緑の立石寺

山寺

山の縁にへばりつくようにして建つ立石寺「山寺」の諸堂。

JR仙山線の山寺駅から徒歩8分、立石寺の山門で入山料300円を支払い、山道を登りはじめた。道は右に左にくねりながら続いている。途中には無数の灯籠や石碑、石仏。木々の合間から漏れ来る日光が気持ちいい。芭蕉がこの地を訪れ詠んだ句「閑さや 巖にしみ入る 蝉の声」の季節にはまだ早いが、それでも懸命にのぼると汗ばむほどの陽気だ。

見上げるほどの岩壁に、雨風によって阿弥陀如来が彫られたという彌陀洞(みだほら)を過ぎるとようやく見えてくるのが仁王門。1848年(嘉永元年)に再建されたという優美な門で、左右には仁王像が立つ。さらに5分ほど来るとこの写真の場所にたどり着く。山門から30分程だろうか。

写真の前方左手奥に、奥の院や大仏殿、三重小塔、そして写真の後ろ方向に、山寺の象徴的な建物の一つ納経堂、開山堂、そして絶景の眺められる五大堂が控える。

立石寺の創建は、伝承によれば860年(貞観2年)ということになっている。寺の開山者とされる慈覚大師・円仁は第3代天台座主を務めた高僧で、その円仁が860年にこの寺を開山したというのは年齢的にも地位的にも疑問視されてはいるが、それでも9世紀頃にはすでにこの地に寺院があったといい、当時の都・京都から随分遠く離れたこの場所に、今とは多少なりともその様子は違っていただろうとはいえ、山肌に諸堂があったかと思えば驚きを禁じ得ない。

山寺は、鎌倉時代、戦国時代と、二度にわたり兵火によって焼失しているが、1543年(天文12年)に最上義守に庇護されるようになってからは安定し、一時は荒廃したという寺域も再び整備されている。

それから約140年後、松尾芭蕉が旅の途中でこの地に立ち寄ったのは1689年(元禄2年)のことだ。

撮影場所

Japan Web Magazine 編集部

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