富士山と茶畑
空気が澄んだ日が多くなる秋から冬にかけては、東京からもよく見える富士山だが、ご存じのように春先から夏にかけては、富士山が見える日は急激に少なくなる。それは、富士山周辺の町である静岡県の富士宮市や富士市などでも同じことで、直線距離にして20キロメートルほどと、(東京と比較して)富士山が圧倒的に近くにあるように感じるこれらの地域からでも、一日中雲の中に隠れてその姿が見えないことも少なくない。
例えば、富士山山頂まで約22.5キロメートルの場所にある富士市役所では、年間を通して記録を取っており、「富士山が見えた日」として公表しているが、平成26年度のデータを見ると「富士山全体が見えた日数」が、12月の「22日」に対して、4月は「17日」、5月は「13日」、6月は「5日」で、7月にいたっては1ヶ月のうち、「2日」しかない。
そんなわけで、富士山が見える日数が激減してしまう6月を前に、5月は、青々と茂っている茶畑と富士山を一枚の絵として楽しむのに絶好の季節なのである。富士市の岩本山公園周辺や、大淵笹場といった有名スポットのほか、今宮、清水港を間に挟んでの風景が楽しめる日本平周辺などもおすすめの撮影スポットだ。
茶畑周辺の道路はせまいことも多く駐車スペースも限られている場合が少なくないので、交通や作業している人の妨げにならないように十分配慮を。また、朝、富士山の全容が見えていても、昼前頃には姿を隠してしまうことも多いので、天気予報をチェックの上、午前中のなるべく早い時間に訪れるのがおすすめだ。
「茶畑と富士山」(撮影地:静岡県富士市 岩本山公園周辺)