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讃岐うどん

讃岐うどん

讃岐うどんを食べに行こう

日本には世界に誇れる三大麺文化がある。蕎麦、ラーメン、そしてうどんだ。

蕎麦にもラーメンにもそれぞれファンがいる。各地の色々なお店を食べ歩き、本やブログに詳細なコメントを書いたりするマニアとも呼ばれる人々も少なくない。それこそラーメンなど、十数万軒にものぼるその店舗の数からして、人気の程が伺えるだろう。さて、うどんは?というと、勿論、当然のことながらファンはいる。ラーメンほどではないにしても、各地を食べ歩くような熱烈熱狂的なファンもいる。実は蕎麦よりも早く、江戸時代初期には現在のような形で食されるようになったと言われるうどんは全国各地で様々な形で食されているが、特に四大うどん(三大うどんにはどれを入れるか諸説あり。どれも素晴らしいので、四大うどん)と呼ばれ並び称される、群馬の「水沢うどん」、秋田の「稲庭うどん」、長崎の「五島うどん」、そして香川の「讃岐うどん」。中でも、他の地域のうどんを大きく引き離して、知名度、店舗数、消費量とどれをとってもダントツなのが、「讃岐うどん」だ。しかし、ラーメンや蕎麦と、讃岐うどんには決定的な違いがあるのである。

讃岐うどん
讃岐うどん

朝からうどん

よく聞くことだが、成田空港は醤油の香りがするという。個人的にそんな感じを受けたことは一度も無い気がするのだが、とにもかくにも「ナリタはソイソース(醤油)のスメルがスル」という外国人は少なくない。インドの空港はカレーの香りがする気がしたから、そんなものなのかもしれない。さて、降り立った香川県高松空港はというと・・・。おおっ!ほのかにうどんの出汁のいい香りがするではないか!(空港内にうどん屋さんがあるから?)

  
  

ラーメン屋や蕎麦屋との決定的な違い。それは讃岐のうどん屋は朝が早いこと。早いところだと朝の5時、6時からやっている。朝の5時「まで」、ではない。5時「から」である。そんな早い時間にお店を開いてお客さんがはたしてくるのか?ちゃんと来るのである。それも、ひっきりなしに来るのである。ラーメンを朝から毎日食べられる、という人はそれ程多くは無いだろう。お蕎麦も昼なら毎日でも、という人はいるかもしれないが、朝から毎日という人はそんなには多くないのではないだろうか。それを証拠に、ターミナル駅の立ち食いそば(ラーメン)屋を除いて、町のラーメン屋や蕎麦屋は早朝から開いているところは殆ど無い。しかし、「讃岐うどん屋」さん。(勿論地元の人々にとってはいちいち「讃岐」はつかない、「うどん屋」さん。)早朝から開いている店も少なくなく、朝からお客さんが来ている。お店の方に聞いてみると、毎日来る人も普通にいるという。毎日毎日朝からうどん。一日一食必ずうどん。一生の間に食べるうどんは果たして何食になるのだろう。食べたうどん全てを一本一本延ばして繋げていったら地球を何周出来るだろう。思わずそんなことを考えてしまう。毎日朝からうどん・・・。うどんは嫌いじゃない、むしろ好きな方だと思う。でも普段は月に何度かしか食べない人間にとっては驚愕の事実。地元の人や香川出身の何人かに聞いてみても、別にそんなに驚くことでもないという。自分は毎日食べなくても、毎日食べてる人を知ってるし、自分も毎日うどんでも別に平気だよ、とさらっと普通に言う。

そう、「讃岐うどん」はただのうどんなんかじゃない。地域とそれぞれの人々の生活に密着した讃岐の「ソウルフード」なのだ。

赤坂製麺所

赤坂製麺所

朝の爽やかな陽光が大きな窓から斜めに差し込む店内。かたわらには大きさの違う丼が積み重ねられ、その奥に出来上がった麺を入れるのであろう、木箱が重ねられておいてある。テーブルには醤油のはいった容器と唐辛子の瓶が一箇所に固まって並ぶ。その前に透明なガラスの器に入った長いままの葱と小学校の頃に図工の時間に使ったようなハサミが二挺。店内は幸せの湯気で満ち満ちている。それもそのはず、このお店は単にうどんが美味いだけではないし、店内が明るいのも朝の光が差し込んでいるから、だけではないのだ。香川県下の数あるうどん屋さんの中でも最も有名であろうと思われる名物おばちゃんがいるのだ。

お店を出た後、幸せになれる条件。食べたものが美味しいのは勿論。値段が適当であることも勿論。しかし、何といってもお店の人の対応、応対、雰囲気、人柄、これが大変重要なのではないだろうか。旅館でもレストランでも、まず最初の電話の応対が素晴らしいところは、概して満足度が高いところが多い。予約の要らないようなお店なら、入店一発目の店員さんの雰囲気、応対の仕方次第で、その後の店内にいる間の心地ががらっと変わってしまうことも少なくない。どんなに美味しかろうと、どんなにコストパフォーマンスが高かろうと、店員さんの態度いかんでは、又来たいと思いつつ満足しながら帰るものも、もう二度と来ないとなりうる。味、価格もさることながら、「人」、これこそお店に対する感想を最も左右する大切な条件なのではないだろうか。

さて、ここ赤坂製麺所のおばちゃん。まず、歌うような「いらっしゃいま~~ぁせぇ♪」で迎えてくれるのである。初めての人はうどんを食う前に面食らうだろう。面食らいつつも、最初っから楽しい気分になってしまうのだ。楽しい気分にさせられてしまうのだ。「今日、はっじめてのお客さんだよ~~。♪」「麺はつめたいんとあったかいんとあるよ~~♪」竹でもないのに全てのセリフに節がついている。あくまでマイペース。あくまで明るい。お店の中全体が明るい。うどんを食べる前から、何かこう幸せな心持になってくる。

赤坂製麺所のうどん

「はっいどぉぞ~♪」と差し出された丼。湯気の中に艶やかに白く光るうどんが入り、あったか出汁がかけられている。おもむろに眼前にあるハサミを取って、うどんの上に葱をチョキチョキチョキ。なんと楽しい作業だろう。まさに子供の頃の図工の時間のわくわくだ。いつもの教室から離れ、落書きだらけの分厚い図工室の机の前で、隣に座る好きな子をちょっと意識しながら、何を作ろうか考えなつつ、ハサミを動かすあのドキドキだ。

赤坂製麺所

「ゴクリ。」朝一で他に客のいない店内に響いただろうか。葱を切るのもそうそうに、待ちきれなくてツルツルツル。「~~~~~♪」店内に充満していた幸せの光が、体の中にも入ってくる。コシが強すぎるわけでもなく、勿論コシがないわけでもなく、伸びやかで、しなのある麺。筋肉質な男性的な麺というよりも、忍耐強く様々な辛苦を乗り越えた一見華奢なようでいても芯の強い女性的な麺とでも言おうか。景色が絶景、機会が絶好なら、この麺はまさしく絶麺。シンプルなイリコの出汁と絡まって、幸せを体の隅々まで届けてくれる。

「讃岐うどん」は麺で食う、という。麺がおいしいからこそ、茹でたてに生醤油でも美味しいのだと。そう聞いてから、生まれて初めて讃岐でうどんを食べた数年前。あれは「なかむら」だったか、「がもう」だったか。薬味と醤油をかけただけの、その麺の美味しさにのけぞったことがあるが、まさにここ赤坂製麺所のうどんも麺命。コシの強さ等麺のタイプは他の名店と呼ばれるお店とは違うが、麺が素晴らしいことには間違いない。勿論、出汁も美味しいが。

作りたての麺がうまい、というお店もある一方、一日寝かした方がうまいというお店もあるが、この店は後者の様。一日熟成した方が美味しいのだという。あまりに美味しくて、ぺろっと平らげ、すかさずお代わりもう一杯。今度は予め葱を三、四本手に取り、真ん中のところで切って、効率化を図りつつ、小口切りにする準備をしたまま、丼が来るのを手ぐすね引いて待つ。おばちゃんが丼を持ってきてくれた途端に葱を切るのである。チョキチョキチョキチョキ・・・。

赤坂製麺所

表通りに背を向けたような作りに、塗料の剥げた看板。工事現場の足場で組んだような外回り。その飾り気なしの雰囲気に入店前から期待は膨らむ。

赤坂製麺所

陽光の中で出汁を注ぐ、その動きに無駄は無い。レッグウォーマーがキュート。

赤坂製麺所

「うどん踏んだことないしょ~?~ふんでみるぅ~~?♪」

 

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谷川製麺所

上の赤坂製麺所と同じく製麺所だが店先でうどんを食べられるお店。具がたっぷりの「しっぽくうどん」のみという珍しい店だ。これがすこぶる美味い。それもテーブルにおいてある自家製の唐辛子調味料(劇辛!!)をたらすと目の覚めるような美味さだ。製麺所という性質上か、店内もざっかけ、雰囲気もざっかけなのだがそれも相まって、幸福感は倍増する。お天気がよくて、風が心地よくて、花なんか咲いていて、雲ひとつ無い青空だったりしたら、もう言うことなし。大きさを指定したら、大根やナスなどが入った出汁を自分で注いで、食べるシステム(いわゆるセルフ)なのだが、この出汁のすくい方で味が大きく変わってしまう。ようは具をたっぷりすくうかすくわないかだが、具も味わいたい方は後ろに人が並んでいても落ち着いてゆっくり鍋底からすくう事をおススメする。さもないと具がスルスルっとお玉から逃げて、汁のみしかうどんの玉にかからないことになる。それはそれで美味いのだが。この谷川製麺所のうどんは、具沢山なのになぜかつるつる食べれてしまうタイプのうどんだ。

           

谷川製麺所

      

谷川製麺所

      

谷川製麺所

      

 

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長田うどん

釜あげといえばここ「長田」といわれる程の有名店。「釜あげ」というのは、茹でたうどんを茹で汁ごと器に入れただけのもの。麺のうまさに自信が無ければ出来ない提供の仕方だ。しかもこの店、温かい(そのまま)か冷たいかは選べるものの、それ以外の選択がないという、まさに釜あげで勝負をしているお店なのだ。その自信の程、そしてお店が常に繁盛していることで、その味の程がわかるだろう。待っている間に、テーブルの上においてある「長田うどん」と書かれたとっくりから、各自お猪口に出汁を注ぎ入れ、これまた各自で摩り下ろした生姜など薬味をいれて食する。関東の蕎麦つゆを想起させる濃い色の出汁が特徴的。県内のお店の多くがそうだが、この「食べるために自分で何かをする」という作業が実に楽しい。否が応でも期待は高まる。「上げ膳据え膳」もいいが、人間甘やかされすぎは駄目なのだ。「働かざるもの食うべからず」昔の人はよく言ったものである。ま、葱をチョキチョキしたり出汁を注ぐことは「労働」でも何でもないが、食べるために何か作業をしなくてはいけないという、この「参加する」という行為が食べ物の味を「より美味しく」しているのだと思う。

「遊びをせんとや生まれけむ」遊ぶことだけが人生ではないが、遊びのない人生は味気ない。遊びとは、適当にやるということではない。何もしないで無為に時間を過ごすということではない。「楽しむ」ことだ。「心をワクワクさせる」ことだ。「仕事」だって「遊ぶ」ことが出来る。「食事」だって「遊ぶ」ことが出来る。食べるという行為は身体を維持するためにするのが本来的なのであろうが、それをも「楽しむ」ことは当然出来る。この精神が、日々をほんの少しだけでも余計に充実させ、ほんの少し余分に楽しく過ごすために肝要なのじゃないか、なんて思いながら生姜をすりすりしている時間はやっぱり楽しい。

讃岐うどん
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讃岐うどん
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白川うどん

      

「白川うどん」は、うどん好きが高じて、自らもうどんを打つようになり、それが近所で評判を呼んで、「是非店を出さないか」という話になり、ついにはこうしてお店を出してしまった、というおばちゃんと青年の邂逅によって出来上がったという、伝説に近い逸話のあるお店だ。オープン以来、この最強の二人によって日々作り出され、生み出される味は、お客さんを楽しませて飽きさせることが無い。徹底したこだわりと職人技で作られるのが白川のうどんなのだ。

アームレスリング四国一にもなったというその腕によって生み出されるうどんは、予想通り素晴らしいコシを持つ。しかし喉越しはあくまで爽やかで嫌味が無い。噛み応えと喉越しのバランスがちょうどいいのだ。店内の和気藹々とした雰囲気も好感が持てる。「こんなお店が近所にあったら、毎日お昼に食べに来ちゃうだろうなぁ」と思ってしまう店なのだ。

讃岐うどん
讃岐うどん

 

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讃岐うどん讃岐うどん

八十八庵

四国八十八箇所巡り第八十八番札所である大窪寺の前にあるお店。その立地のよさゆえに繁盛しているが、その繁盛の理由は、立地のよさだけではない。もちろんの事、その味だ。そしてお店のおばちゃんたちの愛想のよさだ。

観光地のお土産屋さんは不思議なことにぜんこくどこでも同じような雰囲気を持つ。旅の恥はなんとやら、で、ときにどうしても図々しく横柄になりがちな観光客と、これまたそんな一見さんを毎日毎日四六時中相手にしているうちにいつしか身についてしまったのであろう、独特のその場だけの愛想とおざなりさで接客をする店員。通常、この図は、お客も店員も見ていて妙に肩がこるというか疲れてしまうのだが、時折例外がある。その場所の持っている雰囲気なのだろうか、その地域の人柄なのだろうか、そのお店の雰囲気と店員の人柄なのだろうか、嫌味や横柄さが全く無くて居心地がよいのだ。店にも店員にも押し付けがましいところや無愛想の欠片もないから、お客さんも自然と行儀がよくなるというか、のんびりゆっくりしていて、お互いにいい関係が出来上がっている。そんな場所は居心地がよいし、心に残る。

店の人々の人柄か、長い行脚をようやく終え安心して心穏やかなお遍路さんのお客が多いせいか、いずれにしても、このお店も「いい例外」のお店だ。入店した時間や季節も関係あったのかもしれないが、店内にはのんびりとした空気が満ちていて、お客さんもくつろいでいる。おばちゃんたちも大変人当たりがよく、愛想もいい。

ここ八十八庵(やそばあん)に来たら、是非とも味わって欲しいのが看板メニューでもある「打ち込みうどん」だ。大根、ニンジン、里芋、ごぼう、豆腐、油あげ、豚肉、ねぎ等の具材が自家製の味噌仕立てのスープの中にたっぷりと入れられ、打ち立ての麺とともに煮込まれたこの「打ち込みうどん」。スープを一口飲んだだけで、体中に広がる温かさはお店に充満する温かさに通じる。そこで初めて納得するのだ。「このお店に満ちている幸せの空気」の訳を。ハフハフと熱々を口に放り込むと、それだけで身も心もあたたかぁくなる。あたたかく、ではない。あたたかぁくなるのだ。

讃岐うどん

   

讃岐うどん
讃岐うどん
讃岐うどん
讃岐うどん

讃岐うどんの店にはおでんをおいている店が多い。うどんの出汁と同じ上質な出汁のおでんは、さっぱりとしていて後を引く。

讃岐うどん

 

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さぬきや

     

讃岐うどん初心者には、偏見がある。「讃岐うどんはやっぱり、讃岐(香川)じゃなくっちゃ。」考えてみれば、至極当然の事なのだが、この偏見というか、常識を打ち破ってくれた、目から鱗的なお店がここ。讃岐にあるうどん屋が概しておいしいのは勿論だが、料理は作る人の心意気と技(腕)と手間。きちんと作っているもの(店)は、讃岐だろうと讃岐の外だろうと、どこで食べても美味しいのだ。日本で食べるイタリアンや中華に本場に負けないくらいの美味しい店があるのと同じように。

讃岐うどん
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Japan Web Magazine 編集部

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