厚岸のカキ
公開日: 2014年1月17日 | 最終更新日 2022年10月24日
淡水の厚岸湖と海水である厚岸湾の水が混ざり合う海域で育てられるのが「厚岸の牡蠣」。全国の天気予報をみても気が付くように、北海道の中でも特に釧路周辺は平均気温が低いことで知られ、海水温も夏でも15度前後と低温。外海から牡蠣の好物であるプランクトン類や栄養塩類も運ばれてくる。
一方、淡水の厚岸湖では、植物性のプランクトンの光合成が盛んで、栄養も豊富。厚岸の牡蠣はまさに、この両者のメリットをうまく利用して育てられている牡蠣だ。牡蠣は水温が低いとゆっくりと育つが、時間をかけて豊富な栄養をじっくりとその身に蓄えて、コクがあって旨味の深い大きなカキに育つのである。そもそも「厚岸」とはアイヌの言葉で「牡蠣が沢山いる所」という意味だともいわれる。昔から牡蠣が多い場所=牡蠣が生息するに打ってつけの場所、牡蠣にとって居心地の良い場所=美味しい牡蠣が育つ場所といえそうだ。
全国的には、カキが有名なのは三陸や広島だが、厚岸湾のカキも機会があれば是非食べてみてほしい。大ぶりでぷりぷりっとした身は甘みがあって、口の中でとろりととろけてゆく極上の味わいを堪能できる。
厚岸の牡蠣の旬は?
基本的に、牡蠣の旬は秋から冬とされる。スーパーマーケットなどに数多く陳列されるのも秋から冬にかけてだ。その理由は牡蠣は水温の上がる夏に産卵期を迎え、産卵期の後では身がやせてしまい「うま味」が減ってしまうから。夏から秋にかけての牡蠣はうま味成分が減じている場合が多い=美味しさに欠けるというわけ。必然的に牡蠣のシーズンは、10月~4月頃となり、特に水温の下がる12月から2月頃の冬の時期が美味しい「牡蠣の旬」の時期となる。
ところが、海水温の低い場所で育つ厚岸の牡蠣は、その低い水温を利用し、牡蠣の成熟具合をコントロールしているため、一年中出荷が可能なのだ(国内唯一という)。夏の牡蠣といえば岩ガキが知られるが、厚岸の牡蠣は夏に出荷されるものも少なくなく、夏でも美味しくいただける牡蠣として知られているのである。