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函館

函館・八幡坂から摩周丸とクイーンズポートを望む

北の港町 「函館」の魅力

港町はどこか似ている。人と自然、陸と海、新しさと古さが入り混じる。どことなく夢と現(うつつ)の同居した御伽噺のようなふわりとした異空間。光の息吹と懐かしさ、驚きと郷愁と忘却。新鮮な風が吹きぬけ、哀愁が優しく肩を撫でていく。海を見下ろす坂道があり、細く入り組んでいる町が多いのも特徴だろう。神戸、横浜、長崎。リスボン、ウラジオストック。青空の下、心地よい風に吹かれながら、きらきらと光る海を見下ろす幸せは、港町に居るものの特権。時代の趨勢は船から車や飛行機へと移ろいゆき、かつての賑わいは遠く時の向こうにいってしまっても、港町の持つ意味と、暖かで寛大な、まるで全てを受け入れてくれるような優しい面影は今も消えない。人や物が旅立ち、そして帰る場所。古きと新しきが、細波の様によせては返す場所。そんな港町の一つ、幕末に開港されて以来北海道の、いや日本の歴史の上でも大きな役割を担い続けてきた函館の美しい情景をお届けしよう。

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明治期、北海道庁が設立されるまで県庁所在地でもあった函館。現在も札幌市、旭川市に次ぐ北海道第三位の人口を擁する町だ。幕末に対外的に開かれた横浜、神戸、そして先輩格の長崎と同じく、開国後、ここ函館にも多くの外国人が訪れ、様々な文化と風習、意匠が入り混じった独特の雰囲気を持つ町となった。青函連絡船の発着地として、また北洋漁業の基地として栄えた町も時代の流れと共に往時の賑わいは薄れたが、今も町のそこかしこに旧き良き時代の条光が煌めいている。

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札幌などと比較するとそれほど積雪の多くない冬の函館。とはいえ降る時は降る。前々日からふり続けた雪がようやく止み、午後になってやっと青空が顔を出した。全ての景色が、まるで心の中まで透明になるほどに、美しくなる一瞬。

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