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喫煙具 - 煙管(キセル)と筒と煙草入

 
京都・清水寺のそばにある清水三年坂美術館で、「喫煙具 - 煙管(キセル)と筒と煙草入」が11月16日まで開催中。

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たばこ喫煙の起源は紀元前10世紀の頃、メキシコ南東部、ユカタン半島、グアテマラ、ホンジュラス西端部にかけての地域で繁栄したマヤ文明とされ、時を経てアメリカ先住民の間にも伝播、古くから喫煙の習慣が北南米大陸であったといわれる。たばこは大航海時代にヨーロッパに伝えられ、様々な薬効があると信じられたこともあって、15世紀から16世紀にかけ急速に世界へ広まった。

日本に喫煙の習慣が伝播したのは、16世紀後半以降。鉄砲などと共に南蛮人(ポルトガル人)達により日本に伝えられたと言われている。長崎に伝わるや、瞬く間に京都に伝播し大流行、すぐに各地で煙草が栽培され、国産の煙管も作られるようになった。

初期の頃の煙管は大型のものが多かったというが、やがて持ち運びがしやすいように小型化され、さらに煙管を収めるための煙管筒や刻み煙草を入れる煙草入れなどと共に、懐中に忍ばせたり、着物の帯にぶら下げて持ち歩くようになった。太平の世、人々は装飾品や携行品にさらなるデザインや機能性を求めるようになる。格好よさやおしゃれを演出するため、職人は蒔絵、螺鈿、堆朱(ついしゅ)などの細工を施すなど技巧を凝らし、高価な材料などを用いて、細やかなものや変わった意匠の煙管や煙管筒、それらが合体した煙草入れなども作られるようになっていった。特に、腰に提げる「提げ(さげ)たばこ入れ」は、腰まわりの装飾品として庶民に愛用され、重要な装身具としての機能をはたすようになっていった。また、たばこ入れの発達は、巾着袋等、そのほかの袋物の発達にも大きな影響を与えたのだ。

江戸幕府が崩壊して、江戸時代が終わり廃刀令が出されると、今まで武家社会をお得意先として刀装具などを作っていた刀装金工達が、生活の為に「提げたばこ入れ」をはじめとする「提げ物」の金具を作り始めるようになり、彼らの卓越した技術と感性は、素晴らしい作品を次々と生み出していった。こうして見ごたえのある煙草入れが数多く製造されたのである。

江戸後期から昭和初期にいたるまでの名工達が手掛けた粋な喫煙具をあつめた今展「喫煙具 - 煙管(キセル)と筒と煙草入」で、彼ら名工達の技巧とアイデアとセンス、道具の美しさと歴史を感じてみてはいかがだろう。

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