赤銅色の石州瓦とベンガラ格子の吹屋の町並み
公開日: 2015年4月30日 | 最終更新日 2015年4月30日
岡山県高梁市の山間部、標高550メートルの山の中に突如出現する赤銅色の石州瓦とベンガラ格子の重厚な商家の町並みが続く風景。
国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている「吹屋の町並み」は、江戸時代中期頃より、吹屋銅山を中心に鉱山町として発展した場所だ。銅鉱と硫化鉄鉱石を酸化・還元して製造される「ベンガラ」の一大産地として、最盛期には1200人以上の人々が銅山で働き町は賑わいを見せた。ベンガラは、インドのベンガル地方に由来する言葉で酸化鉄顔料として、主に、陶磁器の色づけ、絵付けや、神社や寺院などの壁の漆喰に用いられた。
吹屋の町並みの大きな特徴は、居並ぶ家々にある一定の統一性が見られることで、これは江戸末期から明治時代にこれらの家屋を建てた豪商たちが、それぞれの建物の豪華さ派手さを競うのではなく、皆で相談して石州から宮大工の棟梁を呼び寄せ、石州瓦を取り寄せ、町全体としての雰囲気、見た目を重視したデザインコンセプトのもとに建築を進めたという、例えば欧州の町並みに見られるような規則性・統一性を持った美しさを目指した思想にある。
木造の家屋が続く町並みとはまた一味違う独特の美しさを持った町並みは、今も、街道沿いに往時を偲ばせる佇まいで続いている。