立石 もつ焼き 宇ち多゛
東京スカイツリーのすぐそばにある押上駅から京成線で3駅、京成立石駅の周辺には、呑み助御用達の「いい感じ」のお店がいくつも点在しているのだが、その中でも一際有名なのが、立石駅のすぐ目の前に広がる仲見世商店街にあるもつ焼きの店「宇ち多゛(うちだ)」だ。
写真を見ればおわかりの通り、外観はいわゆる「ざっかけ」なタイプの店ではあるが、ここは何といっても「もつ焼き」「もつ煮」好きの間では、聖地の一つに数えられることもあるほどの有名店。北千住の「大はし」、森下の「山利喜」、月島の「岸田屋」、門前仲町の「大坂屋」と共に「東京五大煮込み」に数えられていることもあって、遠くからここを訪れる呑み助もおり、店の前にはいつも行列ができている。このお店に行くことを「討ち入り」にかけて「宇ち入り」なんていうファンもいるくらいだ。
こういう店にありがちな、例えば(飲み屋なのに)「酔っぱらいお断り」とか、「禁煙」とか「混んでいる時は長居は控えて」とか「ウメ割りは5杯半まで」など、諸々「ルール」というか「決まり」というか「小言」みたいなものがあり、一見さんは中々入りにくかったりする雰囲気もあるのだが、それさえクリアしてしまえば、「ファンになること間違いなし」というようなお店なのだ。
まず何と言ってもその安さ。もつ焼き一皿200円。煮込みも200円。お新香も焼酎も200円。お酒が300円。ビールに至ってやっと400円という具合。煮込みと、もつ焼きを何本か、それに焼酎2杯で1000円ちょっと、なんて今時、そんじょそこらのお店ではありえないほどの安さなのだ。
もちろん、安いだけではない。味も呑み助、モツ好きの折り紙つき。脂と香ばしさと旨味がじゅんわり、じゅわじゅわ。それをお酒でくいっとあおれば、もう骨の髄まで幸せになること請け合いだ。
宇ち多゛訪問の際の注意点
お店を訪れるにあたっての注意点としては、まず、始めに触れたとおり、行列は覚悟の上で。人気店である上、口コミが口コミを呼んで、遠方からも呑み助がやってくる。公式には14時(土曜日は昼12時)開店ながら、開店前から行列ができていることもあり、その行列は夕方まで続くこともある。
それから、温かいほほ笑みとか優しい言葉を飲食店に常に期待する人は行ってはいけない、ということ。入った途端、「酔っぱらいはお断りだよー!」と追い出されそうになることだってザラにある。(実際に、同行者が一人、飲んでもいないのに追い出されそうになった。しゃべり声が少し大きかっただけで酔っぱらいと思われた??)店の外の壁には、「すでにアルコール類を飲んでいる方はお断り」の張り紙も張ってあるのだ。
さらに、店内は常連さんや「飲み屋」に慣れている人たちでごった返しているので、こういうタイプのお店に行き慣れていない人ははじめは少々居心地が悪いかもしれない。次第に慣れて、そんな雰囲気も楽しめるようになると、それこそが「魅力」になるのだが、好き嫌いは分かれるかもしれない。当然、やや窮屈で混んでいると長居も出来ないので、ゆったり飲みたい時にも向いていない。大事な話を二人でしっとりと、なんて場合は別の店をおすすめする。
宇ち多゛注文の仕方
注文の仕方も少し独特だ。メニューには「もつ焼き」「もつ煮込」と書いてあるが、「もつ焼き、二つください」といっても通じない。基本的には、「シロ、タレ、ヨクヤキ」とか「レバ、タレ、ワカヤキ」といった具合に、食べたい「部位」と「味」「焼き方」の順でオーダーする。部位は、レバ(肝臓)、シロ(小腸)、カシラ(頭・コメカミ)、ハツ(心臓)、ガツ(胃)、ナンコツ、アブラ(背アブラ)、ツル(珍々)があり、味は、塩、タレ、素焼き(焼いて醤油タレ)、ミソ、ナマ(ボイルしたもの)がある。焼き方は、普通焼き、ワカ焼き(レア)、ヨクヤキ(ウェルダン)。さらに素焼きにした場合には酢をかけるかどうかも選ぶ。焼き方は、普通焼きでいい場合は省略できるので、初めて行く場合は、「レバ、タレ」とか「シロ、シオ」といった頼み方が無難かもしれない。わからない場合は素直にお店の人に聞こう。といっても店員さんも忙しそうな場合が殆どで、口調も荒っぽいこともあるが、いちいち気にしていると美味しいお酒もまずくなるので、「そういうもの」として楽しめるとグー、だ。