天神平 紅葉
東京から車で約1時間40分、群馬県と新潟県の県境に聳える谷川岳は、ロッククライマーの聖地として古くから知られている山。特に、一ノ倉沢やシンセン沢をはじめとする岩場は、剱岳、穂高岳と並ぶ日本三大岩場の一つに数えられる険しさで、日本でも屈指のロッククライミングの地となっている。当然、それなりの経験と装備がなければ、近づくことさえためらわれるほどの岩稜、岩壁が立ちはだかり、それらのコースから登頂を果たそうとすると並大抵のことではない。しかし、コースさえ選べば、登山の初心者でも比較的容易に登ることができるという、二面性を持った山でもあるのだ。
今日の一枚は、そんな谷川岳の天神平で出会った紅葉の風景。
太平洋側と日本海側とを分かつ中央分水嶺に位置する谷川岳は、天候の変化が激しく、急峻な岩場が連なる地形もあって、標高2000メートルに満たない山(山頂(オキの耳)の標高1,977メートル)でありながら、2000メートル級の山々の雰囲気や景観を楽しむことができる山。森林限界も標高1,500メートル付近と、北海道の日高山脈や東北の山々に匹敵する高度なので、比較的低い標高で高山植物が楽しめるのも魅力だ。そして、もう一つこの山の魅力は、その気象条件もあって、色鮮やかな紅葉が見られる可能性が高いこと。紅葉が美しくなるための条件として、昼夜の温度差があり、特に夜間の冷え込みが急激に厳しくなること、大気の適度な乾燥による地中水分の減少、日中の強い直射日光、などが必要といわれており、谷川岳ではこれらの条件が揃いやすいので、色鮮やかな紅葉が見られる可能性も高くなる、というわけ。
そんな谷川岳で紅葉を楽しむには、谷川岳ロープウェイとリフトの利用が一般的だ。谷川岳ロープウェイは、麓(標高746メートル)の土合口駅から山腹(標高1319メートル)の天神平駅までを片道約15分で結んでいる。車の場合は土合口駅併設のベースプラザの駐車場に車を止め、6階のきっぷ売場窓口で切符を購入後7階のロープウェイ乗り場へ。電車の場合は、上越線の「水上駅」または上越新幹線の「上毛高原駅」から谷川岳ロープウェイ行きのバスが出ている。
ロープウェイで天神平駅に着いたら、天神峠ペアリフトに乗り継ぎ、約7分で天神峠展望台(標高1502メートル)に到着する。そこからは、雄大な景色と共に、赤、黄、橙と様々に色づいた木々の紅葉を楽しむことができる。
紅葉の進み具合は、その年の気温や夏の暑さなどにも寄って様々。谷川岳ロープウェイのウェブサイトに山頂から天神平駅付近、ベースプラザ付近と日々の紅葉情報が掲載されている。
関連リンク:谷川岳の紅葉
谷川岳登山
ロープウェイなどを利用すれば、初心者でも比較的容易にアクセスできるとはいえ、山頂天神平駅から先、谷川岳山頂までは足場が悪い場所も多いので、足元はしっかりとした登山靴を履いた上、十分な装備で。天候が変わりやすく、地形も複雑で、遭難者も数多く出ている山であることには変わりないので、登山の際は十分な準備の上、経験者と行くのがお勧めだ。天神峠から谷川岳山頂まで片道2時間半~程。