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大光院の猫

大光院の猫

群馬県南東部にある太田市は、いわゆる企業城下町と呼ばれる場所の一つ。富士重工業の群馬製作所(スバル自動車部門)があり、本工場と矢島工場で、SUBARU BRZ、インプレッサ、レヴォーグ、レガシィ、エクシーガ、インプレッサ、フォレスターなどを製造している。1917年(大正6年)に、中島知久平によってこの町に設立された民営の飛行機研究所を前身とする富士重工業は、今も町にとって大きくて身近な存在。例えば、本工場の住所も太田市スバル町1-1といった具合だ。スバルの歴代の車やスバルの技術や環境への取り組みなどが展示、紹介されている「スバルビジターセンター」(矢島工場)もあり、スバリストなら、まさに目がキラキラしそうな町なのだ。

そんな太田市金山町の金山城のある山の麓、富士重工業太田北工場のすぐそばにある大光院で、一匹のネコに出会った。

大光院は、太田市のシンボル的な存在の寺院で、徳川家の始祖といわれる源義家の孫・新田義重を祀っている。1613年(慶長18年)に、家康が義重を祀るために大善寺の僧・呑龍を招聘して創建。呑龍は、捨て子や貧しい子を弟子として受け入れ育てたため、子育て呑龍と呼ばれて慕われたといい、その為大光院も「呑龍様」「子育て呑龍」という通称を持つ。

初詣の時期には仲見世の方まで行列ができるという大光院も、この日はとても静かで参拝客も数えるほど。

のんびりと参道の入り口で写真を撮っていると、所々に焦茶色や薄茶色の毛が混じった白いネコが人懐こく、とことこと近づいてきて、足元に座り込んだ。ズボンに絡みついてくるわけでもなく、すぐどこかへ行ってしまうでもなく、ただ静かに座っている。

何枚かシャッターを切り、移動すると一緒についてきた。こちらが撮っている間はじっとおとなしくしていて、移動するとついてくる。

そうして本堂の近くまで来て撮影していると、その子はかたわらの石灯籠の足元にちょこんと座りこんだ。そのまま、そこが定位置でもあるかのようにリラックスして動かない。遊ぶのに(遊んでくれるのに)飽きたのか。それとも動き疲れたのか。

「またね」と一言声をかけて、本堂に向かい、参拝を終えて、またそばを通り過ぎると、相も変わらず同じ姿勢で座っていた。

もう一度、「またね」と声をかけると、今度は挨拶を返すかのように「にゃあ」と一回鳴き、おもむろに起き上がると、そのままとことことどこかへ去っていった。

撮影場所

Japan Web Magazine 編集部

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