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上州カツ丼

上州カツ丼

上州のB級グルメ

前情報で知っていても、目の前に丼が置かれると些か目を見張る。メニューでカツ丼Aと称されるそれは丼に入ったご飯の上に小ぶりのカツが三つちょこんと乗っているだけ。ただそれだけだ。卵もない。キャベツもない。ただカツが鎮座しているだけ。ここのカツ丼はこうであるという知識、情報を持たないでふらりやって来たどこぞの頑固な江戸っ子親父ならさしずめ「なんだ、このカツ丼は!」とちゃぶ台をひっくり返すことだろう。それほどまでに拍子抜けの見た目。ある意味究極にシンプルなのだが。しかし、どう見てもこのカツ丼、あまりに味気なくてそれほどおいしそうには見えないが・・・。とりあえず何はともあれ、カツを口に運んでみよう。

「・・・」

「!!!」

豈図らんや、これほどまでに味わい深いとは!即座にじゅわーと口の中に広がる少々甘めのタレと程よく余計な油の抜けた衣、そして肉の旨みが渾然一体となって舌の上で踊りだす。怠惰に伸びていた情動がむくむくと起き上がる。その見た目の素朴さに反してなんと豊かな味わいだろうか。タレにくぐらせることによって、アツアツの油とタレとの交換作用がおきるのだろう。タレがカツにしっとり滲みこみ、かつギトギト油っぽさがない。すっと食べられてしまう。

箸でカツをつまんで、口に入れる。ご飯を頬張る。むしゃむしゃと咀嚼する。ストレートな旨みに悶える。ごくり、嚥下する。幸せが広がる。後を引く。また頬張る。人目もはばからず、かっ込んでいく。がつがつパクパク。このざっかけさがいい。気取らない感じがいい。最高だ。もぐもぐ頬張りながら、横目で観察していると、カウンターの中のスタッフは皆忙しそうにてきぱきと動いている。奥でカツを揚げ、手前ではカツを切っている。右奥でカレーを盛っているので、切っているカツはカツカレー用だろうか。ふと目をずらすと、抱えるほどの大きさの容器の中に並々とタレが満たされている。その中にアツアツ揚げたてのカツをさっとくぐらせる。瞬時、カツはつやつやとタレをまとって出てくる。それを丼に盛ったご飯の上に並べる。おしんこを添えて、人を愉快な気持ちにさせる「幸せの一品」一丁上がりだ。一度その旨さを知ってしまった今となっては、そのシンプルな装い、佇まいが食欲をそそるものに見えるから不思議だ。それはカウンター向こうのお客の前に運ばれていく・・・。

上州カツ丼の特徴

上州カツ丼とはその名の通り、上州地方(群馬)で食べられているカツ丼。上州カツ丼は前述の通り(写真でもおわかりの通りに)、一般的なカツ丼のように卵でとじていないのが特徴だ。さらに信州のソースカツ丼のようにキャベツも乗っていない。味付けにはソースを使ったものとタレにさっとくぐらせるものとがあり、ソースのタイプは「群馬のソースかつ丼」(桐生ソースかつ丼や上州ソースかつ丼などとも)と呼ばれたりもするが、高崎駅周辺で食べられているのはタレにくぐらせたものも多い。それをご飯に乗せたのが当地のカツ丼なのだ。

俗に言われる上州名物「カカア天下」に「空っ風」「雷」。そんな上州地方の人々は江戸っ子にも似て、キップがよくせっかちだという。そんなせっかちな上州人気質から生まれたのが、この卵でとじないカツ丼だと言われる。いちいち揚げたものをさらに卵でとじるなんて手間のかかることなんてしてらんネェさぁと。しかし、そんな上州人気質こそがこの「んまい」カツ丼を作り上げた。「せっかち」がこの一風変わった上州B級グルメの逸品を作り上げたのだ。

上州カツ丼

美味しくてしっかり腹にたまってなおかつ450円。驚きのお値段。

上州カツ丼

勿論、卵でとじたいわゆる一般的なカツ丼を置いてる店も多い。とはいえ、卵でとじたものはあくまでオプション扱い。しかし、卵代と鍋に入れて火にかけて卵をとじる手間を考えたら、プラス50円は安すぎる!(高崎・栄寿亭)

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栄寿亭(えいじゅてい)

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