夏の食べ物青森県青森県の情報青森県の特産品・名産品青森県の観光情報・観光スポット青森県の記事青森県の食べ物

陸奥湾のホタテ

05

陸奥湾 脇野沢に極上ホタテを食べに行く

陸奥湾に面する町「脇野沢」は、他の陸奥湾沿岸部にある町同様、ホタテの生産が盛ん。下北半島と津軽半島に挟まれている陸奥湾には、自然豊かな八甲田山系の山々から流れ出る、ミネラルをたっぷり含んだ川の水が注ぎこむ。この水がホタテの餌となる良質なプランクトンを育てるのだ。さらに、ホタテの生育には欠かせない冷涼な気候と穏やかな海。これらの条件が、脇野沢のホタテを素晴らしいものにしている。

そんな脇野沢の、港のすぐそばにあるマリンハウス脇野沢を訪れた。マリンハウス脇野沢は、地元名産の「焼干しいわし」などの水産物加工品や、クロソイ・カレイなどの活魚の販売を行っている場所。中には、水族館にあるような円柱形の水槽もあり、近海の海に生息する魚介類を観賞できるようになっている。その店内の一画で「活きホタテ」が沢山売られていた。

脇野沢のホタテ

海水で満たされた巨大な生簀の中に、何十枚、何百枚ものホタテが折り重なるようにして入っている。ホタテ好きには夢のような光景だ。その場で食べることもできるというので、二つほどお願いした。

0103

青森県の人は、ホタテを貝ガラから、さささっと外すことができる人が多いと聞いていたが、ホタテを扱うお店の人はさすがにプロ。手際のよさ、スピード、身を殻に残さずに取る技術。どれをとっても一朝一夕には真似の出来そうにない早業だ。目の前であっという間に殻から外し、貝柱をちょんと縦に切ってくれた。

先端が平たいイチョウ型をした貝剥き用の道具「貝べら」。

さすがによくわかっている。巷ではよく、ホタテの貝柱を横に切って提供している店があるが、貝柱の食感を楽しむなら、(勿論、丸のままがいいが、もし切るならば)、縦に切らなくてはいけないのだ。その方が貝柱の繊維と弾力、食感がいかされ、より美味しく頂くことができる。

06

殻から外してくれたホタテを一口食べてみる。

瞬間、口の中一杯になる海の香り。海の味。その美味しいことといったら!

ぷりぷりの食感ははじけるようだ。甘くてとろける極上の味わいが、さざ波のように広がっていく。頭の中で鳴り響くファンファーレ。ああ。生きててよかった!思わず、そんな言葉が口をついて出てしまうほどの幸せ。醤油もわさびも何もつけていないのに、臭みもえぐみも一切ない。いや、むしろ、醤油もわさびもつけていないからこそ、感じられる自然の味。まさに海の恵み、海の命を頂いている。そんな気にさせられる。

ホタテのオスメス ホタテは性転換する?

ところで、ホタテはオスとメスで違いがあることをご存じだろうか。お店で貝柱の刺身だけを頂いていると忘れがちだが、ホタテには、貝柱、ひも、ウロ(中腸腺)の部分のほかにもう一つ、半月状のプリッとしたものがある。これこそがホタテの生殖器で、白いのがオス(精巣)、オレンジ色をしているのがメス(卵巣)なのである。面白いのが、ホタテは生まれてからしばらくは全部がオスということ。その中の何割かが性転換をして雌になる。天然の物だと2年、養殖ホタテの場合、成長の早いものだと1年を過ぎる頃に、オスからメスに性別をかえる個体がいるのだ。さらに興味深いのが、オスともメスともつかない中間色の個体もいるという事実。殻つきのホタテガイを買ってきて、開いてみた時に、生殖器が白色でもオレンジ色でもない色をしていたら、それは性転換の途中のホタテかも??

02
オレンジ色をしているメスのホタテ(右上)。

ホタテは全部食べられる?

刺し身以外でも干物や缶詰などにもなる貝柱は当然としても、ホタテのほかの部位はどの部分が食べられるのか、思い悩んだことはないだろうか。結論から言ってしまうと、黒緑色をしたウロ以外は食べられる。ウロも食べられないことはないが、あまりおいしくない上に、ホタテはウロの部分に貝毒をためやすく、ほかにもカドミウムなどの重金属等をため込むので、なるべくなら食べない方がいいだろう。海水温が上がる3月末頃~10月くらいまでは、特に貝毒が発生しやすくなる。真水で洗った上、ウロをきちんと取り除いて食べるのがおすすめだ。

ホタテのヒモの使い方

捌いたヒモは、一つまみの塩をふって揉み、汚れや余計なぬめりを落としてから水洗いして、適当な大きさにカット。酢の物や和え物に使えるほか、濃いめの味付けで煮ると酒の肴になる。

ホタテの栄養

その美味しさのみが注目されて、あまり知られていないが、ホタテは実はとっても栄養豊富な貝。栄養ドリンクのCMでも耳なじみのタウリンを豊富に含むほか、タンパク質、カルシウム、ビタミン、鉄分、亜鉛、うま味成分でもあるアミノ酸、グルタミン酸、コハク酸などを含有している。美味しいのみならず、ホタテを食べると元気にもなってしまう、素晴らしい貝なのだ。

ホタテの甘みの秘密

ホタテを食べた時に感じる甘みは、グリコーゲンと呼ばれる成分。陸奥湾で水揚げされるホタテは特にこのグリコーゲンの含有量で、他地域のものを圧倒しているという。そのほか、旨味成分のグルタミン酸なども甘みのもと。

ホタテの旬

一年を通して出荷されているホタテだが、美味しいホタテの旬はいつだろう?それは、実は、ホタテをどう食べるかによって変わってくる。ホタテの産卵期は、2月~3月にかけて。産卵期を迎えたホタテは、精巣や卵巣が成熟してどんどん大きく立派になる。この時期のホタテは食べごたえがあり、ボイルしたり、煮たり焼いたりして食べるのに最適。一方、栄養をたくさん取りこんで、タンパク質が増え身がしっかりとしてきて、より旨みがこくなるのは5月~7月頃。この時期のホタテは、やっぱり刺身が最高だ。

09
ホタテの刺身

ホタテの美味しい食べ方

ホタテの甘み、旨味を存分に堪能するなら、やはり刺身がいいが、基本的にホタテは煮ても焼いても茹でても揚げても美味しい、万能選手。小さいものは味噌汁や吸い物にしたりもする。

おすすめは、青森の郷土料理・貝焼き味噌だ。ホタテの貝殻を使ってホタテの貝柱やヒモをだしで煮込み、そこに味噌と溶き卵を入れる。お店や家庭によっては豆腐を入れたり、ネギを入れたりもするので、お好みで。こってりとした味がホタテの旨味と絡み合う。

10
貝焼き味噌
12
貝焼き味噌
08
ホタテの稚貝の味噌汁
11
ホタテのフライ
13
ホタテのお吸い物
14
ホタテの干貝柱

Japan web magazine’s recommend

関連商品



Japan Web Magazine 編集部

日本のおいしい食べ物、素敵な場所、いいモノ、いいコトなどをご紹介します。

    Japan Web Magazine 編集部 has 1783 posts and counting. See all posts by Japan Web Magazine 編集部

    アバター画像