冬の北海道の道 冬の北海道の風景 100選 ~日本の道~冬の北海道編
公開日: 2014年12月14日 | 最終更新日 2019年12月17日
道民の方は勿論、季節を問わず北海道に幾度も訪れている方はご存じだとは思うが、北海道の道路は夏と冬でその趣を一変させる。
夏の雄大にして渺茫たる北の大地を駆け抜けていく解放感と爽快感。特に雲一つない青空の下、心地よい風を感じながら、前にも後ろにもほとんど車のいない道を快適に走っている時の素晴らしさは、本州では中々味わえないものだ。映画やテレビ、雑誌、今ならインターネットでそんな映像や写真を見かけて、心惹かれる人も多いだろう。そして、実際に夏の北海道の道路を走って感動した人も少なくないに違いない。
一方、冬の北海道の道といえば、夏の爽やかさが幻であったかのような過酷なものへと姿を変える。都市部や幹線道路はまだましとはいえ、新参者を拒否するかのようなロードコンディションと天気と気温。北海道といってもあまりに広いので、地域差も当然あるのだが、雪と氷に覆われた道路は、荒涼とした寒々しい大地の中を延々と続いていく一本の白い筋と化すのだ。その寂寥感あふれる真っ白な世界は、時に、たった今この世に自分だけしか存在していないのではないかと不安になるほどに生命の気配を感じない。目に入るのは雪と氷と立ち枯れた木。耳に届くはびょうびょうと吹き抜ける風。時折、やってくる地吹雪は、一メートル先の視界さえ奪っていく。暖房の効いた車の中にいても、全身の体温をすべて奪われていくような、車ごとどこか遠い所へ吹き飛ばされていくような、そんな恐怖にも似た危機的感覚に陥ることもたびたびだ。
しかし、一切をシャットアウトするかのようなそんな世界も、ふとした瞬間に圧倒的な美しさを見せるのだ。生命感覚の希薄さと絶命に向かっていくような漠然とした意識が、真っ白な世界の中にせめてもの美しさを見出そうとするのか。それとも、夏よりも絶対零度にいくばくか近いその温度が、世界を少しだけ純粋に見せるのか。
北海道の「冬の道」。北は稚内から南は襟裳まで、東は知床から、西は函館まで、様々な顔を見せる過酷で美しい「みち」をお届けしよう。
JWMセレクション~日本の道~「冬の北海道編」 冬の北海道の風景 100選
北海道の冬の道の風景
積丹町
千歳市 支笏湖畔
千歳市 支笏湖畔