日本の酒

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~多彩なる日本料理・日本各地の食べ物・飲み物~

酒の無い 国に行きたい 二日酔い 三日目には又 帰りたくなる

これほど酒飲みの心理を表している歌も少ないのではないだろうか。しかし、これは断じて二日酔いの「後悔」を歌ったものではない。愛すべき酒好きのしょうもなくて滑稽で、それでいて一途なお酒に対する深い深い愛情を歌った歌だ。

微生物学や醸造学の発達した現在、日本酒の品質は以前に比べ格段にあがったとされる。温度管理や衛生管理も行き届き、出来上がったお酒も迅速にかつ広く流通する。明治以前と比較してもこの上なく日本酒の醸造と流通に関して進歩しているのだ。実際、どこのものをいかなる地で飲んでも、ある一定以上の味に遭遇するのが殆どなのではないだろうか?

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ところが、いつの頃からか「日本酒離れ」がはじまり、ことに昨今はその風潮著しいという。戦後の「バクダン」「三増酒」以後、「日本酒は悪酔いする」といった(間違った)印象がついた為か、為替の変動や輸送コストの減少で洋酒が手軽に手に入るようになった為か、食生活が洋風化した為か、健康ブームを反映して焼酎ブームが起こった為か、いずれにせよ「日本酒離れ」が進み、殊に若者の間で特にその傾向が見られるそうである。2003年にはついに五十年ぶりに日本酒の出荷量が焼酎に抜かれたという。「おいしくない」「ちびちびと飲むのがお洒落ではない」「翌日に残る」「太る」などが日本酒敬遠の理由としてあがるそうだが、そんな人々に、「騙されたと思って今一度純粋な旨い日本酒を試してもらいたい」、と思うのは日本酒好きの贔屓目だろうか。

確かに、米以外の様々なものを添加した安かろう不味かろうの日本酒も出回っている。漬物に、依然として保存料やら添加物やら着色料やらが添加されているように、酸味料やらアミノ酸やらが添加されている日本酒もある。そしてそんな日本酒を飲んで「日本酒は悪酔いする」「日本酒は美味しくない」そんな印象を持つ人も少なくないのであろう。これは、戦後数十年を経た今もなお、本来の(戦前の)日本酒には加えられていなかったものを添加して日本酒を造り続けているメーカーがその責を負わねばならぬ部分も多々あるであろう。安くて不味い酒を作ることによって人々の日本酒離れが進む、それは自分達で自分達の首を絞めていることに他ならない。そして、この事によって、まじめにきちんと日本酒を作り続けてきた小さな蔵が次々に潰れていっている、というのは非常に口惜しく、残念でならないのだ。本来の、きちんと作った日本酒はうまい筈なのである。そして(量を過ごさなければ)悪酔いなどもしない筈なのだ。

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神社に奉納された日本酒

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新酒が出来たことを知らせる酒林・(杉玉)

日本酒のすすめ

焼酎も素晴らしい。ビールがないと始まらない。ワインの薫り高く、スコッチの飲み心地は至高である。しかし日本酒もそれらと同様、いや、時にそれ以上に素晴らしいのだ。特に地のものとの相性において。その地に赴いてその地のものを食する時にその地の酒を飲む。その地のものをその地で消費する「地産地消」という観点から見ても、それをもっとも自然な形で体現できるのが日本酒なのではないかと思うがいかがだろうか。その地のものはその地で食するのが一番旨い。そしてその地のものをその地の日本酒と食するのが個人的には「素敵」なのだ。日本酒は、素材や料理の味を殺さず邪魔せず、むしろ引き立てる。酒があることによって、例えば魚の余分な脂が漱がれたり、塩分がまろやかになったりと、「そのものの味」がすっきりと際立つ。料理そのものにも日本酒を使う。肴があって酒があり、酒があって肴がある。そのどちらがなくても始まらないと思えるほどにその関係性は深くて強いのだ。

日本酒の原料のおよそ80%が水という。その地で取れた肴をアテに、その地で汲み上げられた水(で作られた酒)を飲む、気の置けない仲間と戯言を言いながら、喉の奥に抜けていく日本酒の芳香を楽しみ、悦に入る・・・こんな素晴らしい瞬間は他に無い。まさに至福の時である。ルバイヤートではないが、まさに「酒がなくてなんの人生ぞ」である。

「日本酒」・・「平行複発酵」という世界でも珍しい高度な発酵メカニズムと複雑で手間のかかる醸造過程を経て、出来上がる世界に誇るべき素晴らしい酒。美味しい水と吟味された米、麹、酵母、杜氏や蔵人の繊細かつ優れた技と良質な機器、それらが高次元で融合されてはじめて、そしてようやく出来上がる麗しき液体。見た目の美しさ、香りのまろやかさ、そして味の豊かさ。飲んで益々頭は冴え渡り、その透明が体に満ちてエネルギーを与えてくれる。場を和ませ、疲れた精神を休めてくれる素晴らしき存在・・・。高度な環境管理の中での酵母使用で昔に比べるとはるかに高い科学的再現性で、安定した高品質の日本酒が沢山生産されているのだ。まさに、現代はそんな佳醸を手軽に楽しめる愉快な時代なのである。この美味しいお酒が好きなだけ飲める幸運な時代に生まれたことに感謝して

サア、町に出よう
そして酒を飲もう

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Japan Web Magazine 編集部

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