さめのたれ
公開日: 2012年11月4日 | 最終更新日 2022年1月21日
伊勢の郷土食
伊勢地方の郷土食であり、伊勢神宮のお供え物(神饌)としても用いられるのが「さめのたれ」だ。「タレ」と言ってもいわゆる焼肉などの「タレ」とは関係なく、わかりやすく言えば「サメの干物」のことで、サメの身を天日に干したその姿が垂れていることから「サメの垂れ」→「サメのタレ」と呼ばれるようになったといわれるもの。
かまぼこなどの魚介加工品・魚肉練り製品の原料としては使われるものの、サメをそのまま食べるのは全国的に見ても一部を除きあまり多くないが、伊勢地方ではご飯のおかずや酒のつまみとして、ごく普通に食べられている身近なものだ。
サメは主に紀州近海で獲れるアオザメ(イラギ)、ヨシキリザメ、オナガザメ、シュモクザメ、ドチザメなどが使われ、捌いて切り分けた身を塩などで味付けをし、乾燥、天日干しして作られる。元々は塩だけ(※1)で作っていたが、大正時代頃から味醂を使用したもの(※2)も作られている。
※1. しおタレ(塩たれ)
※2. あじタレ(あじたれ・味醂たれ)
さめのたれの頂き方・購入できる場所・食べられる場所
さめのたれは、適当な大きさに切り、炭火などで炙っていただく。芳ばしい香りがしてこんがり焼け目がついたら食べ頃だ。サメでイメージするような臭みはなく、例えるならばタラの干物のような、さっぱりと淡白な味。それでいて、じんわりと口の中に旨みが広がっていく。一も二もなく日本酒とベストマッチ。少し辛口の日本酒がよく合う。滲みだす旨みと香りが酒で倍化するのだ。塩味がやや強いので、ご飯にもとてもよく合う。
さめのたれは、神宮内宮脇のおはらい町の土産物店や、SA、道の駅などで売っているほか、伊勢や松阪の飲み屋さんにもつまみのメニューとして置いてある。