日本で一番美しい夜祭 おわら風の盆
公開日: 2015年8月31日 | 最終更新日 2022年10月14日
毎年9月1日~3日にかけて、富山県富山市八尾で行われる「おわら風の盆」は、江戸元禄の頃、八尾の町衆が、加賀藩から下されたという「町建御墨付」を、自分たちの元に取り戻したお祝いに、三日三晩、歌い踊り、町を練り歩いたのが始まりとされる祭り。
それがいつしか変化して、風(台風)を鎮める為の風鎮祭として行われるようになったともいわれ、賑やかさや派手さはないものの、格調高い情緒的な踊りと唄で、「日本で一番美しい」とも評される祭りだ。
古き良き時代の面影を残した家並みが続く中、鮮やかな衣装に身を包み笠で顔を隠した踊り手たちが、おわら節にあわせて、「とんっ」と、風のように舞う。
淑やかな中にも艶を含んだ女踊り、勇壮で切れのある男踊り。衣擦れの音と踊り手のすっという吐息が、耳を撫ぜていく。
八尾は坂の多い町。道端に幾多の灯りがともされ、三味線や胡弓、太鼓の音が鳴り響く。
静かで品のある「美」が、そこかしこで明滅する。夢のような時が流れていく。
哀調を帯びた胡弓の調べ。夜空に上りゆく謡。三味線の音は風に溶けゆく。
静寂の音。
沈黙の声。
悠と無が、静かに入り乱れる。
緩の中に動があり、現(うつつ)の中に幻がある。
関連リンク:おわら風の盆