冬の十和田湖

冬の十和田湖

十和田湖畔の白いかたまり

寒風吹きすさぶ冬の十和田湖畔。春から秋にかけての行楽シーズンには多くの観光客が訪れるこの湖も雪降り積もる冬の朝には人っ子一人いない。気温は零度を下回っているだろう。素手ではとてもいられない。身体の芯まで冷え切ってしまうような寒さだ。湖面は風にあおられて青黒く波立っている。まるで海の様な波立ち。割れて白くなった波頭が、岸辺によせては弾け飛ぶ。頬がこわばって感覚がない。ごおっという音がして背後の木々がざわざわと揺れた。

冬の十和田湖
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時には膝近くまで雪に埋もれながら、用心深く足元を気にしつつ湖畔をざしゅっざしゅっっと歩いていたその時、ふと前方に何かの気配を感じて歩みを止めた。水が打ち寄せる水際に、何やら白い塊がいくつか点在している。白いふかふかの枕か何かに黒い棒らしきものが二本ささって宙に浮かんでいるようなこんもりとした白い物体。なんだろう。おそらくほとんど氷の様な刺す様に冷たいであろう湖の水が打ち寄せてもそれは全く動く気配もない。

ゆっくりと一歩ずつ近づいていくと、その白いかたまりの一つがゆっくりと動いた。にょきっと伸びる首。黄色いくちばし。そう、その白い塊は波打ち際で休んでいる白鳥の群れだった。早起きしなくてはいけない予定も特になかったので、寝ていたのだろうか。その見張りらしき体格の立派な白鳥は、胡散臭そうにこちらを見る。まさか、この寒い朝に闖入者があるとは思っていなかったのだろう。ごめんごめんと、朝の静かな眠りを妨げてしまった事を謝りながら、驚かせないように、静かに静かに脇を通り過ぎた。なるべく離れた場所をゆっくりと歩く。野生のぴりっとした緊張感が空気の中に漲っている。都会の生活の中では感じることのないタイプの感覚だ。身体の柔らかい部分、例えば肌や髪の毛といったものを含めた全てがぱりっと固まってしまうような感覚。勿論、この場合はこちらが発している緊張感ではなく、むこうが発している緊張感。それが空気を伝わり、肌を通して、感じるのだ。感じられるのだ。周囲の木々なども含めたこの湖全体が「自然」そのものだから、その中に佇む己も自ずから「自然」へと戻るのかもしれない。感覚がすっと透き通る。

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日本で12番目に大きな十和田湖は、青森県と秋田県の県境にある。上空から撮った上の写真でいうと、写真の左上から右下にかけての対角線がおよその県境の目安。長らく両県の十和田湖における県境は明確に決められていなかったが、2008年にもたれた話し合いによって、青森県6、秋田県4の割合で湖面の境界線が決められた。

十和田湖は北緯でいうとおよそ40度の場所にある。行楽シーズン、特に秋の晴天の日にはコバルトブルーの湖面と周囲の色鮮やかに紅葉した木々のコントラストが実に美しい神秘的な湖だ。

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