茹で落花生

茹で落花生

ほくほくの甘み~茹で落花生~

茶色の殻をぱかっと割ると、双子の様に二つ並んで殻の中に納まっている薄い赤茶色した可愛らしい二つの豆たち。時折居る一匹狼も、同じ色して大人しく一人殻の中に納まっている。それをおもむろに取り出して、薄皮の付いたまま口の中にほおりこむ。大方の予想に反して、その豆はほっこり柔らかい。茹で栗の様なユリ根の様な、ほくほくとした食感。ふくよかな甘い香りが口の中一杯に広がる・・・。

落花生、またはピーナッツ。お酒のつまみに、おやつに、おかずに、と他のナッツ類、豆類と比べても、身の回りでも比較的目にすることの多い食材。お好きな方も多いだろう。バターと塩で味付けされたのや、柿の種と混じっているのを掌に数個ほど乗せて、勢い良く口へと投げ込む。そして缶ビールをあおる。旅の移動の途中で、または家で、「酒飲み」なら一度はしたことがあるであろう食べ方。おやつにつまんだり、他の食材と韲えたり、ペースト状になったものをパンに塗ったり。味噌や豆腐に加工されたものもある。手軽で栄養価も高く、そして美味しい。

そんな落花生だが、多くの人は落花生、ピーナッツといえば、(ペーストなどに加工されたものは除き)「硬い食べ物」として認識しているのではないだろうか。音としては、「かりかり」「こりこり」「ぽりぽり」。食感としても、口に入れるとまず歯にがちっと当たってそれをワイルドに噛み砕いていく硬派なイメージ。韲える時も、すり鉢でごりごりと粉砕しながらあたっていく。触った感じもいかにも硬く、そして乾燥している。湿気ていたら、むしろ古くなった、悪くなったと認識するのが一般的ではないだろうか。

ところが、目から鱗の様な、柔らかくてほくほくしている落花生があるのである。湿気ているどころか寧ろみずみずしく、ほくっとしていて、場合によっては指でぷにゅっと潰れるほどに柔らかい。「硬い食べ物」の概念を根底から覆してしまうような柔らかな落花生、それが、日本一の落花生の産地・千葉を始め、静岡や茨城、鹿児島などで食べられている「茹で落花生」だ。煎った硬い落花生が当たり前の人たちにとってはありそうでなかった、ある意味驚きの食べ方だが、地元では家庭では勿論、居酒屋のお通しとしても出てくるほどにポピュラーな食べ方なのだ。

落花生のあれこれ

落花生の由来と生育

南米大陸のアンデス原産の落花生が、東アジアを経由して日本に入ってきたのが1706年。その後、沖縄では栽培されていたが、千葉を始めとした日本の主要産地で本格的に生産が始まったのは明治に入ってからだ。

落花生の名の由来は、その実の生り方から。落花生は、花が咲いた後、花の元にある「子房柄(しぼうへい)」と呼ばれる部分が
地面に向かって伸び、土にささって、土中3~5センチのところで子房柄の先が水平になり、さやが出来てその中で豆が育つ。花が落ちて、実が生ることから、「落花生」というわけだ。ちなみにさやの外側の網目模様は維管束と呼ばれる柱状の組織で、水や養分が運ばれる管だ。

落花生は、地方や人によって、南京豆、唐人豆(とうじんまめ)、異人豆(いじんまめ)、底豆などとも呼ばれる。また地面に出来る豆ということで、茨城や愛知などでは「地豆(じまめ)」、沖縄でも「ジーマーミ(ジーマミー・ヂーマミー)」と呼ぶ。英語のピーナッツ「Peanuts」はPea=豆とnuts=木の実の合成語

5月頃に植えられた落花生は夏に花をつけ、8月後半から11月にかけて収穫、出荷される。地中に潜って実をつけるため、栽培に適するのは柔らかくて水はけの良い火山灰地。日本一の産地千葉や茨城は、富士山や箱根山の火山灰が降り積もった関東ローム層。その他の生産地も主に火山灰地だ。

落花生の産地

日本の主な産地は、千葉、茨城、神奈川、鹿児島、栃木、長崎、静岡など。収穫時期に産地に赴けば、近隣の道の駅やスーパー、八百屋などで、生の落花生を買うことが出来る。また、生の落花生を冷凍したものを通販などで購入可。落花生掘りを体験できる農園などもある。

身体によい落花生

落花生の脂肪分はオレイン酸 リノール酸を多く含みコレステロールを減らす働きがあるといわれる。またタンパク質の他、抗酸化作用を持つビタミンE、脳の神経細胞を活発にするレシチン、ナイアシン、ミネラルが豊富で、ガンや動脈硬化の予防に効果があるといわれるのだ。

落花生を茹でる

生の落花生が手に入ったら、早速茹でてみよう。調理法はごくごくシンプル。塩を入れた湯で40分~1時間ほど茹でるだけだ。圧力鍋を使えば、より短い時間で調理できる。

生落花生を洗う

落花生をボールなどに入れ、流水でよく洗う。泥や茎、その他の異物等を除いて、落花生同士を軽くこすり合わせるようにして、綺麗にする。

洗ってざるにあげた落花生。生ならではのしっとりとした濃い色。

茹でる

大き目の鍋に湯を沸かし、塩を入れて茹でる。塩の量は、好みにもよるが海水の濃さの前後位が目安(2~3%)。薄めにすれば、より豆の甘さが引き立つ。濃くすれば、酒のつまみにあう。ただ塩辛すぎるとどうにもならないので、塩を入れすぎないように注意。茹でる時間は、40分から1時間ほどだ。ある程度時間がたったら、時々味見をして硬さを確かめよう。

茹で始めはしゅわしゅわと灰汁が出てくる。

   

茹で上がり

好みの硬さに茹で上がったら、ざるにあげて出来上がり。冷えてもそれなりに美味しいが、あつあつがおすすめ。硬いこりっとした食感に慣れていると温かくて柔らかい落花生に多少違和感があるかもしれないが、一度はまったなら、落花生らしからぬジューシーでほくほくとした食感、口いっぱいに広がる瑞々しい甘さが病みつきになる。保存は冷蔵庫で数日。冷凍も可。

アツアツを召し上がれ。

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