蕪島

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蕪島とウミネコ

八戸市内からJR八戸線に沿って、景勝地「種差海岸」の方向に車で走ること15分程だろうか。八戸港の端に位置する「蕪島」と呼ばれる島が見えてくる。島といっても1942年に埋め立てられて以来一応陸続きになっているのだが、この「蕪島」、実はある事で地元の人々の間はもちろん、鳥好きや旅人の間で有名なのである。

そう、この「蕪島」、ウミネコの一大繁殖地なのだ。

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蕪島

そこはまさにウミネコの楽園。その数およそ三万羽とも四万羽とも言われる夥しい数のウミネコたちが我が物顔で歩き回り、飛び回り、休んでいる。くちばしが赤く尾っぽの黒い特徴的な体様の成鳥と、産毛のふわふわした褐色のひな鳥がそこかしこに溢れている。その光景はユーモラスで可愛いというよりも、一種の衝撃と驚愕。ただただ圧倒されてしまうのだ。確かに、一羽一羽、個体を見れば、(特にひな鳥は)かわいらしいのだが、いかんせん数が凄い。鳴き声も。そしてその糞も。彼らにしてみれば、こちらが闖入者。一体何をしにやってきたのだといわんばかりの顔でこちらを見る。特に、産卵後の雌鳥は気が立っているのだろう。ややもするとつっつかれそうな勢いだ。

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蕪島には、永仁4年(1269年)に厳島神社を勧進して開かれたという蕪嶋神社が鎮座していて、島の入り口に鳥居があり、その先に階段が続いている。その階段を、空から降ってくる雨以外のもの=糞、をよけるために無料で貸してくれる傘をさしながら、一段一段登っていくのだが、何段かおきに成鳥やひな鳥が陣取っていて、こちらが近づいても逃げる気配を見せない。実に人になれているのだ。むしろ慣れていないのはこちらの方。少々遠慮気味に、脇を通り抜け、階段を上りきるとそこに蕪嶋神社の社殿がある。

階段の下よりもさらに賑やかなその場所は、一種のカオスのような様相を呈している。羽音、鳴き声、空に舞う抜け毛。とはいえ、高台から見る対岸と海は中々の景色。その景色の中をウミネコの一群が風に乗って優雅に舞っている。柵の上では別の一群が、列をなして海を見ている。さらに柵の下にはまた別の一群が列を作って柵に沿って立っている。まるで次から次へと、さながらウミネコ製造工場のウミネコ製造機から、順次海に押し出されるかのように、整列し、海を見、海を舞う。カオスと見えた光景の中に、ある一定の秩序があるのだ。それは、不思議の国のアリスのような、独特の異世界。カオスとルールが同居している。混沌の中に、鮮烈がある。混乱の中に、整列がある。

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蕪嶋神社には多紀理毘売命(田心姫命:たぎりびめのみこと)、市寸嶋比売命(市杵島姫命:いちきしまひめのみこと)、多岐都比売命(瑞津姫命:たぎつひめのみこと)がご祭神として祀られていて、「かぶしまの弁天様」「かぶしまさま」として地元の人々に長らく信仰されてきた。商売繁盛、子授けなどのご利益と共に、漁業の守り神ともされていて、うみねこはその使いとして大切にされてきたのだという。

北海道天売島、岩手県椿島、山形県飛島、島根県経島など日本に十数か所あるといわれるウミネコの繁殖地の中でも、他の地が断崖絶壁や離島であるのに対し、この陸続きの島はアクセスも容易で、地も比較的平坦。手軽にしかも間近でウミネコの様子を観察することの出来る国内でも唯一の場所といわれる所以だ。不思議なアイランド、蕪島。大空と海原を翔けるウミネコの故郷。お出かけの際は、空から降ってくる糞対策を忘れずに。

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