静岡県静岡県のB級グルメ・ご当地グルメ

新鮮な桜えびを食べに行こう

桜えび

由比の生桜えび

あえかな桜色と鮮やかな幸福

どんな食べ物も「新鮮さこそ命」のように誤解されている部分もあるが、実はそうではない。勿論、「新鮮」というのは一つの美味しさの重要なファクターであることには違いないが、時間が経つほどに、まろやかになったり旨み成分が増したりと、「新鮮・取れたて」では決して出ない、出せない美味しさもあるのである。動物性たんぱく質は特にその傾向が顕著だが、実は魚介類も少し時間を置いた方が美味しいものが多い。例えばマグロ。水揚げしたばかりのマグロを捌いて食べてもそれ程美味しくはない。硬くてなんとなく味気ないのだ。あのマグロ特有のとろけるような柔らかさと円やかで芳醇な旨みは〆てから半日から一日以上経ってはじめて出てくるのである。「マグロの活き造り」をあまり見かけないのも道理だろう。鯛やヒラメなどの白身魚も実は〆てから時間が経った方が美味いとされる。こりこりとした歯ごたえを楽しむだけなら、〆た直後のがよいが、魚肉の中の旨み成分は少し時間が経ってからの方が増すのである。

とはいいながら、「新鮮さこそ命」といえる食材も勿論多い。野菜、果物類。そして魚介の中でもサバや貝やウニ、エビ、カニといった類の食材である。

今日の主役「桜えび」も「新鮮」さが命の食材の一つ。「新鮮」かどうかでまるで味が変わってしまうのだ。新鮮なものは臭みがなく、透き通っていて甘い。とろけるような味がする。

駿河湾の深海に棲息するこの桜色をした美しいえびは、「富士山の雪解け水(淡水)が海水と混ざることで栄養豊富となり多くのプランクトンが集まる河口域」にえさを求めて集まってくると言われ、夜になると水深200メートルほどの深海から駿河湾沿岸部の水深2、30メートルほどの表層まで上がってくる。漁が行われるのもそれらの水域で、由比漁港を出発した船は夜半から早朝にかけて網を使って桜えびを捕獲するのである。

桜えび干風景

生桜えび

繊細な桜えびは、輸送中に酸欠になりストレスがかかるとアンモニアを発生すると言われ、生きたままの輸送が難しいこともあって、以前は生の桜えびは静岡県外はおろか静岡県内においても中々手に入らない貴重なものであった。現在では輸送技術もあがり、首都圏のスーパーでは生の桜えびを見かけることも多くなってきた。とはいえ、やはり新鮮さにおいては産地で食するものには遠く及ばない。

桜えびの産地である「由比」で食べることの出来る獲れ立て新鮮の「生桜えび」は口に含んだ瞬間エビ特有の甘みと旨みがじゅわーっと広がり、なんとも言えぬ幸福感を体中に満たしてくれる。「かわいらしいその身体のどこにこれほどまでの旨みを持ち合わせているのだろうか」と、そんな事さえ考えている暇もなく、その美味しさは身体の中を巡ってゆく。美しくも儚いその姿や様態と、味蕾(みらい)を刺激する官能的美味は同軸上に存在することが可能なのである。

JWMがおススメする美味しい桜えび料理の味わえるお店

さて、急速冷凍されたものや乾燥物、そしてまだ希少ながら生の桜えびも静岡県外のスーパーなどでも手に入るようになり、今や一年を通して桜えびの美味しさを享受することが出来るが、やはりなんといっても旬の時期に本場で味わう生の桜えびは格別。素晴らしい桜えび料理を味わうことの出来るお店を紹介しよう。

由比「くらさわや」

くらさわや

由比「くらさわや」

富士市「金時」

金時

富士市「金時」

天日干し桜えび

干桜えび

アワビやホタテの貝柱を例に出すまでもなく、乾燥させることによって生では味わえない旨みが出ることを先人達は経験的に知っていた。冷蔵庫も冷凍庫もない時代、保存する為に編み出された方法とはいえ、太陽の恵みを受け、自然の息吹に吹かれて乾燥されたものは思いのほか美味しかったのである。

ご存知の方も多いと思うが、乾燥することによって旨みが増すということは科学的にも証明されている。水分が抜けて旨みが凝縮されるのみならず、(ごく簡単にいうと)タンパク質がアミノ酸に分解されて実際に旨み成分が増すのである。

由比で獲れる桜えびのうち天日に干されるものは、水揚げしてそのまま干すもの(素干し)と一度茹でてから干すもの(煮干し)とに分けられる。それぞれにそれぞれの美味さがあり味わいがある。また干すことによって旨みのみならず栄養分も豊富となるのだ。素干しの桜えびの場合、100gでカロリー312kcal、カルシウム2000mg、リン1200mg、煮干しの桜えびの場合、100gでカロリー225kcal、カルシウム150mg、リン860mgと小魚などと比べても引けをとらない栄養豊富な食材なのである。

干し桜えびを使ったおススメレシピ

富士宮焼きソバ

桜えびと葱のパスタ

Japan Web Magazine 編集部

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