湧玉池
公開日: 2011年8月19日 | 最終更新日 2023年6月5日
富士山の湧水
富士山をご神体として祀る神社「富士山本宮浅間大社」の境内(本殿に向かって右手方向)にその池はあります。
その名は「湧玉池」(わくたまいけ)。富士山に降り積もった雨や雪が地中に浸み込み長い年月をかけて「ろ過」され集まり流れとなる「富士山の伏流水」が湧き出たものです。水晶のごとく透き通った水が静かにたゆたう様は息を呑むような美しさ。そのあまりの透明度に、見る角度によってはそこには水さえも無いかのようで、池の中を泳ぐ魚の様子が手に取るように見えるのです。
そよそよと流れに揺らぐ水草。日差しが水面に当たって輝きます。心なしか泳ぐ魚も嬉しそう。特に湧水の流れのそばに集まって同じ方向に頭を向けじっと佇んでいる様など、まるで美しい水の気をその身に浴びているかのようにもみえます。魚達は恍惚とした表情で、もしくは達観したような面持ちでじっとしているのです。なんと静謐で穏やかな眺めでしょう。清らかな水のある光景。そこに住む生き物達。ただ見ているだけで心が洗われ透き通っていくような気持ちになっていきます。ふと向こうの木に視線をやると、目の覚めるような綺麗な青色をしたカワセミが木の梢に止まり、池の中を覗きこんでいました。
湧玉池は古来より、富士山に入る修験者が身を清めたところで、富士講の信者達もこの池で身を清め、富士山に登りました。現在も富士の山開きの際には、ふんどしや白装束の姿をした男女が池に入り禊神事を行っています。水温は年間を通して約13度前後と一定しています。一秒間に3.6キロリットル、重さにして一日約20万トンもの水が一年中、ほぼ増減無く湧出しています。国の特別天然記念物にも指定されています。
池のそばには、飲料用の水を汲む場所もあります。バナジウムを多く含む水は名水としても有名で、ペットボトルを手に水を汲みに訪れる人も少なくありません。(水は煮沸してから飲むように注意書きがあります。)
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湧玉池(わくたまいけ) DATA
- 場所: 静岡県富士宮市宮町1-1(富士山本宮浅間大社境内)
- 交通(公共交通機関で): JR身延線富士宮駅から徒歩10分。
- 交通(車で): 東名富士ICより西富士バイパス経由で約20分。
- 駐車場: あり(有料)30分以内無料
- 期間: 通年
- 問い合わせ: 0544-27-2002
湧玉池