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坂元棚田

坂元棚田

日本の棚田百選

城下町・飫肥から車で約15分、「道の駅酒谷」すぐそばのわき道をさらに約5分(1~2km)ほど入った所にある棚田が坂元棚田だ。日南市の最高峰である小松山(988.8m)の南西側の斜面に広がる総面積約7.2haほどの棚田で、そのスケールの大きさと整然と並んだ美しい姿が印象的な棚田だ。

元々、このあたり一帯は茅が生い茂る野原であったといい、起伏の少ないなだらかな傾斜地には季節ごとに野の花が咲き、野鳥もたくさん生息していて、子供たちの格好の遊び場になっていた。生い茂る茅は周辺の集落の屋根を葺くのに使われ、笠などの生活用具を作るのに利用されていたという。

その野原が棚田に変わっていったのは昭和の初めのこと。大正時代に始められた測量の後、昭和3年からおよそ5年の年月を費やし、鍬で開墾、人の手で石を一つ一つ積み上げて作り上げられたという。石垣積みに使用された石はすべて現地の石で、適当な大きさの自然石と大きな石を砕いたものを利用し、石垣を積んでいった。当初は専門業者を雇って始められた棚田作りも、工事が進むにつれて地元の人々も見よう見まねで技術を習得、棚田が十数枚出来上がった頃からは、集落の人々を中心に、家族総出で棚田作りの工事を進めたという。当時の金額で19,747円(※22,583円という資料もあり)(参考:昭和元年の米10kg=3円20銭)を要した大規模な工事の末、昭和8年の8月に約150枚(※同119枚)、およそ5ha(※同5.7ha)の棚田が完成した。棚田には、小松山に源流を発する清らかな小川の水が、棚田工事と並行して行われた開削工事により完成した水路で谷から引き込まれている。

坂元棚田

沢山の人々の労力と困難の跡が垣間見える石垣。斜面を切り崩し、石を積んでいくことの大変さ、その苦労は想像に難くない。大きさは異なるが、坂元棚田には、このような石垣で守られた棚田が最盛期には200枚ほどあったといい、現在、そのうちの70枚が13戸の農家によって管理されている。

坂元棚田
坂元棚田
坂元棚田

山の中の要塞に迷い込んでしまったかのような堅牢な石垣が縦横に広がっている。

坂元棚田

展望所から望む坂元棚田。その規模の大きさがわかる。整然と並ぶ長方形の棚田は「膳棚田」と呼ばれるものだ。

坂元棚田

木々の合間から見る坂元棚田。

坂元棚田へのアクセス

日南市中心部から国道222号を西へ約18km、車で約25分(飫肥市から約14km・車で約15分)または宮崎自動車道「都城I.C」から国道10号線経由国道222号を南東に約35km約50分で、茅葺き屋根の目立つ「道の駅酒谷」へ。国道を挟んだ反対側(国道222号から北西方向)に坂元地区へと至る道の入口がある。その道を進むこと5分ほどで坂元棚田が現れる。

Memo

棚田百選・国の重要文化的景観

坂元棚田は、日本の棚田百選に選ばれているほか、「酒谷の坂元棚田及び農山村景観」として国の重要文化的景観に選出されている。

坂元棚田まつり

例年4月下旬には、郷土芸能等を披露する地元のまつり「坂元棚田まつり」が行われる。(問い合わせ: 日南市役所酒谷支所 電話番号 0987-25-1810)

棚田オーナー制度

年会費35,000円で棚田(一人1アール)のオーナーとなり、農業体験ができる棚田オーナー制度がある。収穫後には30kgのお米を受け取ることができる。(問い合わせ:日南市農政課 電話番号 : 0987-31-1132)

坂元棚田訪問おすすめのシーズン

坂元棚田を訪れるおすすめシーズンは梅雨時と秋。水が張られ、棚田の合間にアジサイが咲く6月頃と、黄金色の稲穂が風に揺れ、彼岸花が咲く9月下旬がおすすめだ。坂元棚田周辺は大変道が狭く、離合困難な場所も多いので運転には注意。特に棚田の農道は道が狭いので、指定の場所に駐車の上、歩いて見学のこと。農作業の邪魔にならないように、農地には勝手に入り込まないように十分配慮しましょう。

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Japan Web Magazine 編集部

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