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鬼の洗濯板

鬼の洗濯板

海岸に連なる奇岩

青い空。輝く海。遠近感が増幅されるような配置でもって雲がふわりふわり浮かんでいる。うたた寝をしたくなるような心地よい風。道は海岸線に沿って続く。時々海と離れたり、また戻ったりを繰り返しつつ、右に左にくねりながら続いている。ソテツに椰子、と道のそこかしこに見える植生は南国のそれだ。運転しながら、この近辺に住まう人をちょっと羨ましく思う。思い立った時、いつでもすぐにこんな素敵な風景を眺めながらドライブできたら、どんなに素晴らしいだろう。「爽快」を絵に描いたような眺めだ。


ここは宮崎県宮崎市。日向灘に面した美しい海岸線がどこまでも続く日南海岸だ。近くには日本で最も美しい海水浴場の一つともいわれる青島海水浴場がある。神聖な場所であるためにかつては祭日以外には一般の人の立ち入りが禁じられていたという青島神社や、少し足を伸ばせば、パワースポットとしても知られる鵜戸神宮もある。この風光明媚な日南海岸にあって、それらと共に名を知られているのが、「鬼の洗濯板」と呼ばれる奇岩の連なりだ。別名「鬼の洗濯岩」「鬼穿岩」。初めて聞くといささか不思議な名前だが、実物を目にするとまさに一目瞭然。鬼が洗濯に使いそうな巨大な洗濯板のような形をした奇岩が8キロほどに渡って海岸線を支配しているのだ。

鬼の洗濯板の魅力をフルスクリーンで見る

打ち寄せる波がそのまま石化してしまったかのようにも見える「鬼の洗濯板」は、古第三紀中盤から新第三紀前半にかけて(およそ3000万年前~1500万年前)海中で出来上がった油津層群と呼ばれる砂岩と泥岩が交互に重なった層が地殻変動などで隆起し、さらに長い時間をかけて波に浸食されて出来上がったものだ。比較的柔らかい泥岩層が波に寄って少しずつ削られ、硬い砂岩層との間で凹凸が出来、現在の様な姿になった。干潮時には沖合い100メートルほどまでに渡って広がる太古の記憶、荒々しくも繊細で妙なる自然の造形美を間近で堪能できる。

鬼の洗濯板は青島周辺から戸崎鼻、巾着島に至る間(JR青島駅~小内海駅)の約8キロに渡る海岸線で見ることが出来る。定番のスポットは青島周辺だが、場所によってノコギリのようであったり蜂の巣のようであったりとそれぞれ表情が違うので、幾つかの場所で海岸に降り立って見てみるのもおすすめだ。

   

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青島から南の巾着島までの約8キロに渡る海岸線に広がる奇岩。「青島の隆起海床と奇形波蝕痕」として国の天然記念物にも指定されている。

鬼の洗濯板

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Japan Web Magazine 編集部

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