ひやしあめ
公開日: 2012年8月3日 | 最終更新日 2024年2月26日
昭和の優しい味わい
関西の夏の定番飲料といえば「ひやしあめ(冷やし飴)」。お湯で溶いた水飴に、生姜の絞り汁を加えて作る「あめゆ(飴湯)」を冷やした琥珀色の飲み物だ。この「ひやしあめ」、ほかの地域、特に関東以北ではあまり見かけないが、大阪、京都、奈良などではとてもポピュラーな飲み物で、夏から秋にかけて、スーパーやコンビニのほか、縁日の屋台や小売店のスタンドなどでも売られている。
こちらは、ラムネ生産量日本一の大阪の飲料メーカー「ハタ鉱泉」のひやしあめ。ハチミツ入りだ。「ひやしあめ=水飴を溶いたもの」とはいえ、決してくどい甘さではなく、むしろさっぱりとしている。糖分がダイレクトにエネルギーとして充填されるような感じがありつつも、あくまで飲み口は爽やか。水飴の甘味と生姜の香りが一体となって、一服の清涼感を与えてくれるのだ。
原材料は水飴、蜂蜜、砂糖、生姜、香辛料、食塩、香料、香辛料抽出物、カラメル色素、酸味料。一本205ml入りだ。
江戸時代には、麦芽の水飴を湯で溶いた「あめゆ」が、甘酒と並び夏バテに効く飲み物として売られていたという。明治に入って製氷技術が向上、「あめゆ」はいつしか冷たい飲み物となった。ひやしあめが、関東ではポピュラーではなくなってしまった理由は定かではないが、関東大震災や空襲で廃業した業者が多かったのではないかといわれる。その一方で、関西、及び中国、四国などでは、ひやしあめ文化は生き続け、今でも多くの人々に愛されている。子供の頃から慣れ親しんできたこの味、ひやしあめのない他地域に転勤などで移動して、夏になるとひやしあめに郷愁を覚える向きもいるとか。シンプルで素朴ながらも、どことなく江戸の香りも感じられるひやしあめは、まさに「ソウルフード」ならぬ「ソウルドリンク」なのだ。
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