熱燗が飲みたくなるような美しい日本の雪の夜の風景
公開日: 2023年2月10日 | 最終更新日 2023年2月10日
雪の夜の風景
ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲「四季」。冬の第一楽章。
胸をぎゅーっと締め付けられるような、美しくも悲哀を漂わせるドラマチックな旋律。鈍色の情念を煽り立てられるようなリズム。ヴァイオリンとチェンバロが絡み合いながら紡ぎだされる光と闇の光景。美と汚穢が絡まりながら明滅しているような中世のヨーロッパの冬の夜の石畳の町の路地裏を、コートの襟を立てて足早に歩いている人の姿がなんとなく浮かんでくるような、抒情的で劇的な空気に満ちた名曲です。第二楽章では打って変わって優しく穏やかなメロディとなり、それはそれで素敵だとは思いますが、やはり第一楽章の重層的な美しさは格別。勿論、中世のヨーロッパを直に見たことはありませんが、ブラチスラヴァなどの中世の雰囲気が今も残る町並みの冬の情景を思い出すにつれ、これほどまでに昔のヨーロッパの冬の世界観を表している曲もないのではないかと思うのです。
一方で当然といえば当然ながら、やはりヴィヴァルディの「冬」は、日本の「冬」のイメージとは随分とかけ離れている気がします。
個人的な好みもありますが、やはり「日本の冬の夜」に合う曲といえば、「燈火ちかく~」で始まる文部省唱歌、その名もずばり「冬の夜」ではないかと思います。穏やかなメロディーと郷愁漂う美しい歌詞。古き良き時代の山里の暮らしを髣髴とさせるような世界観はまさに日本の冬の夜にぴったりな気がします。外ではしんしんと雪が降っている中、囲炉裏に当たりながら一人静かに酒を飲む。貸し切り状態の白川郷の合掌造りの家屋に何日か泊まった時や、乳頭温泉の囲炉裏付きの小さな部屋に寝泊まりした時に体験した、本当に静かな晩、雪が降る音以外の一切の物音がしない中で一人酒を飲む感覚がよみがえります。まさに日本の里山の雪の風景。日本昔話に出てきたような、外ではしんしんと雪が降っている冬の夜の情景。
文部省唱歌「冬の夜」以外で「日本の冬の夜のイメージ」にぴったりな曲といえば、(多分に映画の影響もありますが)八代亜紀の名曲「舟唄」でしょうか。
こちらはもう少し大人の世界観というか、諦念と寂寥感と切なさと淡い希望が入り混じったような、人生の光と闇を様々に垣間見てきた人にとても沁みるであろう名曲。健さんの映画の中でも北海道の冬の増毛がロケ地となっていましたが、やはり冬は冬でも雪国の冬の雰囲気、それもしんしんと雪が降っている冬の夜のシーンが良くあいます。
というわけで今日は日本の冬の夜の風景、それも雪が積もった冬の夜、日本の雪の夜の情景をお届けします。凍える夜にはしっとりと、居酒屋で酒を飲みたくなる。普段はどんなお酒を飲んでいても、そんな夜は熱燗がいい。それも立ち上るアルコールでむせてしまうような安酒の燗がいい。抒情的で美しい、日本の雪の夜の風景をどうぞ。
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