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朝倉彫塑館

朝倉彫塑館

国の有形文化財

JR日暮里駅から歩いて5~6分、谷中銀座へと続く道の少し手前を左折するとほどなく見えてくるのが、黒塗りの建物が印象的な朝倉彫塑館だ。明治から昭和にかけて活躍した彫刻家 / 彫塑家・朝倉文夫のアトリエ兼住居だったところで、兄を頼って郷里の大分から上京してきた朝倉は、東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業した1907年(明治40年)、24歳の時にこの地に住居兼アトリエを構え、以後亡くなるまでの約57年間にわたり意欲的に制作や後進の指導に打ち込んだ。

初めはこじんまりとした小さなものだったという建物も、7度にわたる増改築を経て、1928年(昭和3年)に朝倉自身の設計により本格的な建物と庭園の建築を開始、7年の歳月をかけて1935年(昭和10年)に現在とほぼ同じ建物が完成した。建物は鉄筋コンクリート構造の旧アトリエ棟の西洋建築と、竹や木をモチーフとした数寄屋造りの純和風の日本建築からなり、細部にこまやかな装飾や工夫が施され、屋上には日本最初の屋上緑化ともいえる屋上菜園もあった。(屋上菜園は現在は庭園(花壇)になっている。)

西洋建築と日本建築の違和感ない融合、古きと新しきの調和・共存の絶妙なバランスは、芸術を「自然と人生との象徴形」と捉え、建物の建築・増改築においても、庭園(自然)との一体感を念頭にデザインを追求した朝倉文夫のセンス、美意識が見事に反映されたものだ。

2001年(平成13年)にアトリエ棟、旧アトリエ、住居、東屋の4棟の建物が国の登録有形文化財に登録され、2008年には中庭と屋上庭園が「旧朝倉文夫氏庭園」として国の名勝に指定された。

朝倉彫塑館

Memo

2009年から保存修復工事が行われていたが、約4年半の月日を経て2013年10月29日に再オープンした。床板を一枚一枚はがして補修し、漆を重ね塗りして張りなおすなどの手間暇をかけ、昔の写真を元に照明を復元するなど、単なる補修工事に留まらない膨大な時間と手間をかけた丁寧な仕事が施され、より活き活きとより鮮やかに、かつての朝倉邸の雰囲気がよみがえった。大正から昭和にかけての古き良き時代の建物の雰囲気が好きな人にはたまらない空間となっている。

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朝倉彫塑館

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Japan Web Magazine 編集部

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