二日酔い軽減にも老化防止にもダイエットにもいい?! 伝統的保存食品「するめ」
公開日: 2015年4月21日 | 最終更新日 2015年4月21日
酒飲みが好む代表的なつまみのひとつ「スルメ」。皆さんの中にもお好きな方は多いのではないでしょうか。
袋を開けると立ち上る豊かな香り。直火でさっと炙るとこうばしさが増して、その香りを嗅いでいるだけで幸せな気分に。ぱちぱちと音がして、スルメがくるりと丸まってきたら、熱いのを我慢して急いで裂いてお皿に盛り、マヨネーズに唐辛子、醤油をかけたものを添えたりして、いそいそと部屋に戻って日本酒と共に頂く。もう、想像しただけで笑顔になってしまいます。
おもむろに一つ取って、まずは何もつけずに口の中にぽいっ。お酒をぐいっ。口の中いっぱいに広がる旨味。旨味。旨味。ちょうどよい塩加減がお酒の味を引き立てる。お酒がするめの旨味を引き立てる。互いに引き立てあって、高めあって、口の中には「旨味」の海が出来上がる。それはさざ波のように全身に広がって、幸福で満たしてくれるのです。それから今度はマヨネーズをつけて、口に中にぽいっ。お酒をぐいっ。そのまま食べる時とはまた違う、スルメの旨味とマヨネーズの酸味を含んだまろやかな味わいが混ざり合って口の中に広がっていく。唐辛子のアクセントもたまりません。もう、最高ですね。
コンビニや駅の売店で売っている袋詰めのスルメも、手間なくすぐ食べられて、手も汚れずになおかつ美味しいつまみとして、旅のお供に持っていく人も多いのではないでしょうか。特に鉄道で移動する際、流れゆく景色をぼんやり眺めながら、カップ酒にスルメ、なんてまさに旅の醍醐味です。
さて、このスルメ。日本では古くから食べられてきた保存食の一つであり、日持ちが良いことから「幸せが長続きする」として、祝いの席には欠かせない酒肴・縁起物としても扱われてきました。例えば、結納の儀式。実際にされたことがある方ならご存知でしょう、スルメは「寿留女」として結納品に入れられ、大切な品として扱われます。「噛めば噛むほど味が出る」ことから、「健康でするめのように長持ちする嫁になってほしい」という願いが込められているのだとか。
ちなみに、お店などでよく使われる「あたりめ」という呼び名は、スルメの「する」が、お金を「する」ことを連想させるから、縁起を担いで「当たる」という字をあてて言い換えられるようになったものです。フグをフクと読んだり、豆腐を豆富と書いたりするのと同じですね。
ところで、スルメは、美味しいだけではなく、栄養的にも優れているのをご存知でしょうか。滋養強壮、肝臓の働きを促す作用や肝細胞の再生促進作用などがあり、栄養ドリンクなどの主成分にもなっているタウリンを豊富に含んでいるほか、亜鉛やリン、コレストロール値を下げる効果や中性脂肪を減らす効果があるとされるEPA(エイコサペンタエン酸)、血液の流れをよくし、動脈硬化、高脂血症、認知症等の予防や改善、アトピー、アレルギー等の改善、がんの発生や転移の抑制などに効果があり、妊娠中・授乳中に摂取すると赤ちゃんの脳神経の発達を促進するといわれるDHA(ドコサヘキサエン酸)、脳の栄養素として欠かせない必須ビタミンで循環系、消化系、神経系の働きを促進し二日酔い軽減やうつ病の改善効果もあるといわれるナイアシンなどを含んでいるのです。
また、スルメは固いのでよく噛まなくてはいけませんが、この「固いスルメをよく噛む」ことは唾液の分泌に繋がり、消化吸収を助けるほか、顎にもよく、ひいては健康な歯を作るためにも役立つとされています。また、よく噛むことは脳の活性化にもつながり、眠気防止、老化防止に役立つともいわれます。さらには、満腹中枢も刺激されるので少量でもお腹が満たされる気分になり、ダイエット中の間食にいいという話も。
栄養豊富で、高タンパク、低脂肪のスルメは、美味しいつまみを欲するお酒飲みにも、ダイエットをする人にも、歯が成長中の子供にも、勉強中の学生にも、お年寄りにもいい、すごい食べ物なんですね。
ちなみに、いくら栄養があって美味しくても、胃がもたれたり塩分の取り過ぎになる可能性もあるので、過度の食べすぎにはご注意を!