永遠の愛を誓うなら神秘的な青の地底湖で!?岩手の「龍泉洞」へ!
公開日: 2019年11月30日 | 最終更新日 2023年6月28日
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岩手の絶景スポット
北海道に次ぐ日本で二番目に広い岩手県。沿岸部はリアス式海岸、内陸部には奥羽山脈と北上山地が横たわり、北上川や中津川、雫石川といった川が流れています。県内には「中尊寺金色堂」や「毛越寺(もうつうじ)」といった「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」関連史跡や「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」関連史跡である「橋野高炉跡」などの世界遺産も点在、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている古くて美しい町並み「金ケ崎城内諏訪小路」や、「猊鼻渓」や「厳美渓」「碁石海岸」「高田松原」といった景勝地など、観光スポットも目白押し。
そんな中、一際異彩を放つのが、「ドラゴンブルー」と呼ばれる神秘的な青色をした地底湖がある鍾乳洞の「龍泉洞」。その美しさゆえ、デートスポットとしても人気で、最近ではここでプロポーズをする人もいるとか。
地球の奥へ入っていくような神秘的な雰囲気を漂わせる「地下の世界」へ、「ドラゴンブルー」の美しい色を見に出かけてみましょう。
「日本三大鍾乳洞」龍泉洞へ
岩手県の県庁所在地・盛岡市から直線距離にしておよそ六十キロメートル、新幹線や在来線の県内でのターミナル駅である「盛岡駅」から車で約1時間50分ほどの距離にある「龍泉洞(りゅうせんどう)は、山口県美祢市にある「秋芳洞(あきよしどう)」、高知県香美市にある「龍河洞(りゅうがどう)」と並ぶ「日本三大鍾乳洞」の一つに挙げられる鍾乳洞です。
総延長こそおよそ1200メートル(国内第62位)(※)とそれほど長い訳ではありませんが、国内で第5位である約249メートルの高低差のある立体的なこの鍾乳洞は、「岩泉湧窟およびコウモリ」として日本の天然記念物にも指定され、「日本の地質百選」や「名水百選(龍泉洞地底湖の水)」にも選ばれているのですが、なんといってもこの「龍泉洞」を有名にしているのは、その吸い込まれてしまうような美しい青色です。
それでは早速「龍泉洞」へ行ってみましょう。
(※編集部注:公式の数字。(一般に公開されている観光ルートは約700メートル。)実際には5キロメートルあるともいわれますが、幾つもの「地底湖」があり未調査の場所も多く完全な調査はされていません。平成24年に予測数値として3631メートルとなっています。ちなみに龍泉洞のある岩泉町には、日本最長の鍾乳洞である「安家洞(あっかどう)(総延長約23,702m)」をはじめ、「氷渡洞 坪沢穴(3902メートル)」「桃の木洞(1820メートル)」「大穴(1350メートル)」「相良八郎の穴(1103メートル)」と、「龍泉洞」と合わせて日本の鍾乳洞の総延長ランキングベスト100以内に入る鍾乳洞が6か所存在しています。)
龍泉洞へのアクセス
「龍泉洞」へは車なら盛岡市から国道455号線を経由して約1時間50分ほど。花巻空港からなら国道4号線、国道455号線経由で約2時間半ほどで到着します。道は比較的走りやすく、標識もしっかりしているので、迷うことはないでしょう。途中の道の駅で、岩手グルメ、岩手の郷土の銘菓なんかをつまんでみるのもおすすめです。
公共交通機関で行かれる方は、東京からなら東北新幹線で約2時間30分で盛岡駅へ。盛岡駅からはJRバスが出ていますので、それを利用、約2時間10分くらいで龍泉洞に着きます。
車(またはバス)を降り、窓口で入洞料金(大人・高校生以上 1100円 小中学生 550円)を支払ったら、早速入洞してみましょう。そうそう、龍泉洞の営業時間は10月~4月までは朝の8時半~夕方5時まで。5月~9月までは朝8時半~夕方6時までとなっています。ちなみに入口のすぐ脇に、「名水百選」に選ばれている水を飲むことができる場所があるので、入洞前または出てきてからチェックしてみて下さいね。
龍泉洞の中へ
鉄骨でがっしりと補強された入り口でエアーカーテンを通り抜けると、まずは「百間廊下」と呼ばれる通路が直線的に続いています。ちなみに1間は尺貫法の単位でメートルにすると約1.82メートルなので、百間は約182メートルですが、何軒も長屋が続いていることを「百間長屋」と呼んだように、「百間」で「長く続いている」というニュアンスもあります。
断層によって作られたというこの「百間廊下」は、龍が通り抜けたことによって出来上がったという伝説があるとか。今では観光スポットとして知られているこの「龍泉洞」がまだ地域の人達にしか知られていなかった頃、地元の若者たちが松明をもって、舟で洞窟の奥へと冒険にいった出発点であったそうです。
「百間廊下」を行った先には「蝙蝠穴」と呼ばれる場所があります。読んで字の如く、蝙蝠(こうもり)がいる穴。この龍泉洞には「コキクガシラコウモリ」や「キクガシラコウモリ」「テングコウモリ」「ココジロコウモリ」「ニホンウサギコウモリ」という五種類のコウモリが生息しています。なんでも、一つの洞窟に五種類ものコウモリが生息しているのは大変珍しいのだとか。
コウモリにはフルーツコウモリなどのように果物などを食べるコウモリと、虫を食べるコウモリがいますが、龍泉洞にいるコウモリは虫を食べるコウモリ。ちなみにコウモリさんたちは、冬になると冬眠するそうで、冬の間は天井に足でぶら下がりながら冬眠するコウモリを見る事が出来ます。逆さになったまま、天井を足でつかんで冬眠するなんて器用ですよね。自分なら、眠りが深くなったら落ちてしまいそう・・・。
「蝙蝠穴」の先には「長命の泉」と名付けられた場所があります。そのいわれはこの水を一口飲めば三年長生きするから、という古い伝説によるもの。「百口くらい飲んで、車が空を飛んでいる未来を見てみたい!」という妄想が頭をよぎりましたが、残念ながらそれは叶いませんでした・・・。
後ろ髪を引かれながら「長命の泉」を後にすると次は「龍の淵」と呼ばれる場所。最も深いところで水深十メートルあるといわれるこちらは、岩が龍の頭の形のようにも見えることから命名されたそう。
「龍の淵」の次は「亀岩」です。亀の甲羅のように見えることからつけられたこの場所は、岩が崩落したことにより偶然に出来上がった人の手が加わっていない造形物だとか。自然の力のすごさと面白さが同居しています。
その次は「月宮殿」。映画かアニメに出てきそうなこの場所は、鍾乳石の雰囲気が月の世界をイメージさせることからつけられた名前だとか。改修された後、照明がLEDになっており、変化する光で妖しげな雰囲気に満ちています。
地底湖と対面
そしていよいよ「第一地底湖」へ到着です。入洞前から「地底湖」と聞いただけでワクワクしていましたが、実際に目の前にすると、その美しさに思わず息をのみます。この「第一地底湖」の水深は35メートル。35メートルといってもあまりピンとこな方も多いかもしれませんが、ビルだと10階建くらいに相当するでしょうか。
吸い込まれそうな美しい青色こそが「ドラゴンブルー」とも呼ばれるもの。しばらく見ていても飽きない、というよりもずっと見ていたい欲求に駆られるような、深遠で神秘的な、そして麗しくも艶やかな美しさを持った透明感あふれる幻想的な青色です。フェンス越しにしばらくの間、水の中をじっと見ていると、「龍が住んでいる」というのも本当かも・・・と思える程の美しさ。一晩ここに泊まって、ひたすらこの青い水の色を見ていたいと思ってしまいます。
この地底湖の水は、龍泉洞のある「宇霊羅山」の北に広がる森林地帯に降り注いだ雨や雪解け水が集まってきたものなのだとか。普段は中々見る事のない、地面の中(地面の下)で行われている「生命」の源の脈動の一環を実際に目の当たりにしているような気がして、その神秘的な煌めきに感動します。おおいなる自然の流れの中にすーっと吸い込まれていくような不思議な感覚です。
この「第一地底湖」は大正時代にその探索がはじめられ、かつては舟での観光も行われていたとか。昭和34年(1959年)にはゴムボートでの本格的な調査が行われ、昭和42年(1967年)には「龍泉新洞」が発見されています。
「第一地底湖」の先には、水深38メートルの「第二地底湖」があります。この「第二地底湖」も「第一地底湖」同様、美しい青色をしています。水中に吊り下げられた照明が朧に輝く様が綺麗です。こちらの地底湖は昭和37年(1962年)の潜水調査により発見されたのだそうです。
「第二地底湖」の先にあるのが、「第三地底湖」。水深はなんと98メートルで、「第一地底湖」や「第二地底湖」の倍以上。水深が深い分、水の色も青色の深みがぐっと増して、より幻想的な雰囲気を醸し出しています。
観光で見られるのは、こちらの「第三地底湖」までですが、この先にさらに鍾乳洞は続いていて、確認されているだけでも全部で8つの地底湖があるそうです。あまりの奥行きと深さにすべての調査は終わっておらず、現在も調査中とのこと。月に行かれる人類も、海の底はまだまだ未知の世界だといいますが、この龍泉洞ですらもその全容を明らかにしていないという訳。いかにこの鍾乳洞が大きくて深いかということもありますが、同時にこの龍泉洞の持つ魅力と神秘性の奥深さを表しているのかもしれませんね。おおいなる自然の不思議さと、美しさ、そこはかとない神々しさを感ぜずにはいられません。
さて、観光ルートは三原峠と呼ばれる場所や、地底湖を見下ろせる展望所などを通って出口へと戻ります。(繁忙期などの混雑時には一方通行となり、第三地底湖の先にあるトンネル出口から外に出ることになります。)
出口から外へ出た時のちょっとした安堵感と開放感。同時に、すぐに美しい青色を見に、また地底湖の場所に戻りたくなる不思議。それほどまでに「ドラゴン・ブルー」の深い色は印象的で、人を惹きつけるのです。
龍泉洞の水がもっとも美しく見える時期
ちなみに、龍泉洞の地底湖がもっとも綺麗に見えるのは、水量の安定している冬の時期。雨が降ったり、雪解け水が増える春から秋にかけては、地底湖に流れ込んでくる水量も増え、それによって、地底湖の水底に滞留している「シルト」と呼ばれる微小な堆積物が舞い上がり水が濁って見えてしまう時もあるのだそう。
冬は、雨があまり降らず雪も解けないので、水量が安定し、もっとも綺麗に見える時期なのだそうです。さらには寒さにより、地表から浸みこんできた洞窟内の水分が凍って天井から地底湖に滴が落ちてくることがなくなるため、湖面に波紋が広がったり、水中が揺らいだりすることが少なくなるので、より透明度が高く、美しい状態で見られるのです。その美しさたるや、どこが地底湖の水面なのか判別が難しくなるほど。
上から見てどこからが水面か、はっきりしないほどのクリアな状態で、水深数十メートルの地底湖を覗き込んでいると、ゆらゆらと自分が揺らめいていき、すーっと幻惑されるような独特の感覚に陥る事さえあるのです。
龍泉洞 まとめ
というわけで、今日は岩手の絶景スポットであり、家族連れから恋人同士まで楽しめる「龍泉洞」をご紹介しました。山がちで火山も多い日本は、各地に鍾乳洞や風穴、氷穴などがあり、どこも地球の息吹を身体全身で体感できるような迫力あるスポットとなっていますが、この「龍泉洞」はその中でも特に荘厳な雰囲気に満ちた場所です。その美しさとダイナミックな雰囲気は岩手県のおすすめ観光スポットでもトップクラス。
「狭くて暗いところが好きではない」など人により好みも異なりますし、観光スポットにどんなものを求めるかも各々違うので、すべての人におすすめではないのかもしれませんが、個人的には、東北地方全域でみてもかなり上位に入りそうなスポットだと思います。映像や写真では中々伝えきれない、美しくて神秘的な「ドラゴンブルー」を体感しに是非出かけてみて下さいね。
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龍泉洞(りゅうせんどう) DATA
- 場所: 岩手県下閉伊郡岩泉町神成1-1
- 交通(公共交通機関で): 盛岡からJRバスで約2時間10分。
- 交通(車で): 盛岡から国道455号線経由約100分。
- 駐車場: あり
- 期間: 通年
- 時間: 10月~4月8:30~17:00 5月~9月8:30~18:00
- 休み: 年中無休
- 料金: 大人1100円、小・中学生550円
- 問い合わせ: 0194-22-2566
龍泉洞は車イスの方でも入洞可能となっています。階段があるので第一地底湖の手前で元のルートを引き返す形となり、又、通路が狭い為(通常サイズの車イスは通れない為)に専用の車イスに乗り換える必要があるようですが、見学ができるようになっています。(繁忙期などは洞内の観光ルートの関係上入洞が出来ないこともある様です。詳しくは龍泉洞へお問い合わせください。TEL:0194-22-2566 FAX:0194-22-5005)