有松の町並み
時折行きかう自動車と、通勤通学帰りの自転車を除けば、あまり通り過ぎるものもなく、とても静かな時間が流れている。道路がアスファルトであることと、突き当りに街灯が照っていることを除けば、江戸時代にタイムスリップしたのではないかと錯覚してしまうような雰囲気。実際には、江戸時代の夜はこれほど明るかったはずもないが、それでも、むこうから提灯をもった町人が歩いてきても不思議に思わないであろうほどに「江戸感」にあふれている。
ここは、愛知県名古屋市緑区にある有松町。東海道沿いの古い町並みが残るエリアで、名古屋市の「有松町並み保存地区」にも指定されている場所だ。今川義元と織田信長が戦い、信長が勝利を収めた戦「桶狭間の戦い」の戦場となった桶狭間もすぐそばにある。周辺地域を中心に生産される絞り染めの有松・鳴海絞りでも知られ、歴史好き、建物好きのみならず、染め物好きの人々も多く訪れる。